(左)赤木 裕 「野球はうまくないので、助っ人スコアラーとして参加します」 (右)きむらバンド「僕は頑張って審判をやりますよ」
史上最多1万1521組の頂点に立った漫才コンビ、たくろう。"メガネのパーマ"きむらバンドさんと"裸眼のバケモノ"赤木 裕さんを直撃!
* * *
【決勝当日に2本目のネタを決定】――優勝、おめでとうございます。
赤木 いやあ、ありがとうございます。正直、どの出場者もめちゃくちゃウケてましたけどね。
きむら 僕たちは挑戦者だったので、「絶対にウケて終わろうな」と開き直ってやれたのが良かったのかもしれません。あとは審査員の好みかなと。
――ほかのコンビのネタも面白かったですよね。
赤木 本当に。エバースさんもドンデコルテさんも、1本目と2本目のつながりが素晴らしかったですし、ああいうのを目の前で見てしまうと「やばいな~」と。
きむら 自分は逆に「みんな面白いなあ」と感心したけどな。うちらとはスタイルがまったく違うからさ。
赤木 僕らのネタってめちゃくちゃ作り込んだ台本ではなくて、素材のまんまなんです。そこにちょい足しをしていくスタイル。
きむら 赤木自体が素材重視ですから。
――ネタ作りはいつもどんな感じですか?
きむら まずはなんとなく思いついたものをふたりで持ち寄って、擦り合わせますね。ネタをやるたびにちょっとずつ変えて、時間をかけて完成形に持っていく感じです。
赤木 2本目のネタも、M-1決勝2日前の金曜日の夜中3時まで調整してました。
きむら でも、本番前日の土曜日に、最終調整を兼ねてステージでやったら、めっちゃウケなかった(笑)。
赤木 あれは焦ったよね。そこで思い切って、これまでで一番お客さんにウケた準決勝の形に戻しました。
――1本目で赤木さんが挙動不審というフリがあり、そこから2本目のネタへの流れも素晴らしかったです。
きむら これまでどのネタをやるか決めるのは、すべて赤木に任せてきたんです。でも、決勝当日のお客さんの雰囲気を見て、僕が「2本目はビバリーヒルズがいいんじゃない?」と初めて言わせてもらいました。
――その提案が優勝を引き寄せました。
きむら 僕はきっとお客さんと同じ感覚なんです。
――先輩と後輩という関係のおふたり。お笑いを志したきっかけは大きく異なっていたんですよね?
赤木 僕は昔、プロ野球選手を目指していたんです。でも、センスがなかったので高校最後はマネジャーに。人生で一発逆転を狙うためにお笑いを始めました。
きむら 僕は小さい頃から目立ちたがり屋で、将来はジャニーズか吉本だと思ってました。小学校の頃に出っ歯になってきたので、アイドルは諦めて、お笑いに進むことにしましたね。
――きむらさんは大学時代に落語研究部に入り、地元・愛媛では有名人だったとか。
きむら 周囲を笑わせることに燃えてましたね。愛媛でお笑いをやってるやつは少ないので、ケーブルテレビで大きく取り上げてもらったり。自分で言うのもあれですけど、そこそこ名をはせてました。
――NSC在学中には500人の生徒の中で1位を取ったことがあるとか。
きむら そんなこともありましたけど、同期のすごいやつらが次第に頭角を現してきて。結局、僕は「お山の大将」だったんです。
赤木 僕も大学で草野球サークルを立ち上げて、「お山の大将」になろうとしてました。へたくそなのに4番を打って、マネジャーとも付き合って。雰囲気の悪い小劇団みたいなことをやってました。
きむら だけど、そのマネジャーもほかの部員に寝取られちゃったんだよね。
赤木 あれはショックでしたね。
――そこから一発逆転のストーリーが始まるわけですが、おふたりがコンビを組んだきっかけは?
赤木 僕が1年後輩なんですけど、NSCは卒業後に先輩が後輩の面倒を見るシステムがあって、それが縁で出会いました。
きむら 同期が口をそろえて「面白いやつがいる!」というので、赤木が卒業してピンになったタイミングで連絡したんです。
――先輩からの熱烈アプローチが胸に響いたと。
赤木 僕は解散したばかりで、誰でもよかったんですけどね。
きむら おい!
――そんなきむらさんが感じる赤木さんの一番の面白さってどこですか?
きむら やっぱり顔ですよ。常に挙動不審でこんなに目が離せないやつ、いないでしょ? 本当に面白いなっていつも思ってます。
――M-1直後、赤木さんがオアシスのノエル・ギャラガーや松尾スズキさんに似ているという声がSNSで上がりましたね。
赤木 最近、有名な方に似てるって言っていただくことが増えましたね。ありがたいけど、恐縮です。
きむら 人を引きつける見た目ってことだからね。うらやましいよ。こっちなんか1ヵ月半置きに強めのパーマを当てて、必死に目立とうとしているのに。
【ドンデコルテのスマホネタにドキリ】――たくろうさんは以前、結成3年目で準決勝に進出して注目を集めましたが、決勝の舞台に立つまでそこから7年かかりました。
きむら 成績が下がっていくし、もちろん給料も下がる。だから、苦しかったです。でも、優勝できた今だからこそ言えますね。
きむらバンド 1990年1月28日生まれ、愛媛県出身。NSC大阪 36期生。趣味はボートレース、木村拓哉さん鑑賞、ドライブ。特技はギター、ベース、子供に最速で気に入られること
――以前のきむらさんはもっと前に出るスタイルでしたよね?
きむら 今も出ますよ。出るときは出るし、出ないときもある。自分が出なくても、面白ければいい。そうやって腹をくくったのが良かったのかな。
――赤木さんは決勝に行くために何か覚悟を決めたことはありますか?
赤木 うーん......。僕は何も腹をくくってないですね。
きむら それがこいつのいいところなんです。
赤木 でも、ライブ前にネタを作らなくちゃいけないときは、家にスマホを置いていくようになりましたね。
きむら 放っておいたら、ずーっとスマホを見てますからね。
赤木 スマホって見応えがあるんですよ。本当に見応えがありすぎて。一日ずっと見ていても飽きない。ゲームも延々とやってしまうから、アプリを何度も消しました。でも、数日たつとまたやりたくなって再ダウンロードして。そうすると新鮮な気持ちでゲームを楽しめるんです。
きむら 最終決戦の(デジタルデトックスをテーマにした)ドンデコルテさんのネタがめちゃくちゃ刺さってましたからね。完全にスマホ依存症だよ。
【M-1ドリームですてきな出会いはあるか?】――さて、優勝して人生が大きく変わったと思います。
きむら おかげさまで、決勝翌日にはすべてのキー局に出させていただきました。
赤木 知ってる芸能人の方にも握手してもらいましたね。『めざましテレビ』(フジテレビ系)の軽部(真一)アナとか。
きむら 僕は大好きな浅香 唯さんから「写真を撮ってください」と言われたのがうれしかったなあ。
――だんだん売れっ子の顔になって、あか抜けてきた感じがします。
きむら そうですか? まだ現実感がないんですけどね。ただ、ありがたいことに、街でも声をかけていただくことが増えました。
赤木 裕(あかぎ・ゆう) 1991年10月24日生まれ、滋賀県出身。NSC大阪 37期生。趣味は野球、空手、実況パワフルプロ野球、滋賀の高校野球。特技はペン回し、空手の板割り、歌
――すてきな出会いもあるかもしれませんね。ちなみに好きな女性のタイプは?
赤木 かわいい。
――ほかは?
赤木 かわいい......ですね、もう。宮﨑あおいさんみたいな人がタイプです。
きむら 絶対に譲れないのはロングヘア。それさえ満たしていれば、ほかはどうでもいい。
――顔の好みは?
きむら 特にないです。
――最後に今後の野望を教えてください。きむらさんは今年、年男ですよね?
きむら そう、年男なんですよ。これまで本当に世話になりっぱなしだったので、いろいろな人に恩返しがしたいですね。
赤木 僕は野球が好きなので、日本全国で野球がしたいです。
きむら よし、日本全国・草野球ツアーするか。
赤木 でも、僕はうまくないので、助っ人スコアラーとして参加します。
きむら じゃあ、僕は頑張って審判をやりますよ。お笑いと草野球の全国ツアーができたらいいですね。
取材・文/キンマサタカ 撮影/山上徳幸

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