村上よりも岡本、佐藤輝! 今永、菊池よりも東! 第3捕手は郡...の画像はこちら >>

前回大会ではアメリカとの激闘を制して世界一に。今大会でも大谷(中央)の活躍に期待したい

来年3月開幕のWBCで連覇を目指す井端ジャパン。

野球評論家・お股ニキ氏が、肩書やネームバリューを一切考慮せず、忖度抜きで"最強メンバー"を選抜する!

※選手の所属は2025年12月3日時点。

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【【投手15人】選考基準は〝間違いを起こさない〟】

大谷翔平(ドジャース)の参戦表明で、WBCに挑む侍ジャパンへの関心度も高まってきた。連覇を狙うため、そして、大谷という史上最高のピースを生かすためにはどんな布陣で臨むべきなのか?

「大谷の参戦でMLBの選手たちも出場しやすい雰囲気になったはず。とはいえ、メジャーリーガーという肩書や、過去のネームバリューではなく、現在進行形で力を発揮できる〝勝つために動ける選手〟を選ぶべき。複数ポジションを守れるユーティリティ性も重要な選考基準です」

こう語るのは『週刊プレイボーイ』本誌おなじみの野球評論家・お股ニキ氏。現役投手を指導するピッチングデザイナーでMLBにも精通する識者と共に、忖度なしで30人の侍を選抜していきたい。

村上よりも岡本、佐藤輝! 今永、菊池よりも東! 第3捕手は郡司! これがWBC侍ジャパン「ベストメンバー30人」の最適解だ!!!
栗山英樹氏の後任として就任した井端弘和監督。東京五輪では内野守備・走塁コーチを務めた

栗山英樹氏の後任として就任した井端弘和監督。東京五輪では内野守備・走塁コーチを務めた

まずは投手陣。お股ニキ氏が選考ポイントとして挙げるのは何か?

「ストレートの質が良く、落ち球があって制球力も高い、いざとなれば先発でもリリーフでもいけるタイプ。左右のバランスを気にするよりも、〝間違いを起こさない投手〟を選びたいです」

その上で「先発の軸」としたいのはもちろん、ドジャースのあのふたりだ。

大谷翔平は投げられるなら先発で考えたい。山本由伸も今季の蓄積疲労が心配ですが、招集できるなら『日本の真のエース』として外せません」

実力面でいえば、ポスティングでのメジャー移籍を狙う今井達也(西武)も加えたい。

「先日のファン感謝イベントでは軽く投げて150キロ前後を連発。ほかの投手は軽く投げると120キロ程度でしたから、格の違いを見せつけました。入る球団次第ですが、呼べるなら先発で使いたいです」

もうひとり、お股ニキ氏が期待するのはMLB1年目で2桁勝利を挙げた36歳の菅野智之(オリオールズFA)だ。

「本人も『出場したい』と意欲を示しています。前回大会、チーム最年長で精神的支柱となったダルビッシュ有(パドレス)も当時36歳。同じ役回りを期待したいです」

続いて、ロングリリーフなども見込まれる第2先発。お股ニキ氏は「先発としての実績はもちろん、リリーフ適性も欲しい」として、今季沢村賞の伊藤大海(日本ハム)と、MLBポストシーズンでブルペンを任された佐々木朗希(ドジャース)の名を挙げる。

「伊藤は最初から100%の出力を出せるのが強み。東京五輪や前回WBCでも中継ぎを務め、全試合無失点の実績があります。佐々木もポストシーズンで経験した、短いイニングで高出力を発揮する投球を見せてほしい。また、このふたりは前述した先発候補で招集不可の選手がいた際は、先発の軸にもなりえます」

さらに、「第2先発もできる要員があと3人必要」と語るお股ニキ氏。左腕では東 克樹(DeNA)の名前が挙がった。

村上よりも岡本、佐藤輝! 今永、菊池よりも東! 第3捕手は郡司! これがWBC侍ジャパン「ベストメンバー30人」の最適解だ!!!
最多勝2度の東。「今永や菊池以上にメジャーで通用すると思っています」(お股ニキ氏)

最多勝2度の東。「今永や菊池以上にメジャーで通用すると思っています」(お股ニキ氏)

「東は代表経験こそ少ないものの、最多勝2度の実績が示すとおり、『勝てる投球』ができる。左腕では今永昇太(カブス)や菊池雄星(エンゼルス)らメジャー組の名前を挙げる人もいるでしょうが、私は彼ら以上にメジャーで通用するのが東だと思っています」

そして、種市篤暉(ロッテ)も注目株だという。

「8月以降、投げ方が変わってストレートの質がこれまでと別人です。フォークの質は良い状態のままなので、奪三振数が激増。防御率も8月以降は1点台ですし、今季終盤戦に限れば、NPBトップクラスのピッチングでした。来年3月まであの状態が維持できれば、文句なしの選出です」

ほかに、第2先発の候補になりそうな投手は?

北山亘基(日本ハム)もリリーフ実績があり、今季は先発で安定感が増しました。また、前回大会でこの役回りを経験した宮城大弥(オリックス)と髙橋宏斗(中日)も、今季の調子はいまひとつでしたが、本来の力を出せるのならば当然候補となります」

続いて救援陣。まず挙げるのは両リーグのセーブ王、杉山一樹(ソフトバンク)と松山晋也(中日)。そして、今季50試合連続無失点の偉業を果たした石井大智(阪神)だ。

「短期決戦で重要なのは、間違えないこと。その点で群を抜くのがこの3人です。

いずれもストレートの質が良く、落ち球のキレも抜群で、安心感は日本球界屈指です」

さらに、島内颯太郎(広島)と大勢(巨人)を挙げる。

「島内は今季60試合登板で防御率1.40と安定感抜群。得意のチェンジアップは外国人選手が打ちにくい球速と軌道で、ストレートも良く、メジャー級と私は見ています。大勢は前回大会を経験していて、実績も球の質も申し分なしです」

前回WBCで救援タイプは6人。最後の1枠は誰か?

「すさまじいストレートを投げる柳川大晟齋藤友貴哉(共に日本ハム)、同様にストレートが抜群にいい西口直人(楽天)も面白い。

杉山とソフトバンクの『樹木トリオ』を形成する藤井皓哉松本裕樹もいいですし、リリーフでどうしても左が欲しいとなれば、松井裕樹(パドレス)よりも今季66試合登板で防御率0.87の及川雅貴(阪神)。この中の誰が選ばれても、不安要素は少ないです」

【【捕手3人】鍵を握る「王道配球」】

この豪華投手陣を受ける捕手は誰が適任か? 先日の韓国戦にも出場した若月健矢(オリックス)と坂本誠志郎(阪神)は当確だろう。

「捕手に求めるのは『配球』と『頭脳』に優れた選手。その点で、12球団で群を抜くのがこのふたり。投手の良さを引き出し、勝利につながるリードができる。ソフトバンクの海野隆司もバランス型で素晴らしいですが、経験という面ではこれからに期待したい選手です」

では、主戦捕手は?

「投手陣の顔ぶれはエース級や本格派ばかり。坂本はどちらかというと技巧派タイプの投手を操るのが得意なのに対し、より王道の配球ができるのは若月です。

山本とのコンビ復活を待ちわびるファンも多いはずです」

そして、出番が少ないことも予想される第3捕手に求められるのは?

村上よりも岡本、佐藤輝! 今永、菊池よりも東! 第3捕手は郡司! これがWBC侍ジャパン「ベストメンバー30人」の最適解だ!!!
第3捕手候補の郡司。「一塁も三塁も守れて代打起用もできる。これ以上ない使い勝手の良さ」(お股ニキ氏)

第3捕手候補の郡司。「一塁も三塁も守れて代打起用もできる。これ以上ない使い勝手の良さ」(お股ニキ氏)

「打撃が良く、ファーストも守れるユーティリティ性です。実績では坂倉将吾(広島)、勢いなら20歳の寺地隆成(ロッテ)も面白い存在ですが、個人的には郡司裕也(日本ハム)を推したい。ファーストもサードも外野も守れて代打起用もできるなど、これ以上ない使い勝手の良さがあります」

【【内野手7人】肝は「守備力」と「三振の少なさ」】

続いて内野手。〝勝つための選手〟という点で重要なのは三振の少なさ。また、米国ラウンドは天然芝に極めて近い人工芝の球場でより守りにくくなるため、守備に関しても厳しい目で選ぶ必要がある。

「この観点から、サードは岡本和真(巨人)か佐藤輝明(阪神)。岡本はファーストも外野も守れますし、佐藤も外野が守れて、守備そのものも格段にうまくなりました。

このふたりが入ると、残念ながら村上宗隆(ヤクルト)は選外に。前回WBCで苦しんだように、シーズンで三振が多い選手は短期決戦で計算しにくい、という側面もあります」

岡本がメジャー移籍の関係で招集不可の場合、右の大砲候補として期待されるのが牧 秀悟(DeNA)だ。

「打撃は素晴らしいですが、セカンドの守備はだいぶ厳しい。

守る優先順位はファーストになると思います」

だとすれば、セカンドの候補は誰か? お股ニキ氏はセ・パの首位打者、牧原大成(ソフトバンク)と小園海斗(広島)の名前を挙げる。

「ユーティリティ性で抜けているのは牧原です。セカンドもサードも守れて、センターもできる。前回大会でも追加招集で選ばれ、ジョーカーとして活躍したように、チームで求められる役割に徹することができます。小園はショートの守備は厳しいですが、セカンドの先発かサードのバックアップで使いたいです」

では、ショートのスタメン候補は誰か?

村上よりも岡本、佐藤輝! 今永、菊池よりも東! 第3捕手は郡司! これがWBC侍ジャパン「ベストメンバー30人」の最適解だ!!!
日本一に貢献した野村。「身体能力が桁違い。日本のムーキー・ベッツになれる存在」(お股ニキ氏)

日本一に貢献した野村。「身体能力が桁違い。日本のムーキー・ベッツになれる存在」(お股ニキ氏)

野村 勇(ソフトバンク)はどうでしょう。守備も良く、セカンドもサードもできる。日本シリーズで日本一を決める決勝弾を放ったように勝負強さもある。今年は4月に左膝靱帯を損傷しながらもプレーを続けて結果を残しましたが、身体能力が桁違いな証拠。〝日本のムーキー・ベッツ〟になれる存在だと思います」

ただ、勝負どころでは「本職のショート」の存在が必要不可欠だという。

「バックアップとして源田壮亮(西武)か矢野雅哉(広島)は加えたい。

当初は矢野かなと考えていましたが、打撃不振で広島でも出番を減らしたのが懸念点。

源田は前回大会途中に骨折しながらプレーを続けたように根性もあり、誰よりも〝勝つための野球〟に徹することができるのも魅力。このふたりほどではないものの、守備力もあって打撃もいい泉口友汰(巨人)も含めた3人から選びたいです」

【【外野手5人】最後の1枠はふたりの天才打者】

外野手では、「日本人右打者でメジャー初の30本塁打&100打点」達成の鈴木誠也(カブス)の活躍に期待がかかる。

「ケガで前回大会に出場できなかった雪辱を果たしてほしい。好不調の波が激しいのは難点ですが、打ち出したら手がつけられなくなる選手。大谷の後を打つ3番か4番として起用したいです」

右の大砲候補では森下翔太(阪神)も注目株だ。

「スプリットやスイーパーを攻略できるスイング軌道で、誰よりも勝負強い打撃ができる。韓国戦で起用されたセンターとしても注目です」

足と守備で選びたいのが周東佑京(ソフトバンク)と岡林勇希(中日)だ。

村上よりも岡本、佐藤輝! 今永、菊池よりも東! 第3捕手は郡司! これがWBC侍ジャパン「ベストメンバー30人」の最適解だ!!!
前回大会でも好走塁で魅せた周東。「代走や守備固めでの起用のほうがよりインパクトを残しそう」(お股ニキ氏)

前回大会でも好走塁で魅せた周東。「代走や守備固めでの起用のほうがよりインパクトを残しそう」(お股ニキ氏)

「どちらも守備と走塁だけではなく、打撃もいいのが魅力。特に周東はセンターの守備を含めて世界を驚かすことができる選手。本当はスタメンで起用したいですが、代走や守備固めでの起用のほうがよりインパクトを残しそうです」

外野手は前回大会で5人。残り1枠で考えたいのは、日本が誇るふたりの天才打者だ。

吉田正尚(レッドソックス)か、近藤健介(ソフトバンク)か。吉田は守備に難はありますが、前回大会でも最後に4番を任されて準決勝では本塁打を放った。近藤も能力は申し分ない半面、故障しがちなのが心配。共に群を抜く打撃能力を持つものの、似たタイプなので......。悩ましい選択です」

【これが侍ジャパンの勝利の方程式だ!】

ここまで並べた豪華陣容をいかに組み合わせるべきか? 投手陣では、救援投手の使いどころが鍵を握りそうだ。

「先発投手は球数制限と春先の調整段階ということを考えれば、4回途中くらいで降板する可能性もある。そこですぐに第2先発に切り替えるのではなく、三振を狙える中継ぎ、抑えタイプを火消し役にしたい。

次のイニング頭から第2先発を投入し、終盤は通常の試合同様に中継ぎ、抑えタイプをイニングごとに切り替えていくのが理想です」

一方、打順はどう組むのが最適解か?

お股ニキ氏が考案した対左投手のオーダーは、1番DH・大谷、2番中堅・森下、3番右翼・鈴木、4番左翼・吉田or近藤、5番一塁・岡本、6番三塁・佐藤、7番二塁・牧原or小園、8番捕手・若月、9番遊撃・野村......の並び。対右投手の場合、3番と4番が入れ替わるカタチだ。

村上よりも岡本、佐藤輝! 今永、菊池よりも東! 第3捕手は郡司! これがWBC侍ジャパン「ベストメンバー30人」の最適解だ!!!
「ドジャース以上の『世界最高の打線』になる可能性を秘めている」(お股ニキ氏)

「ドジャース以上の『世界最高の打線』になる可能性を秘めている」(お股ニキ氏)

「2番には森下。大谷対策で左腕をぶつけられても、その後を右打者にすることで後続が打ちやすくなる。ドジャースもワールドシリーズ第7戦で大谷の後ろにウィル・スミスを置き、落ち球をとらえて勝負強さを発揮しましたが、あのイメージです。

同様に、吉田と近藤は一撃必殺の打撃ができるフレディ・フリーマン、岡本は一発も期待できるテオスカー・ヘルナンデスのイメージ。世界一のドジャース打線がひな型です」

ただ、今季のドジャースの場合、上位打線で得点や出塁を重ねるものの、下位打線がなかなか打てず、チャンスが広がらない場面も多かった。大谷の打点が昨季ほど伸びなかった要因とも言える。

「その意味で、佐藤には6番あたりでノビノビ打ってほしい。7番の牧原か小園、9番の野村が機能すれば、チャンスで大谷に回るケースも増える。

打てなくとも、球数を稼ぐなどいかにチームに貢献できるか。ドジャース打線をイメージしつつ、ドジャース以上の『世界最高の打線』になりうる可能性を秘めています。そして、終盤は周東、牧原、源田、矢野らの守備・走塁で勝ち切る。これが勝利の方程式です」

文/オグマナオト 写真/時事通信社

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