仮面ライダーシリーズ最新作『仮面ライダーゼッツ』のオンエアを記念して、今年も『週刊プレイボーイ』のスペシャルイシューが発売! 9月8日に発売された38・39号では「歴代仮面ライダーヒロインが大集合!!」と題し、仮面ライダー女優たちが登場。水着グラビアの最新撮り下ろしやインタビューなど、仮面ライダーファン必見の充実した内容となった。
その特集より歴代ヒロイン4名のインタビューを、週プレNEWSにて再掲載。今回は『仮面ライダー剣』(2004~2005年)で栗原天音を演じた梶原ひかりさんが登場。天音は、相川始(仮面ライダーカリス)が居候することになった喫茶店の娘。明るく活発でちょっぴりおませ。立ち入り禁止の洞窟に侵入するなど、向こうみずな行動で周りを事件に巻き込むことも。天音を当時、どう演じていたのか? 今回の取材では、出演にまつわるエピソードや当時の心境などを語ってもらった。
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――梶原さんが演じた栗原天音は、登場人物たちが出入りする喫茶店の娘。明るく活発だけど、どこか大人びた一面もある9歳の少女でした。
梶原 私は11歳でしたね。撮影のことは鮮明に覚えています。幼少期の中では、一番記憶が濃いんじゃないかな。
――11歳の梶原さんは、仮面ライダーシリーズに対してどんな印象を抱いていたんでしょうか?
梶原 同級生の男の子たちが見ているものでもありましたし、何よりも父親がグッズを集めていたくらいの仮面ライダーの大ファン。
――どんなオーディションだったんですか?
梶原 私が行った時間帯だけで100人以上いて、10人ずつ面接。1~2話の短いセリフを読んだことを覚えてます。あとメイン監督の石田(秀範)監督の印象が強かったですね。トレードマークのサングラスを外してじっと私の目を見てきて、怖かったです(笑)。
――お父さんのためにも、かなり気合いも入っていた?
梶原 めちゃくちゃ入っていたと思います。それにあの頃は、子役として2日にいっぺんぐらいのペースでオーディションに行っていたので、エンジンがかかっていました。オーディションの翌日に合格の連絡をいただいたのですが、うれしくてたまらなかったです。家族や親戚一同も大喜びで、これで少しはお父さんに喜んでもらえたかな?って思いました(笑)。

――子供ながら、自分のことばかりか、お父さんのことも思いやるのはしっかりしてますね(笑)。
梶原 妙にませてたんですよね。
――天音役を射止めた理由を自己分析すると?
梶原 私は子どもの頃からずっと生意気だねって言われて育ったんですけど、天音も生意気さがある役だったので、そこが合致したのかなと思っています。天音がもっと繊細な女の子だったら合格しなかったんじゃないかな。
――ずっと生意気だと言われてたんですね(笑)。
梶原 お母さんには、特によく言われました。昔から目立ちたがり屋で、通っていたダンススタジオでもつい一番前の列の真ん中に自分から立っちゃってました。どんどん自分を出していきたいタイプだったので、子役は向いていたと思います。両親はむしろ控えめなので、不思議ですよね。
――天音は、生意気だったり、大人びていたりと、当時の梶原さんと重なる部分があったということですが、一方でお父さんを不慮の事故で失っていました。そんな彼女を11歳の梶原さんはどう演じたんでしょうか?
梶原 確かに、その部分は私とかけ離れていました。でも大事な誰かがいない、一生会えない存在がいるってことで、私の中で整理はできていたので、自然に演じられたと思います。

――11歳で、その悲しい状況を想像できていた?
梶原 これは後々になって監督から言われたんですけど、オーディションのときの私がちょっと悲しみを背負っているように見えたそうなんです。実際その通りで、じつは当時の私は小学校で女の子たちに嫌なことをされたり、言われたりしていて、小学3年生の頃から授業は休みがちだったんです。それが出ていたのかも。
――そうだったんですね。
梶原 気が強い中にも脆(もろ)さがあるというか。それを見抜かれていたみたいです。そして、天音を演じる際には、自分がその時に感じていた辛さや切なさを彼女の悲しみを置き換えて演じていました。そう考えると、嫌な思いをさせられたのも無駄ではなかったのかも。私、どんな経験をしても自分の糧にしたいと思うタイプなんですよ(笑)。
――劇中で同居している相川始(仮面ライダーカリス)役の森本亮治さんを始め、1年間の撮影という長丁場の中で共演者の方たちとの関係も深まっていったと思います。
梶原 本当の家族のように可愛がってもらいましたし、若手の男性共演者全員が私にとってはお兄ちゃんでした。初めて渋谷に連れていってくれたのもお兄ちゃんたちでしたね。
『仮面ライダー剣』は、本当にかけがえのない作品です。昨年が放送から20周年だったんですが、記念イベントを開催したり、共演者のみんなとの関係は今も続いていて、本当にありがたい縁だなと思います。特に橘朔也(仮面ライダーギャレン)役の天野(浩成)くんは、もともと自分にとって大きな存在だったので。
――というと?
梶原 私が子役を目指したのは、小学1年生のときに『美少女戦士セーラームーン』の舞台で天野くんが演じていたタキシード仮面を見たことがきっかけなんです。夏休みに池袋のサンシャイン劇場に何回も見に行って、出待ちをして写真も撮ってもらいました(笑)。『仮面ライダー剣』はそんな憧れの人と共演できた作品なんです。今はタイミングがあれば一緒にお酒を飲んで逆に天野くんから相談を受けたりするので、なんか感覚がバグっちゃってるけど(笑)。

――『仮面ライダー剣』を通して、梶原さんが得たものは?
梶原 女優として、人として常に前向きになりました。天音ちゃんのように明るく過ごしていれば、周りの人を笑顔にできるし、自分も愛されるんだって。それを知ることができて、自分は変わったと思います。
――仮面ライダーシリーズが、ここまで長きにわたってファンから愛される理由は、どこにあると思いますか?
梶原 毎回、斬新なことかな。
私も、いつか令和ライダーに出られるかなって、楽しみにしています。もし出演できるなら、今度は天音ちゃんのイメージを裏切るような悪役を演じて、ライダーと戦ってみたいみたいです。
ヘア&メイク/光岡真里奈
●梶原ひかり
1992年12月21日生まれ 東京都出身○2000年に舞台『蒲田行進曲完結篇~銀ちゃんが逝く』で子役としてデビュー。現在は多数のテレビドラマ、映画、舞台に出演。
取材・文/大久保和則 撮影/荻原大志 ©石森プロ・東映