【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第49回 ...の画像はこちら >>

第2次森保ジャパンを振り返る

11月18日、森保一監督にとって国際Aマッチ100試合目となったボリビア戦は3-0で完封。その立役者のひとり、板倉 滉はU-21から8年間、この指揮官の下で戦ってきた。

そんな彼が語る第2次森保ジャパンの強みとは?

【DF鈴木淳之介に対して思ったこと】

日本代表の今年最後の試合だった、11月シリーズのボリビア戦(11月18日、国立競技場)。僕は5試合ぶりに右CBで先発してフル出場、3-0で完封することができた。

森保一監督にとっては国際Aマッチ100試合目に当たり、FW町野修斗が決めた2点目の直後に、監督を囲んで輪になり喜びを分かち合えたのは心底うれしかった。

ボリビアは、W杯南米予選でブラジルに勝利したチーム。球際に強くてボールを運ぶのがうまく、後半の立ち上がりからしばらく押し込まれる時間帯もあった。それでも、長い間南米との相性が悪いとされてきた僕ら日本がしっかり勝てたのは、さらなる自信につながったと思う。

ブラジルといえば、僕が残念ながらケガで出られなかった10月シリーズのブラジル戦の逆転勝利(3-2)は素晴らしかった。あの試合でまたひとつ、チームもサポーターの気持ちもグッと盛り上がったのではないだろうか。

中でも話題に上ったDF鈴木淳之介は良かった。ブラジル相手に臆することなく、対人が強くて足元の技術もうまく、機動性が高かった。今現在、守備陣ではケガ人が多いけれども、間違いなく皆が淳之介の活躍ぶりを見ていたはずだ。

僕としては「自分も負けてられない」ということよりも、純粋にいい選手だと感じた。

出場した選手がいいプレーをすれば、同じポジションの選手たちにはすごく刺激になるし、チームにはW杯本大会の連戦を戦い抜く上で層の厚みと強化をもたらす。むしろ淳之介みたいな選手がどんどん出てこないとダメだと思う。

もはや日本代表の中には、ブラジルのような強豪国をリスペクトしすぎて物おじしてしまう選手はほぼいない。日頃から海外のそれぞれのクラブで世界各国から集まった選手と戦っている人間が圧倒的に多いからだ。僕は僕で、ここからもしっかり頑張っていきたい。

【日本代表スタッフの陰での動きに脱帽】

僕が森保監督と出会ったのは20歳のとき。18年、監督がU-21代表の指揮官としてAFC U-23選手権へ臨むタイミングだった。

あれからおよそ8年間、ずっとご一緒させていただいているわけだが、森保監督の〝人間力〟のすごさはずっと変わらない。コミュニケーション力がずばぬけているのだ。例えば、外国人の監督だと、お互いの意見や考えを交わすのは言葉の壁もあり、どうしても限界があったりする。思うところがあっても、なかなか伝わりにくい場合もある。

だが、その点、森保監督とは以心伝心だ。

日頃から、僕ら選手は皆思ったことを正直に伝え、また森保監督も真正面から受け止めてくれる。僕もかなり森保監督とは話し込む。練習時でもひとつひとつ擦り合わせを行なう。それを踏まえた上で、監督が最終的に判断し、指示する。

A代表では、森保監督体制が2期目に入っているので、7年にわたる実績がある。この間に東京五輪2020(当時はA代表と兼任)、そして22年W杯カタール大会を経験してきた。僕らの経験値と信頼関係を含めたチームの熟練度は世界でも有数だと思う。
 

もうひとつ、森保監督のすごさは〝ブレない〟ところ。

めちゃめちゃ温厚なんだけど、芯が一本通って、揺るぎない信念がある。周囲からの雑音にもまったく動じない。だから、僕らも信じてついていける。第2次森保ジャパンは監督やコーチのみならず、以前にも増してスタッフもまた頼もしい。

9月のアメリカ遠征では、メキシコ戦(9月7日。以下すべて日本時間)とアメリカ戦(9月10日)の間に約3000㎞の長距離移動と3時間の時差を経験した。

ほとんど練習時間がなく、中2日でほぼぶっつけ本番という超タイトなスケジュールを味わった結果、アメリカ戦は0-2と敗戦してしまったけど、この時点で、いろいろと課題を見つけられて、シミュレーションができたのは本当にポジティブなことだ。

僕らが遠征後それぞれのクラブへ戻っていく中で、スタッフ数人はそのままアメリカに残り、ベースキャンプ地や宿泊施設の候補先の視察を入念に行なっていた。それは過去に苦い経験もあるからだ。

14年のW杯ブラジル大会では、ベースキャンプ地を気候含めて環境的に過ごしやすい場所にしたが、いざ本番で気温や湿気がすごい試合会場になったとき、パフォーマンスを出し切れず、結果は予選敗退となった。(DF長友)佑都君からはその話を聞かされてきた。同じ轍は二度と踏まない。そんなスタッフの姿勢には頭が下がる思いだ。

第2次森保ジャパンは熟練度とコミュニケーション、団結力は抜きんでている。W杯本番まで、その積み重ねと進化はさらに続いていく。

【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第49回 第2次森保ジャパンを振り返る

板倉 滉

構成・文/高橋史門 写真/アフロ

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