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いつしかみんなの人気者になったミャクミャク
最初はいろんな批判もあったけど、大盛況で終わりそうな大阪・関西万博。批判のひとつだった公式キャラクター"ミャクミャク"もいつしかみんなの人気者に。

みんなミャクミャクが大好きだったよ! 感謝の声がたくさん集まりました!

*  *  *

■万博終盤! ミャクミャク熱がとんでもないことに!

最終盤となった大阪・関西万博。駆け込み人気がすさまじく、入場者数も9月18日に2000万人を突破。黒字のめどが立ったとされている。

その万博人気の立役者といえばなんといっても公式キャラクターのミャクミャク。目がいくつもある不気味な顔に、ビビッドな赤と青の色使いも相まって「怖い」「気持ち悪い」という評価が先行していたのはご存じのとおり。

それが今や「かわいい!大好き!」と押しも押されもせぬ大人気キャラクターに。なぜこんな人気者に!? ファンの声やミャクミャク商品などのプロデューサーに話を聞き、感謝の気持ちを込めて、改めてミャクミャクについて調査してみた!

というわけで実際に9月後半のある日、大混雑の万博会場に行ってみた。

【万博「ミャクミャク愛」の現場】プロデューサーが明かす人気の裏側「万博が終わったから消えていくというのではなく、これからも愛されていくキャラクターに...」
万博内のミャクミャク立体モニュメント「いらっしゃいミャクミャク」

万博内のミャクミャク立体モニュメント「いらっしゃいミャクミャク」
万博のゲートをくぐると、高さ約4mの巨大ミャクミャク像(モニュメント)がお出迎え。

東ゲート側には来客に向けてお辞儀する「いらっしゃいミャクミャク」。西ゲート側には両手を広げてはしゃぐ「ワクワクミャクミャク」。さらに西に行った所には、大阪市役所前に置かれていた「ねそべりポーズミャクミャク」が最近になって移設されている。

このミャクミャクモニュメントと記念写真を撮りたい人で長蛇の列。また、ここで初めて立体のミャクミャクを見ることになる人も多いためか、「かわいい」の声があちらこちらから聞こえる。

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「ワクワクミャクミャク」

「ワクワクミャクミャク」
【万博「ミャクミャク愛」の現場】プロデューサーが明かす人気の裏側「万博が終わったから消えていくというのではなく、これからも愛されていくキャラクターに...」
「ねそべりポーズミャクミャク」

「ねそべりポーズミャクミャク」
そして、モニュメントの後ろにまわると丸いしっぽの部分の赤い目。このしっぽがまた人気で「かわいい~」と若い女性が記念撮影をしていた。

そんなミャクミャクと直接触れ合える場所として設置されたのが「ミャクミャクハウス」。完全入れ替え制で、中に入るとミャクミャクの誕生の秘密から身長、体重、性別、性格などミャクミャクのすべてがわかるだけでなく、ミャクミャクと好きなポーズでツーショットの写真が撮影できるというパビリオン。ここも大人気で、この日は午後でも3時間待ちの状態。

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ミャクミャクハウス内にはミャクミャク誕生の秘密やプロフィールが

ミャクミャクハウス内にはミャクミャク誕生の秘密やプロフィールが
【万博「ミャクミャク愛」の現場】プロデューサーが明かす人気の裏側「万博が終わったから消えていくというのではなく、これからも愛されていくキャラクターに...」
身長は自由自在で体重は不明らしい

身長は自由自在で体重は不明らしい
さらに! 天候やミャクミャクのスケジュールに問題がなければ、毎日午後から数回、15分間ほど西側のエリアにある「エキスポアリーナ」や「風の広場」に突然ミャクミャクが現れて、一緒に写真を撮ったりしてくれる「ミャクミャクグリーティング」が行なわれているのだ。

その様子を間近で見ることができた。

ぽっこりおなかに短い手、歩くたびに赤いしっぽが左右にプラプラ揺れるので、周りの人たちから「かわいい~」の声が飛ぶ。あまりの人だかりで中心のミャクミャクが見えないほどだ。

中には、小さな子供連れの親が次のパビリオンの予約があるのか、ミャクミャクを囲む人だかりから離れようとすると「ミャクミャクとお別れするのが嫌だ」と泣き出す子供がいたりと、ミャクミャクの人気ぶりはすさまじかった。

■ミャクミャクさまにささげる愛の言葉

では、ここからはそんなミャクミャクの魅力に取りつかれてしまったファンの人たちの感謝の声を聞いていこう。

ミャクミャク柄のウエア、首には赤いミャクミャクリング、手にするバッグもミャクミャク柄。そんな全身ミャクミャク姿で会場にいた虫明良太郎さんに話を聞いた。

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全身ミャクミャクの虫明良太郎さん

全身ミャクミャクの虫明良太郎さん
――その衣装が気になります。

「もうミャクミャク柄の服を着たり、ミャクミャクグッズを身にまとうと何か高揚感を感じるようになってきて、家を出たときからこの格好。このミャクミャクだらけの服で電車やバスにも乗ってます。

目立ちすぎて、乗り合わせたお客さんがみんなこっちを見ますけど、それでいいんです。最近は注目されるのが逆に快感ですね(笑)」

――万博ももうすぐ終わってしまうんですが、ミャクミャクに最後どういう声をかけてあげたいですか?

「『良かったね』ですね。『もう大丈夫だよ。今、万博会場はご覧のとおり人でいっぱいだよ』って言ってあげたいですね。

まだパビリオンも何も立ってないさら地の万博会場予定地で、ミャクミャクが踊る動画が撮影されたんです。あの何もないさら地で一生懸命踊るミャクミャクは不安やったと思います。

けど、頑張ってやっていたらこんなすごい人気者になって、本当に『良かったね』なんですよ」

続いては、頭の上にミャクミャクのぬいぐるみがたくさんのっていて、手にはミャクミャクバッジがいっぱいついたカバン。そんな服装のあんばーさん(仮名)に話を聞いた。

【万博「ミャクミャク愛」の現場】プロデューサーが明かす人気の裏側「万博が終わったから消えていくというのではなく、これからも愛されていくキャラクターに...」
ミャクミャクバッジがいっぱいついたカバンを持つあんばーさん(仮名)

ミャクミャクバッジがいっぱいついたカバンを持つあんばーさん(仮名)
――バッジがすごいですね。

「もうミャクミャクが好きで好きで好きすぎて、グッズを集めるだけでは満足できなくなってバッジとか自分で作り始めました」

――目立つ格好ですが、普段もそんな感じなんですか?

「関西圏の『変なホテル』にミャクミャクコラボルームというのがあるんですが、一度ミャクミャクのコスプレでその部屋に宿泊しに行ったんです。

ホテルのスタッフがミャクミャクがミャクミャクの部屋に泊まりに来たと驚いてました」

――ミャクミャクの一番の魅力はどこですか?

「ファンサービスのすごさですよね。もうみんなに優しい。素直な気持ちがこっちに伝わってくる。

実際に、体の不自由な方がいらっしゃったとき、親切にサポートしている姿も見ましたし、そういうのを見かけたりすると、もうどんどん好きになっていきました」

――こんなに愛しすぎると、万博が終わったとき大変じゃないですか?

「たぶん終わってもそれを急には受け入れられず、しばらくはゲートの前まで行くでしょうね。

何日か万博があった会場に通って、いつ行ってもゲートが閉まって入れないのを経験してやっと『ああ万博が終わったんだな』と理解できるんじゃないかなと思います」

さらに移動して、ミャクミャクハウスを取材しようと出てくる人を待っていたところ、バッグにいっぱいミャクミャクのぬいぐるみをつけた女性のみやQさん(仮名)が出てきた。

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ミャクミャクハウスに30回通うみやQさん(仮名)

ミャクミャクハウスに30回通うみやQさん(仮名)
――ミャクミャクとの出会いを教えてください。

「開幕の3日目に初めて万博に来たんですが『ミャクミャクハウス』に直行。もう......言葉にならないくらいかわいい。それからは万博に来てはミャクミャクハウスに通い詰めています(笑)」

――通い詰めるというのは何回くらいでしょう?

「かれこれ40回は万博会場に来て、そのうち30回はミャクミャクハウスに行ってます」

――30回ですか!

「たぶんミャクミャクも私のことをもうわかってると思います。私がそばに行くと、顔を小さくのけ反らせて『おっ』て感じのしぐさをしたりします。『あっ、また来たの?』みたいな感じです」

――ミャクミャクの人気について何か感じるところは?

「みんなに優しく接してくれてます。

でも、時として厳しい面もあるんですよ。

ミャクミャクハウスで列に並ばずにいきなりミャクミャクと写真を撮ろうとする人がいたんです。そのときミャクミャクはルールを守らない人から逃げるように離れて写真を撮らさないようにしてました。けっこう、正義感の強いヤツだなあと感心しました」

――最後に万博が終わりますが、ミャクミャクにどんな言葉をかけてあげたいですか?

「この万博は終わるんですが、次の万博もその次の万博もキャラクターはミャクミャクでいいと思うんですよ。終身名誉万博キャラクターとして、これからの万博も盛り上げていってねと言いたいです」

■プロデューサーに聞く人気の秘密!

こうしたミャクミャクフィーバーの裏側を中の人にも聞いてみた。今回の万博のロゴやミャクミャクを使った商品のライセンスを管理する「大阪・関西万博マスターライセンスオフィス」のプロデューサー・H氏。H氏はミャクミャクの3次元化、立体化をプロデューサーとして進めた責任者だ。

――ミャクミャクファンに好きになったきっかけを聞くと、多くの人が立体のモニュメントや着ぐるみが動くのを見てからと答えていました。

「そうですね。ミャクミャクの平面の像を最初に見られて、妖怪っぽいイメージを持たれた方が多かったかもしれません。でも、その生物がより人に近い動きをすることで皆さん愛らしさやかわいさを受け入れてくれたんだと思います。

また、これもよく話をするんですが、『キモかわいい』という言葉があるじゃないですか。

最初見たときは気持ち悪いと思っても、だんだん見ているうちにかわいいと思えるようになってきたんでしょうね」

――着ぐるみのかわいさにハマったという人も多いです。

「着ぐるみ制作を担当した造形士とミャクミャクをデザインされた山下浩平さんに監修いただきながら、『もう少しこうしたほうが、ああしたほうが』とやりとりしながら何度も調整改良し制作を進めました。

まず、おなかをちょっとぽっちゃりさせたほうがかわいいよねということで『ポッコリおなか』にしました。

また、5つある目も着ぐるみでは微妙に位置や大きさを調整しています。最もかわいく見えるように位置や大きさを確認して決めていきました。目の位置の調整で一番かわいく見える顔が造形できたと思っています(笑)」

【万博「ミャクミャク愛」の現場】プロデューサーが明かす人気の裏側「万博が終わったから消えていくというのではなく、これからも愛されていくキャラクターに...」
しっぽがかわいいとファンを魅了するバックショットだ!

しっぽがかわいいとファンを魅了するバックショットだ!
――しっぽの部分の目もなぜあんなにかわいくポヨンポヨン揺れるのか不思議なんですが、わざとお尻を振りながら歩いてるんですか?

「いえいえ、ミャクミャクはお尻を振りながら歩いてるわけではありません(笑)。普通に歩いてもしっぽの部分の目がかわいく揺れるようにちょっと工夫しています。

ただ、あまり大きく揺れすぎてもダメなので程よく揺れる大きさなどをいろいろ調節しました」

――ほかにミャクミャクがこれほどまでに人気になった理由と考えられることはありますか?

「ミャクミャクはあの赤い円環リング部分をほかのキャラクターに合わせることで、いろんなキャラクターとなりきりコラボができるんです。

例えば、サンリオさんのキャラクターとコラボしたり、さらに『しまねっこ』(島根県)などのご当地のキャラクターとコラボしたりして、全国に広まっていきました」

【万博「ミャクミャク愛」の現場】プロデューサーが明かす人気の裏側「万博が終わったから消えていくというのではなく、これからも愛されていくキャラクターに...」
さまざまなキャラクターとのコラボや色も変幻自在なので、ミャクミャクグッズは人気を広げていった

さまざまなキャラクターとのコラボや色も変幻自在なので、ミャクミャクグッズは人気を広げていった
――グッズがヒットした要因としてほかにも考えられることはありますか?

「ミャクミャクって色や形状が自由に変えられるんです。メッセージを伝えるときに色が変化するんですよ。だから、青と赤だけではないんです。春先はピンクカラーの桜柄のミャクミャクが登場しましたし、今は黒色の『黒ミャク』が人気みたいです。

このキャラクターはこうでないといけないというのではなく、受け取った方がこうであってほしいと創造いただき、自由に変化できるキャラクターなんです。そういうところも受け入れられた要因かもしれませんね」

――最後に、ミャクミャクの今後については?

「せっかく皆さんにこうやって愛されるキャラクターになったんで、万博が終わったから消えていくというのではなく、これからももっともっと皆さんに愛されていくキャラクターになってほしいですね。

今後、具体的にどうなっていくかは、今はまだ私もわからないんですが、これからも携われるのであればずっとずっとミャクミャクと一緒に歩んでいきたいなと思っています」

取材・構成/ボールルーム

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