レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、学園祭・文化祭シーズンの到来です。平成時代に何よりも早めに準備しないといけないものがクラスTシャツでした。今回はクラスTシャツ文化を振り返ります。
文化祭ではクラス単位で模擬店などを運営します。皆で団結するには、学校の制服やジャージではダメで、クラスごとに同じユニフォームを着る必要があります。それがクラスTシャツなのです。

山下メロ作の架空のクラT。文字・絵/さきそん(平成レトロBAR紅鯨)
通称「クラT」。字がうまい生徒が手書き文字を担当し、美術部員などがイラストを描き、業者に注文します。
筆者は古着店でクラTを見つけるたびに購入してきたのですが、今年は架空のTシャツ展示イベントに参加するため「架空のクラT」を自作しました。これまで集めたクラTの「あるある」から、特に好きな要素を詰め込みました。そんな「クラTあるある」を見ていきましょう。

1-8のクラT。ハート形の文字配置が特徴

はらだ組のクラT。担任が原田先生と思われる
一番重要なのは〇年〇組というクラスの表記。これがないとクラTとは呼べません。文化祭の名称「〇〇祭」や、そのキャッチフレーズも定番。そしてお化け屋敷、ドーナツ店など模擬店の業態や屋号。さらにクラス全員のニックネームが並びがちです。
最近はフォントも多いですが、キレイな文字ではなく少しヘタウマなギャル文字で書かれることもしばしば。ニックネームが羅列された中に、たまに「(名字)くん」「(名字)さん」という、あだ名がない生徒が交じるのも切ない「あるある」でした......。

ポロシャツもありました。「嵐をよぶカレー」は模擬店の店名パターン
そんなコもまた製作費として5000円を徴収されてしまいます。「あんた、この前Tシャツ作るからお金くれって言ってたんどうなったん?」と母親に聞かれても、決して見せられません。
さらに、実家を出てる間にそのクラTを母親が勝手に部屋着にし、帰省するたびに記憶が呼び起こされる悲しみ。
そんなクラT、まだ実家にある人は久々に探してみましょう。
撮影/榊 智朗