2026年、AIエロ漫画は「才能の民主化」を加速させる? 排除や摩擦を繰り返し、まさに過渡期真っただ中のAIエロ漫画市場。混迷極まるカオスの果てに光は見いだせるのか?

【AIエロ漫画元年の記念碑的作品】

後に「AIエロ漫画元年」と語り継がれるであろう2025年、AIエロ漫画という新ジャンルは単なる「実験」の枠を超えて、ひとつの巨大な市場を確立させた。

その象徴となったのは、「FANZA同人」で約1年で12万超のダウンロード(DL)を記録した『バ先のパート主婦(41)を家に連れ込んだら10年ぶりの汗だく本気セックスで巨乳首ビン勃ち放尿アクメした話』(mamaya)の爆発的なヒットだ。

男性向けAI生成作品においては歴代人気1位、手描きを含めても25年上半期の売り上げ本数2位だ(1位とは約3000本差)。

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AIエロ漫画の黒船となった通称『バ先』。生々しいエロスが、「抜ければAIでもOK」という性欲に忠実な層に刺さった

成功の要因をエロ漫画批評家の新野安(あらの・いおり)氏はこう語る。

「この作品はAI特有の違和感が少なく、設定やストーリーがリアルで生々しい。ヒロインの熟女ならではの〝だらしない体〟が魅力的で、キャラクターに感情移入できる。

〝日常にありそう〟というFANZAユーザーの好みを射抜いたことが大きい。AIの壁を壊し、一般層まで届いた記念碑的作品です」

同作の続編も9万DLを突破している。

かつてのイロモノとして面白がる実験期から、物語性を重視した作品や、ジャンルやフェチシズムを追求した作品があふれ、手描きに見劣りしない高クオリティと多様化の時代へ突入したのだ。

浸透の背景にはエロ漫画とAIの相性の良さがある。

「抜ければいい世界ですから、ストーリーはシンプルでいい。むしろランキングをハックする上では、フルカラーで100ページを超えるような大ボリュームでお得感を演出するのが有効です。

どちらもAIサークルには有利な条件です。

そのくらいのボリュームだと手描きなら1年はかかりそうなものですが、AIだと1~2ヵ月程度で作れてしまう。かなりのアドバンテージと言えますね」

【「読めて、抜ける」はAIでも最低条件】

25年12月時点でFANZA同人での男性向けAI作品数は25万タイトルを超えた。

「参入障壁が低下し作品数が爆発した分、粗製乱造は売れにくくなりました。誰でもキレイな絵が出せるゆえに、フェチの深掘りや一冊を通した〝抜きどころ〟を構築する作家性がないと生き残れない。

結局、カテゴリーがAIでも、普通のエロ漫画同様に〝読めて抜ける〟ことは最低条件になっています」

とまらないAIエロマンガの進化。これは「侵略」か「福音」か?

現場では企業サークルによる組織的な量産体制も加速。商業誌の編集部にAI作品が投稿されるケースも。ヒットAI漫画を手描き作家がリメイクする逆流現象も起きており、境界線は消失しつつある。

技術面でも漫画生成AI「Nanobanana」などの登場により、コマ割りができないというAIの弱点も解決されつつある。

だが、この急成長の裏で、業界には激しい摩擦が生じているという。

とまらないAIエロマンガの進化。これは「侵略」か「福音」か?
新野氏が「AIによる地味っ子ジャンル追究の到達点のひとつ」と語る『とにかくヤリたくて妥協の末付き合った地味顔で貧相な体の女子をうっかり孕ませてしまった俺の末路』

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【「隔離対応」の真相】

「急激な市場拡大の一方で、各プラットフォームのAI作品に対する姿勢は厳しさを増している」と新野氏。

『ファンティア』『メロンブックス』はAI作品の取り扱いを停止するなど、依然として慎重な姿勢を崩しておらず、FANZAと並ぶ最大手のアダルトサイト『DLsite』は各サークルに月3本までという投稿数制限を設けた(後にFANZA同人も同様に制限)。

中でも衝撃的だったのは、25年6月のFANZA同人による「AI作品隔離対応」だ。

それまでAIに最も寛容とされた同サイトが、AI作品を専用フロアへ完全に分離し、トップページの売り上げランキングや公式ピックアップから一斉に除外したのだ。「この隔離対応の本質は、世間で言われている倫理問題だけではない」と新野氏は業界の裏事情を明かす。

「関係者の話を聞く限り、商売敵であるAI作品の勢いに脅威を感じた一部の手描き作家側から、これらを排除しようとする圧力がプラットフォーム側にあったようです。

急拡大するAI市場の収益を切りたくないプラットフォーム側が、一部の手描き作家を鎮めるため出した当座の妥協案が〝フロア隔離〟だったと私は見ています」

そこにあるのは、極めて現実的な「経済的」なポジショントークだという。

「長年、血のにじむような努力で絵の技術を磨いてきた作家からすれば、昨日今日参入してきたAIユーザーにランキングの座を奪われるのは、プライドも生活も脅かされる死活問題です。そこには当然、激しい嫉妬や危機感があります。

しかし、私が個人的に話を聞く限り、手描き作家の中にもAIに対して肯定的な意見を持つ者は少なくありません。彼らは〝魔女狩り〟のようなバッシングに遭うことを恐れ、口を閉ざさざるをえない。

結局、この隔離対応は局地的な既得権益の『陣取りゲーム』に過ぎず、面白い作品をフラットに探したいユーザーにとってはマイナスでしかありません。

こうしたプラットフォーム間の場当たり的な対応の差も、AIエロ漫画という新文化の健全な発展を阻害するのではないかと危惧しています」

【AIならではの表現】

こうした摩擦はあるものの、26年におけるAIエロ漫画の展望は決して悲観的なものではない。新野氏はAIが持つ、「福音」としての側面に注目する。

「結婚、育児、介護など生活の変化で執筆が困難になる作家さんは非常に多いんです。そういった人にとっては、AIが大きな味方になりえるのは間違いありません。

限られた時間でも漫画を描き続けることができれば、業界にとっても好影響のはず」

さらに、動画生成AIの進化や、手描き作家によるハイブリッドな表現も注目だ。

「3Dモデルを学習させつつ表情を手描きでレタッチする漫画家のRebis氏のように、実写とAIの中間のような新しい表現が生まれています。

一方で、AIならではの物量も独自の武器になっています。例えば同氏の『黒ギャルAV女優100人と結婚する話』という作品では、100人の黒ギャルが花嫁姿で整列するという、手描きでは不可能に近い圧巻の構図を実現しています。

こうした人間の想像力をAIの実行力が広げる動きは今後さらに加速し、実写系AI生成AVが同人市場に流れ込んでくるでしょう。最終的に競争の軸となるのは技術の差ではなく、AIを使いこなす人間側の能力です。

やがてAIがなければ世に出なかった新しい才能が今後のエロ漫画界、ひいては漫画界全体を豊かにしていくでしょうね」

この先もまだまだ進化しそうなAIエロ漫画。未知なる名(迷)作との出会いに胸と股間を膨らまそう。

*各数値は2025年12月24日時点のものです

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