【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第50回 ...の画像はこちら >>

新天地アヤックスでの奮闘、26年への期待

2025年8月にオランダの名門アヤックスへ移籍した板倉滉。だが、ここまでのところもがく毎日が続いている。

リーグ、欧州CLでの連敗など苦戦を強いられてもなお、〝ポジティブ〟と言い切る理由とは。

【伝統の一戦でFW上田綺世と対決】

2025年12月14日(日本時間。以下同)、エールディヴィジ第16節。アヤックス対フェイエノールトの試合がアヤックスのホーム、ヨハン・クライフ・アレナで行なわれた。

このゲームは、オランダ語で「デ・クラシケル」と呼ばれ、国内リーグ戦では伝統の一戦とされる。ファンからすれば、ダービーマッチ以上の価値を持つという。

僕も、19-21年にフローニンゲンに所属していた頃から、ほかの選手同様にこのゲームを特別視していた。あれから4年、まさか自分がそのピッチに立つとは......。

試合は2-0、白熱した展開となった(アヤックスが勝利)。僕としても、チームとしても絶対に落とせない試合。すごく楽しみにしていたし、皆もいつも以上に気合い十分だった。

なんといっても、フェイエノールトには日本代表の同僚で、リーグの得点ランキングを独走する(上田)綺世がいる。

そしてDFには同じポジションでよきライバルでもある(渡辺)剛もいる。日本人対決だからというわけではないけど、気持ちは高ぶった。

綺世は代表においては頼もしきFWなのだが、いざ相手にするとなれば、非常に厄介な存在だ。いい状況でペナルティエリア周りから(足を)一本振らせただけで決められる抜群のシュートセンスがある。

これは昔から変わらない。ましてや、今季の16戦18ゴール(12月14日現在)という数字を見れば、いかに脅威であるかよくわかる。

僕としては、いかに綺世に仕事をさせないようにするか、そこにフォーカスしていた。26年3月22日に行なわれるフェイエノールトホームのデ・クラシケルでも絶対に負けないようにしたい。

【新天地アヤックスでCLの洗礼を受け......】

8月に僕はアヤックスへ移籍してきたわけだが、正直11月あたりまでは探り探りの状態で、満足に結果を出すこともできず、なんとなく難しさを感じていたのは事実だ。

今までいたドイツのボルシアMGの居心地は良かったし、特に僕にとって最後となった昨シーズンは楽しかった。帰れるものならば帰りたい気持ちになったときもある。

でも、そう思えるのは僕にとっては非常にポジティブなことだ。

一からのスタートで壁にぶち当たってもがくのは、自分が進化する〝前兆〟だととらえている。

UEFAチャンピオンズリーグ(以下、CL)のリーグフェーズでは、12月11日・第6節の対カラバフ(アゼルバイジャン)戦でようやく初白星をつかむことができた。

4-2の劇的な逆転勝利だったが、立ち上がりに僕とGKヤロシュの連係ミスから相手に先制点を献上してしまったのは猛省しなければならない。

念願だったCLでの戦いは9月18日のインテル戦に始まり、マルセイユにチェルシー、そして僕が出場していないガラタサライ、ベンフィカとの試合も含めれば5連敗。まさに洗礼を受けた形だ。しんどくないと言えばウソになる。かなりキツかった。

やっぱり試合というのは勝たないと面白くないものだ。25年夏にドイツ・ブンデスリーガのフランクフルトへ移籍、僕と同じくCLに初めて挑戦している親友の(MF堂安)律ともちょくちょく電話で話している。

彼のチームもまたCLでは苦戦を強いられているため、自然とお互いに出る言葉は「やっぱ、(試合に)勝ちたいよね」である。

望んでいた過密日程も実際は想像をはるかに超えるものだった。週末のリーグ戦の後、ミッドウイーク(週の半ば、水曜)にCLの試合、すぐまた次のリーグ戦が週末に......。

これが延々と続く。メンタル的には休まるという感覚はない。次の試合に向けてひたすら準備に徹する。ずっとつながっているような感じだ。

このタイトなスケジュールをこなし、国内リーグ戦(フランスのリーグ・アン)でもCLでもコンスタントに結果を出し続けているモナコ所属の(MF南野)拓実君は本当にタフだと思う。

拓実君からはいろいろとアドバイスを受けてきたが、あらためて、拓実君ぐらいの強度がなければ欧州の第一線では通用しないのだと痛感させられた。

常日頃からサッカーがもっとうまくなりたくて必死に練習しているけれど、同様にインテンシティももっと高めたい。

26年は北中米W杯が開催される。グループリーグ初戦の相手はオランダ。さらに熾烈な欧州プレーオフを勝ち上がってきた国や、アフリカの強豪国チュニジアが待ち受けている。

年内最後の代表活動で、森保一監督からは「自チームでしっかり結果を出してもらって、代表に選出されるように努めること」と言われた。年をまたいだ25-26シーズンの後半もしっかりと結果を出していきたい。

【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第50回 新天地アヤックスでの奮闘、26年への期待

板倉 滉

構成・文/高橋史門 写真/アフロ

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