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今回は沖縄でパクチーまみれの牛もやしそばをいただきます!

「もやしソバ」をこよなく愛するピエール瀧が、名店をめぐりながら、もやしソバとは何なのかを考えたり考えなかったりするこの連載。今回は、やって来ました南国・沖縄! 沖縄の麺といえば「沖縄ソバ」を思い浮かべるでしょうが、実は、沖縄にももやしソバがあったんです! そして、これがまた独特でした!

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ピエール瀧(以下、瀧) あち~。

今回は沖縄に来ております。

――沖縄ソバのお店なんですが、なぜかもやしソバがあるということでやって来ました! 那覇市にある「OKINAWA SOBA EIBUN」というお店です。

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那覇市にある「OKINAWA SOBA EIBUN」さんへ

那覇市にある「OKINAWA SOBA EIBUN」さんへ

 今、午後4時40分。夕方はすいているということだったんだけどけっこう並んでるし、次から次へとお客さんがやって来るよ。人気店なんだな。

――僕らもお邪魔しましょう!

 こんにちはー。ええと、メニューにもやしソバはあるのかな? ああ、これだ。「牛もやしそば」(1180円)、「辛牛もやしそば」(1300円)、「牛もやしそばパクチーまみれ」(1380円)か。バリエーション豊富だわ。じゃあ、牛もやしそばパクチーまみれをください。

店員さん ありがとうございます。

――瀧さん、壁に「味変アイテムの使い方」が書いてある紙が張ってありますよ。

 泡盛に島とうがらしを漬け込んだ「コーレーグス」、牛もやしそばとの相性抜群の「沖縄そば山椒」、酢と香ばしいゴマを組み合わせた「ゴーマーグゥー酢」、そして「沖縄そばコショウ」に「柚子胡椒」か。ここはやっぱ沖縄そば山椒だろうなあ。牛もやしそばとの相性が抜群だって書いてるし。

店員さん お待たせしました。牛もやしそばパクチーまみれです。

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「牛もやしそばパクチーまみれ」(1380円)

「牛もやしそばパクチーまみれ」(1380円)

 うわぁ、すごいパクチーの量だわ。いただきまーす。肉の量もすごいね。もやしもけっこう入ってる。

――これまでのお店で食べたもやしソバとは全然違いますね。

 うん。まず、沖縄ソバの麺だからワシワシした食べ応えがある。

――だしもカツオっぽいです。

 添えてあるカットレモンを搾ることで、かんきつ系の爽やかな酸味が加わるね。パクチーとレモンの組み合わせはベトナムのフォーっぽいんだけど、これはちょっと違う感覚。沖縄ソバど真ん中でもないし、町中華のもやしソバでもない味わい。

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カットレモンで、爽やかな酸味をプラス!

カットレモンで、爽やかな酸味をプラス!

――なんか新しいジャンルの麺という感じですね。

 あとさ、辛味噌みたいな小皿がついているんだけど、舐めてみると東南アジアの食堂に置いてあるえび味噌みたいな味がする。これを味変で入れるんだろうな。ちょっと入れてみよう。

――どんな味になりました?

 なんだろう。この連載はもやしソバを食べ歩いているからさ、基本は日本の食堂の味で、せいぜい変わってても中華風だけど、これを溶かしてみたらもっと西まで行った。一気に東南アジアモードの風味になったわ。

――なんですかね? その調味料。

あんまり見たことないですよね。

 これがデフォルトで脇についてるってことはお店推奨なんだもんね。じゃあ、今度は牛もやしそばと相性抜群らしい沖縄そば山椒を入れてみよう。お、テーブルに紅しょうがも置いてあるじゃん。これも入れちゃおう。

――やっぱ沖縄そばといったら、紅しょうがですもんね。

 そうね。そして、やはりうまい。そろそろ食べ終わろうかという感じなんだけど、いろいろな味変アイテムを入れたから、最初のひと口とは全然違う味になってる。これは面白い。

――でも瀧さん、まだコーレーグス使ってませんよ!

 そうなんだよ。まだ味変アイテムのうち5分の4を使ってないんだよ。

それでもスープの牛の脂と各種香味料があいまって、東南アジアのスープという感じでうまいんだよ。これは人気があるのもわかるよ。今、店長さんとお話ししても大丈夫かなあ。

――ちょっと聞いてきますね。......大丈夫だそうです!

 すいません。お忙しいところありがとうございます。

店長の金城裕大さん(以下、金城さん) いえいえ。

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店長の金城裕大さんと

店長の金城裕大さんと

 今回、牛もやしそばパクチーまみれをいただいたんですが、独特な一杯でおいしかったです。牛肉もやし炒めがのってましたが、あの牛肉はどこの部分ですか?

金城さん 肩です。

 ただ炒めただけじゃなさそうな印象でしたけど。

金城さん そうですね。うち独自の配合のタレに漬け込んだのをもやしと炒めてのせてます。

 沖縄ソバというとソーキとかテビチとか豚肉のイメージがありますけど、こちらのお店は牛肉なんですね。

金城さん はい。沖縄ソバで牛肉を使うのは珍しいと思います。

 沖縄ソバって、いろいろアレンジできる料理なんでしょうか。

金城さん 沖縄ソバは優しいだしなのでアレンジが利くんです。実は、うちのオーナーがすごくて、今でもいろいろ試作をしているんです。

 オーナーさんは、なぜ沖縄でこのようなお店を始めようとしたんですか?

金城さん オーナーが沖縄に移住してきたときに「ラーメンや日本ソバは海外でも知られているけれども、沖縄ソバはまだ知られていない。だったら、俺が海外に認知させる」という気持ちで始めたんです。それで今は、海外で認知されるためにみんなで頑張っているところです。

 じゃあ、逆に言うと海外の人でも楽しめる沖縄ソバを作っているということですよね。そういえば、僕の牛肉もやしそばパクチーまみれについていたえび味噌みたいな味変アイテムはなんですか?

金城さん あれは「ラブパクソース」といって、ハーブや香味野菜をすりおろして作った調味料です。パクチーなどを使ったアジア料理にとても合うんです。

 なるほど。だからレモン汁と一緒に加えたら東南アジアまで行った感じになったんですね。

金城さん (笑)。

 このお店は海外からのお客さんも多いですから、海外進出もすぐでしょうね。そのときはもやしソバも出すようにオーナーさんに言っておいてください。そうしたら、僕ら海外の店舗に堂々と取材に行けますんで(笑)。

金城さん わかりました(笑)。

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■OKINAWA SOBA EIBUN 
沖縄県那覇市壺屋1-5-14 
098-914-3882 

※営業日時、メニュー、価格などは変更になる場合があります 
※この連載は隔号で掲載予定です 
※おいしいもやしソバなどの情報は【moemoyashisoba@gmail.com】まで 

■ピエール瀧(ぴえーる・たき) 
1967年生まれ、静岡県出身。ミュージシャン、俳優、声優、タレント。
「無駄こそ宝なり」が信条。好物はもやしソバ。 
公式Instagram【@pierre_taki】 

撮影/SZB、鈴木貴宏 構成/TAKA-HO

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