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JR東日本が提供する、スマートフォン用の『モバイルSuica』

JR東日本が今秋に導入予定の「teppay」は、モバイルSuica・PASMOのアプリにQRコード決済が可能になる機能を付与するものだ。しかし、利便性の点で、こんな疑問を呈する声も......。

【人気キャラの卒業でサービスの未来は?】

2001年に登場して以降、長年愛されてきた「Suica(スイカ)のペンギン」。26年度末の卒業が発表されるとファンから惜しむ声が続出し、オンライン署名サイトでは1週間で2万5000筆を超える「卒業反対」への賛同が集まるほど盛り上がった。

ITジャーナリストの三上洋氏が、卒業の背景を次のように解説する。

「ペンギンの卒業はJR東日本が10年後を見据えて発表した『Suica Renaissance(ルネサンス)』構想の一環です。その第一歩として今年の秋からは『teppay(テッペイ)』という新たな決済サービスが導入されます」

これまでのSuicaは専用端末での決済だったが、teppayはQRコード決済にも対応。チャージ金額の上限が30万円に引き上げられ、アプリ間の送金やネットショッピングでも利用できるようになる。

「JR東日本によると、Suicaという名称には『改札をスイスイ通れる』という意味も込められていて、『海の中をスイスイと泳ぎ回るペンギン』をイメージキャラクターに採用しました。

しかし、今後のSuicaは〝総合的なキャッシュレス決済サービス〟に生まれ変わる。つまり、会社として打ち出したいイメージが変わるため、キャラクターも変更することになったというわけです」

JR東日本が導入予定の決済サービス「teppay(テッペイ)」の使い勝手が悪すぎる!?
JR新宿駅前にある「Suicaのペンギン」のブロンズ像。同駅の新南改札前のシンボルだったこの像も今年でお役御免か

JR新宿駅前にある「Suicaのペンギン」のブロンズ像。同駅の新南改札前のシンボルだったこの像も今年でお役御免か

しかし、その前途は順風満帆とはいかないようだ。

「teppayの決済アプリとしての設計には疑問が残ります。これは『モバイルSuica』内に導入される新機能であり、30万円をチャージできても電車やバスに乗ることはできず、そこからSuicaにもチャージする必要があります。

単純に使い勝手が悪いのです。

また、モバイルSuica内に導入される設計上、例えばJR西日本の『モバイルICOCA(イコカ)』ユーザーはteppayを利用できない。

teppayはあくまでJR東日本の管内で流通する『地域マネー』的な存在で、利用者も既存のモバイルSuicaユーザーの一部に限定され、全国規模で普及しているPayPayなどの競合にはならないと思います」

とはいえ、今後もSuicaはサブスク型の運賃の割引サービスや後払い機能など、さらなる進化が予告されている。

「それも現状ではJR東日本の管内に限定された構想です。東京、名古屋、大阪などJRの管轄が違っても、アプリひとつで手軽にサービスを享受できるようにすることが本来目指すべき進化のはず。

JR東日本は『Suicaを移動のデバイスから生活のデバイスに進化させたい』と述べていますが、どれだけ機能が充実しても、『関西に出張したら使えない』というようなことになれば、日常生活で使うアプリとしては不十分という評価になるでしょう」

このままでは「Suicaのペンギン」ファンを悲しませただけになってしまうかも。

取材・文/小山田裕哉 写真./共同通信社

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