ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。
それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。
そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。
* * *
たまに食べると、「世の中にこんなうまいものが存在するなんて、なんらかのバグなんじゃないか!?」とすら思わされるのが「ケンタッキーフライドチキン」のオリジナルチキンだ。
その食べ放題を通年実施している店舗が、日本に3つだけあるという。場所は、大阪、愛知、そして東京。東京と言っても23区内ではなく、町田市にある商業施設「南町田グランベリーパーク」内にある店が食べ放題店らしい。その存在を知り、家族でいつか行ってみたいと以前から話していた。
ところで今年の年始、神奈川県にある妻の実家に帰省した。そこから南町田グランベリーパークは、自宅のある練馬区よりもずっと近いため、その帰省中の空き時間を利用し、ついに行ってみようということになったのだった。
事前に調べたところに、開店は午前11時だけど、大人気店ゆえまずは整理券をゲットする必要があり、その配布開始が午前9時45分。9時くらいにはもう店前に並ぶ人もいるらしいと聞いていたので、まずは僕がひとりで並びにいくことにした。9時ごろに到着してみると、なんとすでに50人ほどの人の列が。
出遅れたか
初めてなので勝手がわからないものの、とりあえず45分間待って整理券を受け取る。
まぁ、今日は朝食を食べていないし、12時過ぎならちょうど腹ペコになる頃合いで、食べ放題に臨むには良い条件だろう。家族に連絡し、あとは時間をつぶすことにする。
幸いなことに、パーク内にはさまざまなアウトレット店があって飽きないし、近くにコンビニもあればベンチも豊富あるので、のんびりと酒を飲んでいることもできる。しばしそんなふうに過ごした後に家族と合流。いよいよ自分たちの順番がやってきた。
店内全メニュー食べ放題!!
これらが全部......
食べ放題の価格は、土日祝日のランチタイムで、大人が税込3,080円、小学生1,280円、小学生未満540円、3歳以下無料。すべてのコースにソフトドリンク飲み放題がつく。
ついに開始!
さっそく生ビールを頼み、飲み放題なのをいいことに勢いよく飲む。これが食べ放題の始まりの合図だ!
店内はボックス席が中心のファミレス風で、一角にビュッフェコーナーがある。人は多いが、広々としているからあまり混雑しているとは感じない。圧巻はやはりオリジナルチキンで、前面がガラス張りの巨大な保温ケースふたつに、それぞれ数十個が並び壮観だ。しかも、そこから自分でトングでとるスタイルなので、つまりは好きな部位を好きなだけ味わえるということ。
ちなみにオリジナルチキンには、以下の5種類の部位と特徴がある。
・キール(むね):肉質が柔らかく、あっさりした味わい
・ウィング(手羽):ゼラチン質や脂肪が多く、コラーゲンが豊富で濃厚な味わい
・リブ(あばら):骨の周りの肉ならではの深い旨味
・サイ(腰):プリプリとした肉質でしっかりした食感
・ドラム(脚):鉄分が多く味にコクがある
僕が特に好きなのは、脂が多くこってりとした味わいのサイ。続いて、骨の周りの肉や皮をこそぎながら食べるのが楽しいリブ。それらを今からいくらでも食べていいなんて、夢のようとしか言いようがない。
第1弾
さっそく第1弾として、オリジナルチキンを3つとってくる。
いざ! と、手づかみで骨を持ってチキンにかぶりつく。ジューシーな脂とぷりぷりの肉の旨味、それから魔法のようとしか言いようのない、あのしょっぱくてクセになる皮のうまさが容赦なく口いっぱいに広がる。すかさずビールをぐびぐび。あ~! 幸せだ! これはもう間違いなく、人類が体験できるなかでも屈指の幸福だ。遠慮なくビールのおかわりをお願いしよう。
ビスケット
ところで小学校2年の娘は、実はまだそれほどオリジナルチキンに興味がなく、好物のビスケットやポテトやミニパンケーキなど、好きなものをとってきてマイペースに楽しんでいる。そう、実は食べ放題なのはチキンだけではないのだ。色とりどりのサラダやパスタやスイーツ、名物のひとつだというポテトの蒸し焼き、ケイジャンチキン、定番のサイドメニューであるカーネルクリスピーやナゲットなどなど、それはもう盛りだくさん。
なかでもカレー好きの僕が気になったのが「オリジナルチキンのための特製スープカリー」。これに、うまいに決まってる「ガリバタチキンのピラフ風」とコーンを合わせ、さらに"オリジナルチキンのための"と言うくらいなので、リブとドラムも1本ずつ盛ってしまおう。
世にも珍しいケンタッキーカレー
するとこれがとても良い。爽やかにスパイスが香り、ほどよい辛さのさらりとしたカレー。ふだんは濃厚もったり系カレーを好む僕だが、この絶妙な軽さが、確かにチキンとよく合うのだ。スパイシー&カレー風味がついたチキンだけを味わってもいいし、肉をほぐしてカレーの具にしてごはんと食べるのもいい。調子に乗ってこんどはハイボールをおかわりし、がつがつと食らってゆく。
飲みかけの写真ですいません
うまい! これまたうますぎる! けれども......天国だったのはカレーの中盤までだった。当然と言えば当然だけど、満腹感ががつんと押し寄せてきた。そもそも僕は、たまに自宅でケンタッキーを食べるとき、チキンひとつで満足してしまうくらいの食欲の男なのだ。チキンを5個食べた時点で快挙すぎる。正直、食べはじめは10個くらい余裕なんじゃないの? と思っていたが、そんなことがあるはずなかった。
第3弾
それでもごはんを少なめにしておいたこともあり、なんとかカレーを食べ終えた。食欲は完全に消失しているものの、せっかくここまで来たのだからと、ケイジャンチキン、カーネルクリスピー、ナゲットを少しずつ皿に盛ってきてしまう。
ただ、これが辛かった。確かに味はうまい。けれども、味覚の嬉しさと裏腹に、体がもうカロリーを求めていないのだ。時間はまだまだたっぷりあるのに我ながら情けないことだが、満腹すぎる......。そんな僕を見て、そもそも"元をとる"という発想自体がない娘が笑っている。
半泣きになりながらなんとかたいらげ、最後に口直しにと食べた生のオレンジのさっぱりとした美味しさと言ったら、ひとつめのオリジナルに匹敵するかもしれないものだった。
結果、オリジナルチキン5個と、カレーと、サイドメニュー少々。それからビールとハイボール2杯ずつで、僕の今回の挑戦は終了。現在、オリジナルチキン1ピースの店頭は310円らしいから、5個なら1,550円。今回この食べ放題に僕が使った金額が4,580円なので、はたしてお得だったのか? と聞かれれば難しい問題だ。
けれども僕は、体験を買ったのだ。
ケンタッキーが好きで好きで、しかも大食いに自信がある人にとっては夢のような店であることは間違いなく、そうでなくても、一度は経験しておいて損はないと思う。
それになにより、食べ放題後半の時間はあんなに苦しかったにも関わらず、この記事を書きながら今、僕は猛烈にオリジナルチキンを食べたくなっている。やっぱりケンタッキーのチキンには、なんらかのバグ的な魔法がかかっているのだろう。
取材・文・撮影/パリッコ
![LDK (エル・ディー・ケー) 2024年10月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/61-wQA+eveL._SL500_.jpg)
![Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2024年 10月号[日本のBESTデザインホテル100]](https://m.media-amazon.com/images/I/31FtYkIUPEL._SL500_.jpg)
![LDK (エル・ディー・ケー) 2024年9月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/51W6QgeZ2hL._SL500_.jpg)




![シービージャパン(CB JAPAN) ステンレスマグ [真空断熱 2層構造 460ml] + インナーカップ [食洗機対応 380ml] セット モカ ゴーマグカップセットM コンビニ コーヒーカップ CAFE GOMUG](https://m.media-amazon.com/images/I/31sVcj+-HCL._SL500_.jpg)



