人類が統合された世界では、お犬さまはどうなるのか......
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。
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世界中の人間がある日突然、誰もが笑顔で、誰もが満足し、誰もが心の中になんの苦悩も抱えなくなったとしたら......。一夜にして、みんな仲良し! みんな幸せ! それは、理想郷ですよね? それとも、静かな地獄なのか?
去年の11月からApple TVで配信が始まったドラマ『プルリブス』は、そんな逆転発想SFで、幸福という名の呪いを描いたドラマです。全米で公開されるや否や、批評家と視聴者の心をつかみ、この連載でたびたび推してるApple TVの中でも屈指の注目作となっています。 私も、まんまとハマりまくりました。
本作の製作総指揮は、大ヒット作『ブレイキング・バッド』と、そのスピンオフ『ベター・コール・ソウル』で世界を震わせたヴィンス・ギリガン。泥くさいまでのリアリティあふれる世界を描いてきたギリガンにとって、本作は初のSFドラマ。
面白いことに、舞台は『ブレイキング・バッド』シリーズと同じアメリカ南西部ニューメキシコ州アルバカーキ。乾いた空と強すぎる陽光、広い砂漠と妙な静けさがまたいい味を出してる。「このどこかで、『ブレイキング・バッド』のウォルター・ホワイトたちもニコニコと集団行動してるのか!?」と想像すると、笑えます。
主人公は、いつも文句ばかり言ってる売れっ子小説家、キャロル・スターカ。ある日、世界中の人が〝幸福ウイルス〟のようなものに感染してしまい、感情も個性も消えたように同じ集合意識を共有し始めますが、なぜかキャロルだけ取り残されます。
周囲の人々はすべて謎の「Joining(結合)」と呼ばれる現象に巻き込まれ、誰もがいつもニコニコ。他人の望みにただ従い、まるで巨大な合唱クラブのように、一斉に同じ方向を向く。
そんな中、このハッピーウイルスにどうやら免疫があるらしいキャロルは、「幸せ」から人類を救おうとします。極端な過剰親切で迫ってくる集合体のおせっかいさが笑えると思ったら、背筋をゾクリとさせる不気味さに変わってきます。
妙に美しくて、妙に怖い映像も、この作品の魅力の核です。ニューメキシコ州アルバカーキの青すぎる空とまぶしい太陽、乾いた空気、静まり返った街並み、無機質な集団の行進。CGがきれい、というより「現実なのに現実っぽくない」感じがじわじわ効いてきます。
同じApple TVで配信中のSFで、私も大好きな『セヴェランス』と同様、画面越しに感じるこの「完璧さ」と「異様さ」の落差が、強烈なSF体験として脳裏に焼きつけられます。
そしてやはり『セヴェランス』と同様、単なる奇抜SFで終わらないテーマ性もポイント。SNSの群集心理、アルゴリズムが決める流行、AIによる知識や能力の均質化。集合意識、個の消失、幸福とは何か。情報共有社会を生きる私たちも、どこか人ごとではないテーマ。
何よりも、展開が読めなくてワクワクしますし、クスッと笑えます。シーズン1が終わり、2が待ち遠しい! シーズン1は9話しかないので、これからでも気軽に追いつけます。まだ見てない方はぜひ!
●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。『セヴェランス』のシーズン3が待ち遠しい。公式Instagram【@sayaichikawa.official】
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