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世界的にブームのレトロゲーム市場

近年、海外オークションではカートリッジ時代のゲームソフトがトンデモ価格で次々と落札されている。そんな中、海外のレトロゲームマニアたちのホットスポットとなっているのが東京・秋葉原。

世界的にブームのレトロゲーム市場が今どうなっているのか紹介します!

* * *

【秋葉原にインバウンドコレクターが来襲!】

2021年にアメリカの「ヘリテージ・オークションズ」で、ゼルダシリーズ第1弾となる『ゼルダの伝説』が87万ドル(約9600万円、為替レートは当時。以下同)で落札され、その後も『スーパーマリオ64』が156万ドル(約1億7000万円)というゲーム史上最高の落札額を記録。

共にアメリカ版のソフトで新品未開封の超優良コンディションのものだが、これをキッカケに世界的に注目されるようになったといわれるレトロゲーム市場。

おじさん世代には懐かしく、実はZ世代にも人気になっているというレトロゲーム界隈事情を紹介します!

今やグローバルな大ブーム! レトロゲームビジネスの世界
2021年7月に米ヘリテージ・オークションズで落札された『スーパーマリオ64』。新品未開封状態で落札価格は156万ドル(約1億7000万円)。ここからレトロゲームブームが急加速!

2021年7月に米ヘリテージ・オークションズで落札された『スーパーマリオ64』。新品未開封状態で落札価格は156万ドル(約1億7000万円)。ここからレトロゲームブームが急加速!

――現在、世界的なレトロゲームの供給地点となっているのが東京・秋葉原。ここでは、どんな客層が商品を買いあさっているのか? 秋葉原で中古PC販売店「秋葉原最終処分場。」、レトロゲームや同人ソフトを扱うショップ「家電のケンちゃん」を展開する中川宗典さんが語る。

中川 インバウンドのお客さんが多いです。それこそ円安がピークだった昨年あたりは、秋葉原の中古ショップの在庫を根こそぎインバウンドのお客さんが持っていくという感じでした。

海外でもeBayなどで中古のハードやソフトが流通しています。でも、ちゃんと動作確認されたものを購入できるとなると、彼らにとってはやはり秋葉原なんです。

――どんな商品が人気なんですか?

中川 今はゲームボーイ、ゲームボーイアドバンス、ニンテンドーDSといった携帯ゲーム機が人気ですね。

特別美品ってわけではないゲームボーイアドバンスSP(箱あり、ファミコンカラー)でも、2万9800円で即売れました。

発売時は1万2800円でしたから2倍以上。これが新品未開封となれば、数十万円の値がついてもおかしくない。とにかく、ゲームボーイなどの携帯ゲーム機は仕入れただけ売れるのが現状です。

――アメリカの億超えのオークションは異常価格ですが、これも十分に高騰中と言えるレベル! なぜ、携帯ゲーム機が人気に?

中川 ゲームボーイシリーズは国や地域ごとに設定されるリージョンコードがなく、基本的にどの国のソフトでも動作します。それもあって海外の方々に人気があります。

そして、言語依存が高い日本製RPGやポケモンなどは、コレクション目的としての購入が多い。これらは、そこそこのコンディションでも数万円で売れていきます。

今やグローバルな大ブーム! レトロゲームビジネスの世界

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――ブームになる前と今とではレトロゲームの仕入れ環境も変わってきている?

中川 それこそ以前は〝カートリッジ1kg◯◯円〟といった量り売りで、タダみたいな金額だったんですよ。というのも、ソフトではなく基板のレアメタルが目的だったんです。

例えば、初代ファミスタなんて100円では売れないけど10円なら売れる。でも、それならバラしてレアメタルだけを取ったほうが儲かったんです。

それが、じわじわとモノがなくなってきて、気づいたら日本人のお客さんも「〇〇のカートリッジを3万円で買えました!」とSNSに投稿してて、なんだかマネーゲームみたいになってきましたね。

ちょっと前までレアメタル業者のおじさんが「ゲームカセットのひと山でレアメタル◯万円!」と言ってましたが、今だと「いや、この1本だけで3万円超えますから!」といった感じです(笑)。

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人気のあるレトロゲームは偽物も登場。家電のケンちゃんでは分解できるカートリッジに関しては内部の基板を公開した状態で販売している

人気のあるレトロゲームは偽物も登場。家電のケンちゃんでは分解できるカートリッジに関しては内部の基板を公開した状態で販売している

――人気商品になると問題となるのが偽物の登場。レトロゲームにも偽物がある?

中川 ありますね。初期の偽物はパッケージの印刷やカートリッジの質感などで判別できましたが、最近はアップデートされて外観での判別が難しくなっています。数百万円レベルの超高額レトロゲームだと、正直買い取りに躊躇(ちゅうちょ)しますね。

結局、カートリッジを開けないと判別できないものもあるんですが、それをやるとシールが剥がれて価値が下がってしまいます。ただ、カートリッジを開けても価値に影響しないスーパーファミコンに関しては内部基板を見える状態で展示、もしくはお客さんの要望で開けることもあります。

――じわじわとモノが少なくなってきて、さらに偽物も登場。これはレトロゲームのブームも終了な感じですか?

中川 いえ、これからもっとレアなレトロゲームが出てきますね。1980年代からのゲームコレクターがもうすぐ70代になる。

鉄道模型やミニカーのコレクターと一緒で、この世代は終活としてコレクションを売却する方々が一定数いるんです。

そうなると、今まで見たことのないような最高コンディションのレトロゲームが発掘されるのではと思っています。ただ、こういったコレクターは知識マウントがすごくて「こんなことも知らんなら、売れん!」とか、買い取りも大変なんです(笑)。

【復刻版もプレ値販売。さらに偽物も!?】

現在、レトロゲーム界隈では〝復刻〟というカルチャーもあるという。海外では往年のゲーム機を丸ごと復刻、国内では「◯◯ミニ」としてファミコンやメガドライブなどが話題になったこともある。

復刻ゲーム機やファミコン、スーファミの互換機を販売する「コロンバスサークル」の若木一雄さんは、今のレトロゲームブームをどう感じているのでしょうか?

若木 若い世代のファンが増えたと感じています。レトロゲームが話題になり、その実況動画を見てプレイしたくなって弊社の製品を手に取る。彼らには本物のファミコンよりも、液晶が一体型ですぐに遊べる携帯型の互換機のほうが圧倒的に人気ですね。

そういった人気もあって、若い世代が同人ソフトとしてファミコン互換のソフトを新規で制作するというカルチャーも生まれています。弊社でもファミコンの互換タイトル『キラキラスターナイト!』を販売しています。

――そんな中、おじさん世代に向けて往年のソフトの復刻版もありますよね。

若木 復刻は本当に難しいです。大手メーカーさんからカートリッジでの復刻の話をいただくこともありますが、権利関係がめちゃくちゃなんです。

1980年代~90年代のゲームは、スタッフロールに愛称を使っている場合が多く、例えば「若木」なら「WAKACHAN」と表示されていて本名がわからなかったりします。

復刻版の制作を進めていると「WAKACHAN、俺なんですけど。なんで許可取らないの?」といった方が出てきて、そこで制作が頓挫してしまうんです。メーカーの許諾はあっても、そもそも当時は契約書すらなく制作されていましたから、どうにもなりません。

今やグローバルな大ブーム! レトロゲームビジネスの世界
レトロゲームを楽しむのに最適なのが互換機。コロンバスサークルではファミコン、スーファミのソフトが遊べる液晶一体型の携帯用互換機を販売中

レトロゲームを楽しむのに最適なのが互換機。コロンバスサークルではファミコン、スーファミのソフトが遊べる液晶一体型の携帯用互換機を販売中

今やグローバルな大ブーム! レトロゲームビジネスの世界
今年発売予定のメガドラの互換機

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復刻版ソフトも人気で中古市場ではプレ値で販売されることも!

復刻版ソフトも人気で中古市場ではプレ値で販売されることも!

中川 あと、大手メーカーでも当時のプログラム、パッケージのデザイン資料すら残ってないんですよ。なので、復刻版を制作する場合はコレクターから実物を借り、データをコピーして制作するといったこともあります。

若木 そして、最近は弊社の復刻版ですらプレ値になったり、海外のECで偽物が販売されていたりします。こういった悪い状況も含め、レトロゲームのブームを実感しています。

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Appleは2024年からiPhone対応のエミュレーターアプリを解禁。App Storeに大量ラインナップ中

Appleは2024年からiPhone対応のエミュレーターアプリを解禁。
App Storeに大量ラインナップ中

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中華系ECで販売される、レトロゲームをインストール済みの携帯ゲーム機。完全非合法なので、購入はダメゼッタイ!

中華系ECで販売される、レトロゲームをインストール済みの携帯ゲーム機。完全非合法なので、購入はダメゼッタイ!

――けっこうなカオス状態のレトロゲーム市場。そんな中、2024年からiPhoneで、ROMデータ化されたレトロゲームを楽しめるエミュレーターアプリが本格的に解禁されました。これは、どう思いますか?

中川 海外のユーザーは著作権に対する意識が日本と大きく異なり、レトロゲームに関して〝パブリックドメイン〟みたいなものだと勝手に解釈し、違法なダウンロードや製品が散見されます。

一方、日本のファンは現在でも実機で楽しむユーザーが多く、コンテンツに対する愛情がありますよ。でも、うちの店で「こんなのROMであるじゃん!」とイキってる若いコがいたりするんですよ。そーいうのは、頼むから外で言ってくれって(笑)。

ただ、レトロゲームを購入する若い人が増えているのは間違いありません。そういったユーザーは話題性だけでなく、ゲーム性そのものにも興味を持ってくれている。これはゲームが文化としてしっかり根づいてきた証拠だと思っていますね。

――今でも十分に楽しめるゲーム性も魅力のレトロゲーム。ただし、違法ダウンロードは絶対に禁止です!

取材・文・撮影/直井裕太 撮影/榊 智朗 写真/HERITAGE AUCTIONS/AFP/アフロ

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