【キムチャーシュー丼】想像をはるかに超えるうまさに震撼! 日...の画像はこちら >>
ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

* * *

関東地方を中心に展開する、リーズナブルな中華料理チェーン「日高屋」。ラーメン類や定食などの食事メニューは豊富だが、僕がここに食事目的で入ったことは、ほとんどない。

その理由は、酒やつまみ類も豊富にあるから。たとえば飲み会の予定があって、予定時間より早めにその街に着いてしまったとか、出先で小一時間の空き時間ができてしまったとき、ひとりでさくっと1、2杯飲むのに最適すぎる店なのだ。そんな使い方ばかりで申し訳ないと思いつつ、しかし看板にはしっかりと「ちょい飲み」とも表記さているから、ありがたく利用させてもらっている。

【キムチャーシュー丼】想像をはるかに超えるうまさに震撼! 日高屋で勝手に作る「キムチャーシュー丼」:パリッコ『今週のハマりめし』第211回
おなじみの看板

おなじみの看板

【キムチャーシュー丼】想像をはるかに超えるうまさに震撼! 日高屋で勝手に作る「キムチャーシュー丼」:パリッコ『今週のハマりめし』第211回
充実のちょい飲みメニュー

充実のちょい飲みメニュー

そんな日高屋で飲む際の僕の定番おつまみといえば、これまで不動の一品があった。「三品盛合わせ(やきとり・キムチ・メンマ)」。これは、品名どおりにキムチとメンマ、それから、串スタイルではなく皿盛りのたれ焼鳥にねぎが和えられた、ちょっと独特な名物メニュー「やきとり」を盛り合わせたものだ。毎度、この3品の組み合わせって本当にベストなんだろうか? とちょっぴり疑問に思わなくもないんだけど、大きめの皿にけっこう量が出てきて、味が濃いから長持ちするので、やっぱり頼んでしまう。税込370円という価格も嬉しい。

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日高屋の「三品盛合わせ」

日高屋の「三品盛合わせ」

ところが先日、なんだか気分を変えたくなった。
せっかくこれだけいろいろとメニューがあるんだから、たまには別のものを頼んでみようかな。そんなとき僕のようなしみったれた酒飲みは「美味しそう」はもちろん、むしろそれ以上に「長持ちしそう」という基準でメニュー選びをしてしまう傾向がある。そんな僕の目に飛び込んできたのが「キムチャーシュー」(300円)だった。

【キムチャーシュー丼】想像をはるかに超えるうまさに震撼! 日高屋で勝手に作る「キムチャーシュー丼」:パリッコ『今週のハマりめし』第211回
「キムチチャーシュー」ではない

「キムチチャーシュー」ではない

するとこれが良かった。キムチの上に細切りのチャーシューがのり、ごまがかかったシンプルな一品だが、それぞれがちゃんと美味しいし、組み合わせも絶妙だ。その日はとてもいい気分でそいつをつまみに飲んで帰宅した。

以来、実はずっと試してみたいと思っていたことがある。あのキムチャーシュー、絶対ごはんに合うだろうな。次に行ったときは、勝手にごはんにのせて「キムチャーシュー丼」にして食べてみたいな、と。昨日、買いものに出た街に日高屋があり、しかも昼食がまだだったので、これはチャンスと実行に移すことにした。

結論から言って、キムチャーシュー丼は大成功で、しかも我ながらこの日の注文が完璧だった。気分によるアレンジの余白はあるとして、日高屋におけるベースの注文は今後もう、これで決まりと言ってもいいくらいだ。

順を追って紹介してゆこう。

まず頼むのは当然キムチャーシュー。それからごはん。「半ライス」(150円)「ライス」(210円)「ライス大盛」(280円)とあり、ふだん定食類のごはんを半分で注文することの多い僕なので、半ライスで事足りるはず。が、その近くに「ライスセット」(230円)の存在を発見し、たまらずそれを選ぶ。理由は後述。

さらに、もう1品くらいなにか欲しいなということで、王道の「餃子(6個)」(300円)を選択。餃子はハーフの(3個)もあって、なんと160円というお得さだ。それから忘れず頼みたいのが、トッピングコーナーの「秘伝の辛味噌」(30円)。最後に「ホッピーセット」(460円)を頼んで注文完了。一応、おさらいしておくとこうなる。

・「キムチャーシュー」(300円)
・「ライスセット」(230円)
・「餃子(6個)」(300円)
・「秘伝の辛味噌」(30円)
・「ホッピーセット」(460円)

これだけ頼んで合計1,320円な日高屋、やっぱりすごい......。

注文の品は想像していたとおり、ホッピー、キムチャーシュー、辛味噌、ごはんセット、餃子の順に少しずつやってきた。つまり、まず僕の前にはまず、スタートに最適と思われるホッピーとキムチャーシューの組み合わせが届く。

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よし、飲むぞ! という光景

よし、飲むぞ! という光景

【キムチャーシュー丼】想像をはるかに超えるうまさに震撼! 日高屋で勝手に作る「キムチャーシュー丼」:パリッコ『今週のハマりめし』第211回
「キムチャーシュー」

「キムチャーシュー」

キムチの上にごろごろとチャーシューがのり、見るからにホッピーに合いそうだ。しかし今日は、この皿にいきなり手をつけるのをぐっとがまんする。なぜなら最大の目的が「キムチャーシュー丼を食べること」であり、となればシメ付近で食べたいからだ。もともと温かいメニューではないのもちょうどいい。

そこでホッピーをちびちび飲みはじめていると、すぐにごはんセットも届いてくれた。そのありがたさ。

なぜ僕が単品のライスではなくセットを頼んだのか。それはもちろん、セットについてくるスープと漬けもの(この日はザーサイ)をつまみにするためだ。ライス単品が 210円で、ライスセットが230円だから、その差わずか20円。20円でスープとザーサイが手に入ってしまう、日高屋の魔法。

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「ライスセット」

「ライスセット」

しっかりとオイリーでねぎのしゃりしゃり食感が心地よい醤油スープ、言わずと知れたザーサイ、どちらもなんの問題もなくつまみになる。胃袋と気持ちを温めるのにもちょうどいい。

やがて少し時間を置き、焼きたての餃子も到着。

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「餃子(6個)」

「餃子(6個)」

つるんとした皮と、にんにくやにらはしっかり利いているけれどもあっさりとした餡。そしてパーフェクトな焼き目の香ばしさ。毎度思うが、こんなうまいものがたったの300円ってどういうことなんだろうか。

そしてまた、ひとつめは酢、醤油、ラー油の王道だれで食べ、次から効いてくるのが秘伝の辛味噌。濃厚で甘辛く、焙煎っぽいほのかな苦味もあるこのみそを、餃子に遠慮なくつけてがぶり。さっきまで穏やかだった餃子が一転力強い表情を見せ、これがホッピーに合わないわけがない。

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餃子×辛味噌の問答無用感

餃子×辛味噌の問答無用感

そうやって餃子を3つ食べたところで1杯目のホッピーもなくなり、「おかわりウォッカ(中)」(250円)を追加する。そうそう、日高屋のホッピーのナカは焼酎ではなくウォッカ。アルコール度数は約2倍。
ふだんどおりに飲んでいるはずが不思議と酔いが早く回ってくるのも、日高屋飲みの醍醐味だ。

それではいよいよ、キムチャーシュー丼のターンへ突入だ。まだ手をつけていなかったごはんの上に、キムチャーシューをどさっとのせてしまう。

【キムチャーシュー丼】想像をはるかに超えるうまさに震撼! 日高屋で勝手に作る「キムチャーシュー丼」:パリッコ『今週のハマりめし』第211回
これが日高屋のキムチャーシュー丼

これが日高屋のキムチャーシュー丼

お茶碗というよりは小どんぶり呼びたい、普通盛りでもたっぷりの白米。それをしっかりと覆うキムチャーシュー。思いのほか良いバランスのどんぶりができてしまったし、ボリュームも想像以上だ。

前回初めて食べていちばん驚いたのは、このチャーシュー自体の美味しさだった。とろりと柔らかい脂身と、食べごたえのある肉の両方が楽しめ、少し甘めのたれの味と豚の旨味も素晴らしい。しゃきしゃきと甘酸っぱ辛いキムチと一緒に食べてもまた抜群だし、すりごまの香りも想像以上に効果的。

その味をひと口確認してホッピーを飲んだら、いよいよ白米とともにばくり。もぐもぐもぐ......う、うわー! これは狙いどおりどころの話ではない! キムチャーシューと白米、合いすぎる! この組み合わせに気づけた自分に惜しみない拍手を送りたい。勝利の美酒がいっそううまい。

【キムチャーシュー丼】想像をはるかに超えるうまさに震撼! 日高屋で勝手に作る「キムチャーシュー丼」:パリッコ『今週のハマりめし』第211回
白米がキムチャーシューの赤に染まりゆく

白米がキムチャーシューの赤に染まりゆく

くり返し、キムチャーシューライスをほおばっては目をつむってじっくりと味わい、ホッピーを飲む。これだけでじゅうぶん幸せなんだけど、こちらにはまだ餃子3個も残っている。餃子と米が合うことは、誰もが知るところだろう。つまり、その幸せまでも手にする自由が、今の僕にはあるということが。

【キムチャーシュー丼】想像をはるかに超えるうまさに震撼! 日高屋で勝手に作る「キムチャーシュー丼」:パリッコ『今週のハマりめし』第211回
夢の光景

夢の光景

もうひとつの大発見だったのが、キムチャーシュー丼と辛味噌の組み合わせ。合わないはずがないだろうと試しにちょんとのせて食べてみると、あ、この味はあれだ! ビビンバ!

そこで辛味噌を思い切って追加し、残っているキムチャーシュー丼の半分とよく混ぜる。ここでスープ用のれんげが効いてくる。めちゃくちゃ混ぜやすい。結果、なんたることか、ひとつどんぶりのなかにキムチャーシュー丼とキムチャーシュービビンバ、ふたつの料理が並びあっているじゃないか。なにこれ、奇跡?

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偶然から生まれたキムチャーシュービビンバ

偶然から生まれたキムチャーシュービビンバ

それらをいったりきたりしつつ、たまに残った餃子をかじりつつ、ホッピーをぐびぐび。あ、酒がなくなってしまった。日高屋におけるプレーンチューハイこと「ウォッカソーダ割り」(300円)、追加やむなし!

というわけで、思いつきを実行してみたら自分でも想像していた以上の怪物が誕生してしまい、最終的には恐怖すらおぼえた禁断のメニュー。日高屋のキムチャーシュー丼。

僕はそれのベーシックがより好きだったが、もしビビンバが大好きな方は、いきなり辛味噌を全量投入して思いっきり混ぜてしまっても良いかもしれない。その際、トッピングの温泉卵を追加したらさらにすごそうだ。次回、そっちも一度試してみようかなぁ。

取材・文・撮影/パリッコ

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