【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第51回 ...の画像はこちら >>

アヤックスに鉄壁日本人コンビ誕生!

今年6月11日、いよいよ北中米W杯が開幕する。2度目のW杯出場を目指す板倉滉は、所属先のアヤックスで日々奮闘中。

親友の冨安健洋も加入し、モチベーションがますます高まっている板倉に今の思いを聞く。

【グループリーグは「手ごわい組」】

W杯イヤーを迎えた。グループリーグの組み合わせも決まったが、率直に手ごわい組だなという印象だ。初戦はオランダ。今、自分がいる国とはいえ、決まったときに特別何か感じたとかはなく、単純に「あ、オランダ引いたか」と。

アヤックスの同僚でオランダ代表の(FWヴァウト・)ヴェグホルストとは「対戦するんだなぁ」と話した。「ユニフォーム交換しようぜ」とも(笑)。オランダは相当強い相手だけど、もちろん〝食う〟つもりだ。

W杯のような重要な大会において、初戦は本当に大事。勝てばチームは勢いづくし、前回大会もそうだったけど、日本を応援してくれる皆さんもたくさん味方につけられる。

チュニジア、欧州プレーオフ組も簡単じゃない。チュニジアには23年のキリンチャレンジカップ、良い内容で2-0で勝った試合を覚えている。

ただ、W杯の舞台となると全然違うし、アフリカ予選も良い成績で上がってきている。きっとどのチームとも難しい試合にはなるだろう。

今はとにかく本大会のメンバーに選ばれるよう、アヤックスで結果を出し、ケガなく後半のシーズンを全うしたい。

そのアヤックスに、トム(DF冨安健洋)が半年間の契約で加入してきた。本当に良かった。10代の頃の世代別代表から一緒に戦ってきた親友のひとり。サッカーという枠を超えて、同じ街にいること自体がうれしい。

トムからは事前にどんなチームなのか聞かれたので、現状を話した。シンプルに「アヤックスは最高だからマジで来い。一緒にやろうよ」と言いたかったが、最終的に行くかどうか決めるのはトム自身なので、そこはぐっとこらえた。

結果的に移籍が実現して何よりだ。この先、監督の起用法によっては同時に試合に出る可能性もある。

そうなったら最高だ。

同じDFのトムが来ることでレギュラー争いが心配じゃないのかという声も聞こえてきそうだが、僕の答えはNO。そんな目先のことより、トムと一緒にエールディヴィジで優勝して、W杯でも高みを目指したい。

【アヤックスの監督に返した〝一言〟】

昨年8月にアヤックスに移籍してから12月末のウインターブレイクに入るまで、山あり谷ありだった。

11月6日(日本時間。以下同)に行なわれたCL(UEFAチャンピオンズリーグ)のリーグフェーズ第4節・ガラタサライ戦以降、11月22日のリーグ戦第13節のエクセルシオール戦までの3試合、僕はベンチを温めることになった。

悔しかったけど、そう思えば思うほどいいプレーはできなくなるもの。練習に行くのも憂鬱になった。毎朝、「滉、仕事だぞ。仕事に行くんだぞ!」と自分に言い聞かせて練習場へ向かっていた。

ふてくされて投げ出すのは簡単。でも、それじゃあ前には進めない。

僕は試合に出ていない分、余っている体力で、いつもだったらやらない別のアプローチをしようと考えた。例えばトレーナーから別メニューをもらって走り方を改良したり、従来とは違った筋トレをしたり。

そんな中、CLのリーグフェーズ第5節・ベンフィカ戦(11月26日)の前日に(フレッド・)フリム監督からオフィスに呼ばれた。そこで僕は思っていることをすべて伝えた。

監督からは「コウを呼んだのは、明日の試合でボランチとして起用したいからだ」と告げられた。「ボランチ!?」と一瞬、戸惑ったが、こう返した。「チームに貢献するのが僕の仕事だから、もちろんやりますが......」。

過密日程により、紅白戦など実戦形式の練習を行なうことはできず、立ち位置の確認のみでのぶっつけ本番。結果は0-2で完敗だった。だが、続くリーグ戦第14節フローニンゲン戦(12月2日)、第15節のフォルトゥナ戦(12月6日)でもボランチとして出場し、勝利を収めることができた。

本来CBである分、守備面において何が必要なのかはわかっていたので、それがうまくハマったのだと思う。

そして第16節(12月14日)の〝デ・クラシケル〟、フェイエノールトとの伝統の一戦ではCBとして出場、2-0でクリーンシートを達成できた。

ボランチには17歳の(ショーン・)ステュア、そして一緒にCBを組んだのは18歳の(アーロン・)バウマンと若手が多い中、僕としては彼らがプレッシャーにのみ込まれずに、堂々と自信を持ってプレーできるよう、ベストを尽くした。

特に、バウマンがマークしなければならなかったのは、リーグの得点ランキング首位を走る(FW上田)綺世。バウマンには「綺世はここの位置に立ちたがっているから」とか、綺世の動きを先読みしてコーチングした。

うまくディフェンスできたときは、大げさなぐらい褒めたたえた。若手にとっては、そういう積み重ねが自信につながる。1試合ごとにアヤックスの若手たちは成長している。それが成績にも表れ始めていると思う。

移籍というのは、難しい側面もある。鳴り物入りで加入して、うまくいかないことも。もちろん最初からチームにフィットして、バンバン結果を出せればそれに越したことはない。でも、なかなか新天地でうまく機能できなかったり、試合に出られなかったりしてもがく経験というのは、長い目で見れば悪いことじゃない。

もがくのは全然いい。

苦しいのは今だけ。乗り越えられない壁はない。

【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第51回 アヤックスに鉄壁日本人コンビ誕生!

板倉 滉

構成・文/高橋史門 写真/アフロ

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