評点:★3点(5点満点)
© 2023 Boy Kills World Rights, LLC All rights reserved.お菓子のてっぺんの「チェリー」としての残酷表現
あれもやりたい、これもやりたいが沢山詰まったジャンル映画である。
基本的には「かっこいいディストピア的な世界観」と、「とんでもない怒涛のアクション」がやりたいのだが、過激さを保ちつつ「しょうもないギャグも随所に入れたい」という気持ちがあるのが嬉しい。
が、夢が詰まった作品ではあれど、ビジュアルやキャラクターがどうにもジェネリックなものに留まっているのはいかにも勿体ない。
シリーズもの、原作ものばかりの中、完全オリジナルの物語で勝負を挑む志は高く評価したいところだし、映画を面白くするために可能な限りのアイディアと努力を詰め込んでいることはよく分かるが、画や人物設定にオリジナリティが不足しているのである。
非常に好感が持てるのは「怒濤のアクション」をできるだけ血まみれで残酷にしているところで、大手のコミック・ヒーロー映画が絶対に出来ない人体損壊描写で差異化を図る姿勢は圧倒的に正しいし、それが映画の楽しさをしっかりと補強している。
「とてもいいおまけ」を表す「チェリー・オン・トップ」という言葉があるが、本作のゴア描写は疑いなくお菓子のてっぺんに添えられた「チェリー」の役割を果たしている。
STORY:文明が崩壊した世界。狂気の女帝が支配する王朝の下、少年は家族を虐殺され、声と聴覚を失う。絶望の中、彼を導いたのは幼い頃に夢中になったゲームの主人公の"内なる声"。そして年に一度の"粛清の日"の前夜、復讐が始まる
製作:サム・ライミ
監督:モーリッツ・モール
上映時間:111分
全国公開中