高市政権に期待? 今年中には「物価が落ち着き、実質賃金も上が...の画像はこちら >>

高市政権は昨年11月、日本成長戦略本部を設置し、重点投資分野を定めている(右は日本成長戦略担当大臣の城内実氏)

あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。その背景にはどんな狙い、どんな事情があるのか? 『週刊プレイボーイ』で連載中の「経済ニュースのバックヤード」では、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説。
得意のデータ収集・分析をもとに経済の今を解き明かす。今回は「日本成長戦略会議」について。

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「億り人じゃなく、二億り人になった」とSNSでは祭りが続く。かと思えば「物価高が大変で、生活には不安しかない」という街頭インタビューをテレビは流す。

インフレ時代には株式か不動産に投資しなければならないのは自明だ。ただ日本では18歳以上の株式保有者は14%ほどにすぎず(日本証券業協会調べ)、株高はいまだに国民の豊かさに直結しない。投資の余裕がない多くの国民にとっては、円安と物価高が問題となる。

日本は非資源国家だから、円安だと原材料費が上昇し、国内の物価が上がる。円安になれば日本企業の業績が上がって賃金が上昇するといわれていたものの、物価上昇を差し引いた実質賃金は11ヶ月連続のマイナス。そして、高市早苗政権になって円安がさらに進んでいる。

単純に説明すれば、企業の商品価格が上がるインフレ時は必然的に収益も上がり、株価は上昇する。いっぽうで、国があまりに無節操に金を使い続けたら、日本の信頼が下落し、国債の金利が高くなり、円が売られる。

現政権になって円安は止まらず金利も高くなったので、中小企業は原材料が高くなるし、金融機関への利息払いも増えると危機感を持っている。

また市場は、高市総理が衆院選に勝利することで、より財政出動がさかんになり、日本の信用が低下すると考えているようだ。

ここまでで、私が高市政権に批判的だと思われたかもしれない。しかし話はそう単純ではない。

現実に税収は改善している。事前のメディアの予想と異なり、金利は上がっている。高市総理は常識的な政権運営に努めている。今年の中盤から後半には物価が落ち着き、実質賃金も上がると私は予想する。実際、小麦も原油も下がっている。

そして、政府主導の投資により民間事業を大きく育てるのは王道といえる。私は期待する側面が大きい。

イスラエルに出張した際、驚いた。

同国に政治的な批判があるのはわかっている。映画『ネタニヤフ調書 汚職と戦争』を観たが、ひどかった。

それでも仕組みにはすごいものがある。国防軍8200部隊では、徴兵された優秀な若者が高度なプログラミングやデータ解析、ハッキング技術を学ぶ。そのOBらがネットワークを形成し、数多くの世界的テック企業を興している。軍の経験が民間の技術課題の解決に使われている。

米国でも、かつて政府が民間と「コスト・プラス契約」を締結し、(事前に取り決めた金額ではなく)かかった費用に利益を乗せる方式で支払いがなされた。知的財産も民間企業に帰属させた。これらが宇宙開発などで大胆な展開を可能とした。

台湾だって、政府の研究機関であるITRI(財団法人工業技術研究院)からのスピンオフで半導体企業UMCができたり、同院の院長があのTSMCを設立したりしているからね。

つまり日本でも、1億円を民間に投資して、それが1兆円になるならなんの問題もない。ウエルカム積極財政、となる。

高市政権は単なる「バラマキ」という海外からの批判を、未来への「種まき」という評価に変えねばならない。

投資とは覚悟だ。私の専門のサプライチェーン強化に投資してくれないかなあ。レアアース調達強化に尽力しまっせ。バラマキじゃなくミライマキのために。

写真/時事通信社

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