日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。 料理と音楽を愛する
少年の成長と、彼の揺れ動く気持ちを描くストップモーションアニメ。
* * *『リビング・ラージ!』
評点:★4点(5点満点)
日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『リビング・ラージ!』をレ...の画像はこちら >>

© 2024 Barletta,Novinski,Novanima,Česká televize,RTVS,MAGIC LAB
明朗でポップな作品が伝えるポジティブなバイブス

フランスの作家ミカエル・オリヴィエの自伝的な小説をもとに、チェコで作られたストップ・モーション・アニメーション映画である(日本で公開されるのは英語版)。

主人公は肥満の中学生で、そのことをめぐる彼の悩みと、恋と友情がカラフルに描かれる。何といっても目を惹くのは非常にユニークなデフォルメを施されたキャラクターの数々で、自由で愉快なデザインが楽しい。

「ピクサー風」だったり「ディズニー風」 だったりするアニメーションにも固有の魅力はあり、それを否定するわけではないが、「~風」という枠組みのうちに一定の窮屈さがあったことが本作のような作品を観るとよく分かる。

物語はある意味ありきたりで、そこにとてつもない驚きや衝撃はないけれど、それがしっかり中学生の「等身大」に感じられるのもいいところ。いじめっ子もいるし、体型のこともあってさまざまな悪夢に悩まされる主人公が、それでもあまり暗く落ち込まず、大体において前向きに楽しくやっていけている......というところは重要で、誰にとってもポジティブなバイブスはやっぱり有効なのである。

明朗でポップな作品自体がそのことを再帰的に証明していると言えるかもしれない。

STORY:音楽と料理が大好きな12歳のベン。同級生の少女に恋したベンは、自分の見た目が少しずつ気になり始め、ダイエットに挑戦。だが、思うようにはいかず、モヤモヤが胸の奥でざわめき出す......

監督:クリスティーナ・ドゥフコヴァ
声の出演:タイラー・ゲイほか
上映時間:79分

全国公開中

編集部おすすめ