1988年にPCや複合機などのレンタル業として、東京都渋谷区で創業。毎年増配を続けており、配当利回りは4%弱ある
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。
今週の研究対象
ウィンドウズ10のサポート終了(パシフィックネット)
マイクロソフトのOS「ウィンドウズ10」のサポートが10月に終了する。これで儲かるのはどこ? 上場企業で唯一、パソコンの導入から処分まで一貫して手がける会社を見つけた!
坂本 顔色が悪いけど、どうした?
助手 ウチの会社、パソコンの入れ替えでバタバタしていて、仕事が全然進まないんですよ。もうすぐウィンドウズ 10が使えなくなるとかで。情報システム部門が大混乱で、新しいパソコンが山積みなんです。
坂本 あぁ、ウィンドウズ 10はサポート終了が10月に迫っているからね。サポート期限が過ぎたOSはセキュリティ上使うわけにいかないし、せっかくならパソコン自体を入れ替えようとなる。今は全国で入れ替えラッシュが起こってるよ。
助手 全国的な現象となると、これが商機になってる会社もありますよね。そういえば、会社のパソコンはリース会社のシールが貼ってあったような。リース会社はどうですか?
坂本 なかなかいい目のつけどころだけど。私が今回のパソコン入れ替えラッシュで注目しているのはリース会社じゃなく、パソコンのライフサイクルマネジメント(LCM)を手がけるパシフィックネットです。
助手 LCM?
坂本 同社はパソコンの導入から運用・入れ替え・処分までをワンストップで支援してるんです。
助手 いろんな会社が似たような事業をやってそうですけど。
坂本 そんなことないよ。企業のパソコンを処分するとなると、機密情報の漏洩を防止するためにハードディスクのデータを適正に消去する必要がある。その分野で同社はトップシェアかつ唯一の上場企業なんです。つまり、パソコンの導入から処分まで一貫して担当できる上場企業はパシフィックネットだけってこと。
助手 上場企業は安心感があるし、入れ替えの全過程を任せられるなら同社を選ぶ顧客も多いかもですね。ちなみに投資するなら短期ですよね? ウィンドウズの更新需要で業績が一時的に伸びるって狙いだし。
坂本 いやいや、よく考えて。さっき、同社は運用も手がけてるって言ったじゃないですか。ストック型のビジネスモデルを強化してるから、業績は安定的ですよ。
助手 どういうことですか?
坂本 パシフィックネットは、パソコンの導入と運用をセットにしてサブスク方式で提供してるんですよ。
助手 なんだかウチの会社の情シス部門みたいな動きですね。
坂本 そのとおり。パシフィックネットを使えば情報システム部門の一部外注化ができるわけ。IT人材は不足していて、2030年には島根県の人口に匹敵する59万人が不足するといわれています。今でも情シス担当者がひとりしかいない中小企業は多いから、パシフィックネットに外注する需要は年を追うごとに増えていくはずです。そして同社は運用費をサブスクで長期間もらいながら、定期的に訪れる更新需要で新規顧客を獲得して業績を上積みできる。
助手 ただ、お金を長期で受け取れるのはリース会社も同じなんでは?
坂本 リースはあくまで「モノを貸すだけ・お金を工面するだけ」のサービス。運用や保守管理は担当できないからその料金は受け取れません。
助手 なら、パシフィックネットのほうが投資対象として面白いですね。
坂本 うん。
今週の実験結果
IT人材が不足する今、情シス部門を外注できる同社は今後も有望です!

構成/西田哲郎 撮影/榊 智朗