【仮面ライダーヒロイン名鑑】『仮面ライダーリバイス』井本彩花...の画像はこちら >>

仮面ライダーシリーズ最新作『仮面ライダーゼッツ』のオンエアを記念して、今年も『週刊プレイボーイ』のスペシャルイシューが発売! 9月8日に発売された38・39号では「歴代仮面ライダーヒロインが大集合!!」と題し、仮面ライダー女優たちが登場。水着グラビアの最新撮り下ろしやインタビューなど、仮面ライダーファン必見の充実した内容となった。

その特集より歴代ヒロイン4名のインタビューを、週プレNEWSにて再掲載。今回は『仮面ライダーリバイス』(2021~2022年)で五十さくらを演じた井本彩花さんが登場。さくらは、日頃から空手の鍛錬に励む女子高生で、銭湯を営む五十嵐家の末っ子。仮面ライダージャンヌへと変身し、兄たちとともに悪魔崇拝組織デッドマンズと戦う。井本さんは当時さくらをどう演じていたのか? 出演にまつわるエピソードや当時の心境などを語ってもらった。

*  *  *

――『リバイス』の放送終了から3年ほど経ちました。当時のことは覚えています?

井本 もちろんです! オーディションの合格をドッキリで知らされたことまで、しっかり覚えています(笑)。「コメント撮りをするから」とカメラの前に立たされたかと思えば「仮面ライダーの新ヒロインに選ばれた心境は?」って、質問形式でいきなり発表されたんですよね。あの時はビックリしたなー。

――『仮面ライダー』がデビュー作という女優さんも多いですが、井本さんはそれ以前にもいくつかドラマに出演されています。なぜ、オーディションを受けることに?

井本 事務所の方から話をいただき「受けたいです!」と自ら手を挙げました。私、弟がいたこともあり、子供の頃から『仮面ライダー』シリーズをよく観ていたんです。

『仮面ライダー鎧武』(2013-2014年)から見始めたのかな? 特に『仮面ライダーエグゼイド』(2016-2017年)は弟と一緒に夢中になって、変身ベルトを揃えては『仮面ライダー』ごっこをして遊んでいました。

――もともと『仮面ライダー』がお好きだったんですね。『リバイス』は仮面ライダー生誕50周年記念作品でもありますし、喜びもひとしおですね。

井本 50周年記念作ということで、スピンオフもたくさんありました。それこそクランクインが『劇場版 仮面ライダーリバイス』(2021年7月公開の劇場版『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』で同時上映された短編映画)だったんです。五十嵐家が営む「しあわせ湯」でお風呂に浸かりながら、壁越しに一輝兄(五十嵐一輝/演:前田拳太郎)と会話するシーン。まだご挨拶して間もない中、顔が見えない状態でのお芝居だったので、ちゃんと兄妹らしさが出せるか心配でした。

【仮面ライダーヒロイン名鑑】『仮面ライダーリバイス』井本彩花「守られる存在ではなく、怪人にも果敢に立ち向かうヒロイン・さくらの姿にニンマリしました」

――『仮面ライダー』シリーズは、例年、合格からクランクインまで慌ただしいとのことですね。

井本 まさに。衣装合わせから本読み、アクション練習、そして撮影と、カレンダーが一瞬で『リバイス』の色に染まりました。デビュー以来、これほど仕事でスケジュールが埋まった経験がなかったので「大変なのは覚悟の上で頑張らなきゃ」と、気持ちが引き締まりました。しかも当時は高校3年生。

絶対に大学に進学したいと思っていたので、テストもクラスで5位以内の順位を維持していました。撮影現場にテスト勉強の道具を一式持参し、合間で勉強したこともありました。あのスケジュールを学業と共に駆け抜けたことを思い返すと、もう何も怖いものはないです(笑)。

――『リバイス』は「家族」をテーマにした作品。井本さんが演じた五十嵐さくらは五十嵐家の末っ子で、日々空手の鍛錬に励む正義感の強い女子高生でした。

井本 実際の私は弟を持つ姉なので、最初は、末っ子や妹としての振る舞い方が分かりませんでした。次男・大ちゃん(五十嵐大二)役のひゅうちゃん(日向亘)とは同い年で、お芝居の外では同級生みたいな感じだったし、長男・一輝役のケンちゃんは年上ということもあり、本当のお兄ちゃんみたいでした。主人公を演じる身として積極的にキャストを引っ張ってくれて、空手の経験者だったので型を教えてもらうこともありました。そうしたコミュニケーションを経て、妹らしさを理解できた気がします。

――役作りのこだわりは?

井本 特別な役作りはしていません。強いて言えば、(当時)10代の私だからこそ演じられるさくらを思うがままに表現することを心がけていました。まっすぐな性格ゆえに声を荒らげる場面も多く、「日曜の朝からうるさい」と思われないか心配でした(笑)。

本番直前に上堀内(佳寿也)監督から「大二にビンタ」と台本にない演出が入り、ビンタをしたこともありましたが(第40話)、突発的なアドリブにも身を委ねつつも、伸び伸びと演じさせていただきました。

【仮面ライダーヒロイン名鑑】『仮面ライダーリバイス』井本彩花「守られる存在ではなく、怪人にも果敢に立ち向かうヒロイン・さくらの姿にニンマリしました」

――では、さくらを演じる中でターニングポイントとなったエピソードはありましたか?

井本 やっぱり、初めて仮面ライダージャンヌに変身した第12話です。さくらは子供の頃から「無敵」への憧れが強い。だから空手も頑張るし、強気な発言もする。でも「強がり」と「強いこと」は全然違うんです。空回りを続ける中、自分の弱さを受け入れた時、さくらの心から悪魔・ラブコフが生まれて仮面ライダーに変身する。さくらはもともと自分に自信のあるタイプだと思うんです。そんなさくらを「スゴい」と思っていたけど、ちゃんと弱い部分もあるんだなって。さくらのことを、より身近に感じられたエピソードでもあります。

――誰の心にも悪魔が棲んでいる。それは『リバイス』全体のテーマでもありますね。変身は嬉しかったですか?

井本 もちろんです! 令和になりヒロインが変身する作品が増えてきたとはいえ、やっぱり女の子は守られる存在という印象があるじゃないですか。

実際に作中でも、さくらだけがママから過剰に心配されたり、兄達から子供扱いされたりする描写が何度もありました。でもさくらは、変身する前から生身の状態でギフジュニア(怪人)に立ち向かう勇敢な女の子。台本を読むたびに「やるな!」とニンマリしていました。

――井本さんのアクションもお上手でした。

井本 いやいや! 完全にカメラワークのおかげです。小学1年生から中学3年生までクラシックバレエを習っていたので脚は上がるけど、運動は苦手なので(笑)。ただ、第1話から戦うシーンがあったのですが、アクション監督の渡辺(淳)さんから「さくらが強すぎる!」と言われ、放送ではカットされちゃったんですよね。

――これから仮面ライダーに変身するお兄ちゃんより強く見えてしまうと物語がブレてしまいますから(笑)。悪の組織デッドマンズの女王・アギレラを演じた椛島光さんとの絡みも印象的でした。最初は敵対していた二人でしたが、部下に裏切られ一人ぼっちのアギレラにさくらが積極的に寄り添い、二人でショッピングや遊園地に行く関係になって。

井本 遊園地......第33話だ!

――ズバリ、第33話です。よく覚えていますね。

井本 初変身回はもちろん、アギレラと仲良くなった回も色んな意味で特別なんです。

――というと?

井本 第32話から2話連続でさくらとアギレラのメイン回という意味でも印象的ですが、実は私、この撮影前にコロナにかかってしまったんです。五十嵐3兄弟でキャラクターソングを披露する予定だった武道館でのイベント(「50×45 感謝祭 Anniversary LIVE & SHOW」)に出られず、高校の卒業式も欠席。現場に復帰して早々、アギレラとの戦闘で制服のまま川に落ち(第32話)、仲良くなった後に二人でお風呂に浸かるところ(第33話)までを1日で撮影したんです。

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――病み上がりとは思えないくらい、過酷な撮影!

井本 お風呂と言っても湯気が立つと映像が撮れないので温度は低いんです。濡れまくりでハードな1日でした。残念な出来事が続いた後だったので、その過酷さも含めて思い切り楽しみました。特撮ファンの方にはお馴染み、諸田(敏)監督といえばの"水落ち"を経験できたのも嬉しかったです(笑)。

――では改めて、井本さんにとって『仮面ライダーリバイス』とは?

井本 多くの方に井本彩花という存在を知っていただけた作品だと思います。「10代の私だからこそ演じられるさくらを」という話もしましたが、機会があれば大人になったさくらを演じてみたいです。私もさくらも高校卒業後は大学に進学したわけですし、今の私だから演じられるさくらの姿があると思うんです。

――井本さんの話ぶりから、とても楽しい撮影現場だったことが伝わってきました。

また『リバイス』の面々で集まれる日があるといいですね。

井本 実は今年、初めて「リバイス新年会」が開催されたんです。プロデューサーの望月(卓)さん主催で、ほぼ全てのキャストとスタッフさんが集合しました。撮影当時はコロナ禍でなかなか集まるタイミングがなかったので、3年越しにみんなで楽しい時間を過ごすことができました。改めて、私は『リバイス』の現場が大大大好きだなって思いました!

ヘア&メイク/エノモトマサノリ

●井本彩花
2003年10月23日生まれ 京都府出身 ◯2017年に「第15回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリを受賞し、同年に俳優デビュー。その後、数多くのドラマや映画に出演。

取材・文/とり 撮影/荻原大志 ©2021石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

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