初代仮面ライダーを演じた藤岡弘、氏の次女である天翔天音が、2025年5月配信のTTFC(東映特撮ファンクラブ)オリジナル『仮面ライダーマジェード withガールズリミックス』で仮面ライダーシリーズに初出演! 『仮面ライダーガッチャード』のヒロイン・九堂りんね(演:松本麗世)の同級生であるオリジナルキャラクター・三日月ナユタを演じた。10月に配信が予定されている最新作『ガールズリミックスinハロウィンパーティー』への出演も発表されており、さらなる活躍が期待される。
『ガールズリミックス』とは、仮面ライダーシリーズに登場する歴代ヒロインが共闘するTTFCオリジナルのスピンオフシリーズ。2022年8月に第1弾『仮面ライダージャンヌ&仮面ライダーアギレラ withガールズリミックス』が、2025年5月に第2弾『仮面ライダーマジェード withガールズリミックス』が配信され、歴代ヒロインの復活&共演に歓喜するファンが続出した。
天翔天音にとって仮面ライダーとは? 『ガールズリミックス』シリーズの見どころと共に聞いた。
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――今年5月にTTFCで配信された『仮面ライダーマジェード withガールズリミックス』に、オリジナルキャラクター・三日月ナユタ役として、仮面ライダーシリーズに初登場されました。
天翔 2021年公開の映画『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ(以下、ビヨジェネ)』で、兄(藤岡真威人)が父が演じた本郷猛として仮面ライダー1号に変身する役を演じていたのを羨ましく思っていました。次にこうして私も仮面ライダー作品に携われて、とても嬉しかったです。
――反響はありましたか?
天翔 はい。特に海外の方からのコメントが多く、驚きました。「もともとお父さんのファンだったから、その約50年後に娘さんが出るなんてビックリだ!」って。日本国内のみならず世界中から愛される作品なんだと、改めて実感しました。
――そもそも、どんな経緯で出演が決まったんでしょう?
天翔 一度、東映さんの撮影所に行く機会があり、その場で台本を渡されてお芝居を見ていただいたことがあったんです。その後、出演が決定しました。
――まるで非公開オーディションですね。晴れて仮面ライダーシリーズに初参加されるわけですが、クランクイン当日のことは覚えていますか?
天翔 確か、地下での戦闘シーンがクランクインだったんです。私は助けられるだけだったのですが、主演の松本麗世さんをはじめヒロインの皆さんが変身したり、アクションをしたりする場面を間近で見させていただき、スゴく感動しました。撮影当日は真夏で暑かったのですが、長丁場の撮影を難なくこなす皆さんのタフさにも圧倒された記憶がありますね。

――天翔さんが演じた三日月ナユタは、ロンドンの大学に留学している九堂りんねの同級生。大学に突然現れた『仮面ライダー鎧武/ガイム』の湊耀子(演:佃井皆美)にさらわれてしまう役どころでした。
天翔 実は私、リアルタイムで『鎧武/ガイム』を観ていたんです。フルーツがモチーフになっているんですよね。父が出ていた頃の『仮面ライダー』とは違った世界観に驚いたのを覚えています。特に劇場版が大好きで10回は観ました(笑)。「私、『鎧武/ガイム』で育ったんです!」と佃井さんにお声がけしたら、とても気さくに接してくださいました。撮影が始まると、途端に目をギラっとさせていたのが印象的ですね。
――観ていたシリーズのキャラクターに襲われるのは嬉しいですね(笑)。主演の松本さんとは仲良くなれました?
天翔 麗世ちゃんとは笑いのツボが合うというか。初めましてでしたが、現場ではいちばん歳が近く同じシーンも多かったので、すぐに意気投合しました。『ニコ☆プチ』(新潮社)という小学生向けのファッション誌で、妹(藤岡舞衣)と麗世ちゃんが同時期に専属モデルとして活動していて。お会いする前からお互いのことは知っていたんです。まさか仮面ライダーの現場でご一緒できるとは思わなかったので、これまた不思議なご縁を感じました。
――10月には最新作『ガールズリミックスwithハロウィンパーティー』の公開が控えています。前作では謎多きキャラクターのままでしたが、最新作ではどんな活躍が見られるのでしょう?
天翔 タイトルの通り、舞台はハロウィンパーティー。100名近いエキストラの方にお集まりいただき、みんなで乾杯して、ハロウィン衣装におめかしして、とても楽しい撮影現場でした。今回私は、『仮面ライダーキバ』の野村静香(演:小池里奈)、『仮面ライダーギーツ』の桜井沙羅(志田音々)と一緒に行動するシーンが多いです。前作では見られなかった表情が見られるほか、自身が持っている謎の力に気づき始めるなど、少し謎が明らかになる部分もあるので、期待してご覧いただけたらと思います!

『ガールズリミックス withハロウィンパーティー』にはハロウィン衣装で登場!
――ここからは仮面ライダーシリーズにまつわる思い出を聞かせてもらえたらと思います。
天翔 もちろんあります。『仮面ライダー』は父の代表作ですから。子供の頃からスゴく身近な作品でした。中学生の頃だったかな? お父さんと一緒に観る機会があったんですよ。隣に座って「このシーンはこうで、こんなことがあって」って、当時の思い出を聞かせてもらいながら。
――先ほども、リアルタイムのシリーズとは世界観が違ったとお話しされていましたね。
天翔 父が出ていた頃の『仮面ライダー』って、今よりもリアルな世界観じゃないですか。父が改造人間にされるシーンなんて本当に苦しそうで、娘としては胸が痛みます......。それに蜘蛛男や蝙蝠男などの怪人がめちゃくちゃ怖い! 父はこんな敵と戦ってたの!?って。衝撃でした。最初に観た時は恐怖映像かと思いましたよ。正直、ホラーです(笑)!
――確かに、恐怖映像かもしれません(笑)。
天翔 泣くことはなかったですけど、小学生の時、父が約45年ぶりに本郷猛として主演を務めた映画『仮面ライダー1号』(2016年)の撮影現場に兄妹揃ってお邪魔させてもらったのですが、目の前にショッカーの戦闘員が現れた時は本気で「怖い!」と思いました。でも、戦う父が本当にカッコよくて! 最後はショッカーの皆さんと一緒に記念写真を撮りました(笑)。
――それは貴重な体験ですね。その後『ビヨジェネ』でお兄さんが本郷猛を演じられるわけですが、当時、天翔さんはどんな気持ちでした?
天翔 兄妹の中で、男の子は兄だけ。いつか仮面ライダーになる日が来るんじゃないかと女子ズ(天翔愛、藤岡麻衣ら姉妹)は感じていたので、ついに現実になるんだなって。しかも、父が演じた本郷猛としてだなんて! 衝撃のあまり、みんなで大興奮していました。

――『ビヨジェネ』は仮面ライダー50周年記念として制作された映画。仮面ライダー1号が誕生した1971年と現代、さらに50年後の未来を舞台に、親子の物語が描かれる感動作です。その中で藤岡弘、さんの息子である真威人さんが1号を引き継がれたのは本当に熱い演出でした。見た目も声も、当時のお父様ソックリで。
天翔 「とう!」という掛け声と共に崖の上から変身するシーンは、本当に当時の父に見えました。撮影に向けて自宅で父と兄が発声練習している姿を見ていたので、そのシーンを映画館で観た時はジーンときましたね。
――天翔さんもいつか仮面ライダーに変身する日が来るんじゃないかと期待してしまいます。
天翔 そうですね。「自分の身を守れる強い女性になりなさい」という父の教えの下、中学生の頃から空手や杖術の基礎を習ってきました。父から直々にアクションの指導を受けたこともありますし、興味もあります。今も定期的に訓練は続けているので、もし変身することができたら、それらの経験を活かしてカッコいいアクションをお見せできたらなって思います。
――楽しみです。今のおっとりしたイメージからは、戦う姿がなかなか想像が出来ませんが(笑)。
天翔 ウフフ。それ、よく言われます。私にとって『仮面ライダー』は、やっぱり父が演じた1号の印象が強いです。弱い者を守る、心優しい強いヒーローというイメージ。わが父ながら憧れの存在です。
――さすがです! 仮面ライダーシリーズに限らず、今後の女優業にも期待が高まりますね。では最後に、今後の展望を聞かせてください。
天翔 今の女優業、モデル業を引き続き頑張っていきたいです。あとは、音楽活動にも興味があります。小学校6年生から5年間ほどバレエを習い、高校生の頃には歌と踊りを習い、様々なジャンルのダンスを習得しました。子供の頃から歌ったり踊ったりするのが大好きで、自分自身を癒すものも、やっぱり音楽なんですよね。それらのスキルはお芝居にも活かせると思いますし、もっと芸を磨いて、自分なりの表現を皆さんにお届けしたいです。

●天翔天音(てんしょう・あまね)
2005年6月14日生まれ、東京都出身。
◯藤岡弘、の次女。2023年にNHK大河ドラマ『どうする家康』で女優デビューを果たす。2024年日韓合作ドラマ「彼女のいない時間」で連ドラ初出演、ヒロイン役を務めるなど女優としても活動の幅を広げている。特技はダンス全般。
取材・文/とり 撮影/まくらあさみ