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首相が変われば経済のトレンドも変わり、恩恵を受ける株があるはず! 日経平均が歴史的な高騰を見せる中、狙い目の銘柄は? ほとんどの国民が投票権を持たない自民党総裁選。どうせなら踊らにゃ損ソン!?

■なぜ歴史的な株高に?

自民党総裁選が佳境を迎えている。

興味深いのは、不安定な政局をよそに、日本の株式市場が活況に沸いていることだ。

石破茂総理が就任した昨年10月1日以降、日経平均は約20%もの猛烈な上昇を見せ、9月25日には4万5754円をつけて史上最高値を更新。いったいどうして? その理由をマーケットストラテジストの田口れん太氏が解説する。

「石破政権のみならず、ひとつ前の岸田政権から、安倍・菅政権と比べると経済や株式市場を盛り上げる意欲に欠けていました。だからこそ、ここで新総裁に小泉進次郎氏あるいは高市早苗氏が選出されれば、久しぶりに株式市場に前向きな政権ができる。

市場参加者の多くがこう考えているからこそ、石破降ろしの火ぶたが切られた9月2日の自民党両院議員総会を起点に、日経平均は一直線に上がり続けているんです」

株式アナリストの和島英樹氏も、新総裁の選出は株式市場にとってプラスだと言う。

「株式市場にとっては、アベノミクスの継承者である高市氏が選出される展開がベストです。実際、昨年の自民党総裁選で、初回投票で高市氏がトップになったときに株価が急騰しましたから。

ただ、ここで高市氏以外の候補が選出された場合、財務省頼みの政権運営になりそうなのは若干気がかりです」

自民党の重鎮の顔色をうかがいつつ、少数与党を背負って野党と交渉するという重責を担う新総裁にとって、陰に陽に立ち回ってくれる財務官僚は非常にありがたい存在。ただしその裏側で、財政再建路線というレールに乗せられる可能性は高い。この点は念頭に置いておくべきだろう。

田口氏も、「誰が新総裁でも少数与党」という観点は、今後の株式市場を考える上で非常に大事だと強調する。

「面白いのは、株が上がっているといっても、新総裁候補の関連銘柄が上がっているわけではないこと。

誰が選出されるかに加え、避けられない野党との連立がどうなるのかを見極めてから動きたいと考えている投資家が多いということでしょう」

■本命の小泉&高市銘柄

裏を返せば、連立の形と注力するであろう政策を読んで、先回りして仕込む余地はまだ十分にあるというわけだ。

「国会議員票では小泉氏が差をつけてトップとの報道があり、やはり大本命は小泉氏でしょう。連立相手は、代表の吉村洋文大阪府知事とのつながりもあるため、日本維新の会が有力です」

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同党が掲げる規制緩和や小さな政府といった政策は外国人投資家にウケそうで、日本の株式市場への資金流入が引き続き見込めるという。

「日本維新の会との連立が成立すれば、『大阪副首都構想』への期待が広がるでしょう。仮に実現となれば、官公庁の移転による大阪府への人流増加や、インフラ整備の需要が見込めます。これを踏まえて関西経済に活性化ムードが出てくれば、その基盤を支える企業の株価上昇は期待大。本命は西日本旅客鉄道(JR西日本)です」

10月13日に閉幕を迎える大阪・関西万博は当初の不穏な空気をすっかり払拭し、全国からの人出に沸いている。そのおかげですでに旅客収入増の恩恵を受けていることに加え、同社は来年春に、運賃値上げの申請をする見込みだ。

「鉄道会社は値上げをしても客数はさほど減少せず、利益増にほぼ直結します。その上で大阪副首都構想推進となれば、旅客需要増が業績に乗ることに。先回り投資の妙味は非常に大きいと思います」

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大阪・関西万博の盛況を受け、西日本旅客鉄道(JR西日本)の業績は好調。来春の運賃改定で、さらなる収益増を見込む

大阪・関西万博の盛況を受け、西日本旅客鉄道(JR西日本)の業績は好調。来春の運賃改定で、さらなる収益増を見込む

続いて和島氏にも、小泉銘柄を伺おう。

「小泉氏の政策では、一般ドライバーと自家用車を活用してタクシー不足の解消を図る『日本版ライドシェア』が要チェック。

2024年から取り組んでいるタクシー大手の大和自動車交通は、ライドシェアの全面解禁を見据えてすでに株価が上がり出しています。そしてもうひとつ、小泉氏自身が父親として取り組んでいる、子育ての関連銘柄も面白いと思います」

業界最大手のJPホールディングスは、傘下に保育園から学童クラブ、児童館、地域交流施設まで幅広く展開している。小泉氏はすでに「子育てと仕事を両立する世代の環境整備に尽力する」というコメントを出しており、今後視線が集中しそうだ。

■一発逆転の大穴銘柄は!?

お次は高市銘柄を掘り下げていこう。田口氏は国民民主党との連立を見据える。

「高市氏と国民民主党は、政策がかなり共通しています。中でもエネルギー安全保障における原発推進は、連立が固まればほぼ確定事項に。となれば、全国規模で火力・水力を中心に発電所を展開しているJ-POWER(電源開発)に注目です。

青森県の大間(おおま)町で08年から原発建設を進めているのですが、東日本大震災以降、津波対策やテロ対策などが求められ大きく遅れています。完成は30年以降といわれている工期が、高市氏の肝いりで前倒しになるという期待が出てくれば、株価に大きな弾みがつくでしょう」

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和島氏は、高市氏の「核融合発電」推しに着目。

「原子核が融合する際に生じるエネルギーを利用して発電する核融合発電は、原発に比べてとにかくいいことずくめ。燃料は海水から無尽蔵に得られ、発電効率は原発(核分裂)の約4倍。

二酸化炭素を排出しない上、暴走事故が起こりにくく、使用済み核燃料の放射能レベルも低い、夢の発電法なんです。この基幹技術を持つ、ジェイテックコーポレーションが有望です」

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最後に、「誰が総裁になっても手堅い銘柄」と「大穴銘柄」を見ていこう。前者はくしくも両氏の見解が一致。和島氏に解説してもらった。

三菱重工業は、原発プラントの建設から、運転、保守までフルに提供できる国内トップ企業です。その上、同社はミサイルや戦闘機など、防衛関連でも圧倒的に強い。原発推進は高市氏の持論ではあるものの、ほかの候補も否定はしていません。

そして防衛力強化は、日本を取り巻く状況的に、覆せない決定事項。米国が内向きになり、中国・ロシア・イランが手を結ぶ時代で、日本の防衛費が伸びていくことは間違いない。つまり隙がないのです」

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防衛費の増額に加えて、原発の建設も行なっており、総裁が誰になろうと三菱重工業は国策の恩恵を受ける銘柄となりそうだ

防衛費の増額に加えて、原発の建設も行なっており、総裁が誰になろうと三菱重工業は国策の恩恵を受ける銘柄となりそうだ

ただ若干気になるのが、すでに株価が大きく上がっていること。20年10月につけた安値の218.1円からすでに約18倍になっており、PER(株価収益率)も50倍弱。投資妙味は残っているだろうか?

「まだまだ全然いけます! 近年の防衛力増強の流れで、国からの防衛関連の発注では、売上高営業利益率を15%まで取れるようになりました。

お国のために我慢してね、という時代錯誤が改められたのです。今後のさらなる利益拡大は約束されているわけで、今からでも問題ないでしょう」

最後に、お待ちかねの大穴銘柄を田口氏から。

「小林鷹之氏の持論である宇宙庁設置に関連して、スカパーJSATホールディングスはどうでしょう。商業用の通信衛星を多数持っていて、最近では防衛関係でも引きがあると思います」

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和島氏は林芳正氏関連で大穴を狙う。

「サーバーなどのコンピューターシステムや、ネット上のデジタル情報に対する攻撃を防ぐ、サイバーセキュリティ分野で伸びている網屋が面白い。時価総額が約340億円と比較的小さく、林氏当選となれば伸びしろは大きいでしょう」

株式投資という視点で、やじ馬的に自民党総裁選をウオッチするというのもまた一興だ。

取材・文/日野秀規 写真/時事通信社

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