『四季報』伝説の元編集長・山本隆行氏(左)と『四季報』通読の鬼・渡部清二氏(右)
毎年恒例、全上場企業の情報を網羅した『会社四季報』の達人ふたりによる耳より情報特盛りの招福対談! 四季報を精読し続ける男たちにしか着想できない斬新な視点で、2026年の大化け銘柄を大胆予想!!
※データはいずれも1月20日時点
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【2倍株を4つも発見!】――4回目の新春対談です。昨年紹介した銘柄は驚くべき結果になりました。
山本 昨年は【データセンター】と【船不足】のふたつの大テーマを読み切ったのが大きいね。
渡部 私が挙げた名村造船所は2.6倍ですか。四季報ってすごいもので、丁寧に読めば何が今年の重要テーマになるかだいたいわかるんです。今年も、2倍といわずさらなる大化け株を狙っていきますよ!
昨年は「船不足」が一大投資テーマになった。昨年の新春対談で紹介した名村造船所、寺崎電気産業は株価が2倍になった(写真はイメージ)
――四季報元編集長の山本さん、『新春号』をどう読めば大儲けできますか?
山本 会社四季報は記者独自の業績予想が載っているのがウリですが、新春号は2月決算と3月決算企業については来期の業績動向に関してワンコメントする決まりになっています。
つまり新春号は来期好調な企業を発掘するのにもうってつけの号なんです。記者の独自予想が良好な企業からは毎年のように大化け銘柄が出ているので参考になるはずです。
――記者コメントのキーワードを分析してお宝銘柄を数多く発掘している渡部さん、今号の傾向はどうでしたか?
渡部 今号はいつもと少し違う読み方も必要かもしれません。というのも、日本株は昨年から特定の業種が極端に人気化して、それが日経平均を押し上げている状況で、企業の業績が株価とあまり連動しなくなってきたんです。
今年もその傾向が続くなら、日経平均などの株価指数に連動した投資信託を持っているだけでは勝ちにくくなる。
――なるほど、今までにない傾向ですね。早速注目テーマと銘柄をお願いします!
≪テーマ1≫【伝統インフラ】
業種の前のアルファベットはP=プライム市場 S=スタンダード市場 G=グロース市場に上場していることを示す
山本 好調な業種からお宝銘柄を発掘するってことなら、四季報の最初のほう、証券コード1000番台の会社が今は面白いよ。
渡部 鉱業とか建設業ですか。
山本 そう。昔は株価も業績も動きがなくて読み飛ばす人も多かった業種だけど、最近はえらく儲かってる会社が多い。建設業の中でも特に電気工事系の会社はどこも絶好調です。
例えば東北電力系のユアテックは、記者コメントに「ゼネコンとの力関係一変し一気に価格転嫁進む」とあり、最高益を更新。また、北陸電力系の北陸電気工事は「9月末受注残5割増」とのこと。
受注残とはまだ納品されていない案件のことで、これから売り上げになる。この景気の良さ、担当記者は書いてて楽しかったと思うよ。
AIの高速データ処理に欠かせないデータセンター。
渡部 AIの普及に備えてデータセンターの建設や送電設備の整備が進んでいる影響ですね。
山本 AIは電力を大量消費するからね。電力絡みの銘柄は今後5年くらい持っていても大丈夫でしょう。電気工事以外の建設業も、人手不足による単価上昇で期待できる。高度経済成長期を彷彿とさせるような伝統的なインフラ銘柄がどんどん復活する流れになりそうだね。
渡部 証券コード1000番台ではないですが、電力架線用金具で首位のイワブチも有望です。電力会社の設備投資を促進する国の施策「レベニューキャップ制度」で特需が発生。同社も数年は追い風が吹くと思います。
≪テーマ2≫【経済対策】
業種の前のアルファベットはP=プライム市場 S=スタンダード市場 G=グロース市場に上場していることを示す
山本 そういう国策絡みの銘柄はやっぱり外せないね。
渡部 「国策に売りなし」との相場格言どおり、長期的に追い風が吹きますから。
山本 最新の国策が書いてある資料っていうと、昨年11月に閣議決定された『「強い経済」を実現する総合経済対策』ってことになる。
渡部 21.3兆円の予算規模だと報じられていましたね。ここには電力関連の施策がたくさん挙がってます。原発再稼働や造船、防災、太陽光パネルへの言及もありました。
山本 その中で面白そうなのが、原発向けのバルブ製造を手がけるTVE。原発向けのバルブはほとんど手作りみたいなもので、製造できる数に限りがある。だから原発再稼働が本格化すれば価格交渉で主導権を握れるはず。
渡部 強いですね。
原発は高市氏が掲げる総合経済対策でも言及されており、投資テーマとなりそう。写真は建設中の大間原発
山本 さらに、TVEの記者コメントには「西華産業と資本提携」とあり、販売先にも西華産業の記載がある。同社は三菱系の機械商社で発電プラントが主力だから、当然、国策の恩恵を受けます。
そして同社のコメントには「東京産業と提携協議中」とある。そこで東京産業を調べると、太陽光や原発関連を手がける機械商社で、国策銘柄と言える。
渡部 まだ手あかのついていない銘柄のほうが株価上昇を期待できるから、芋づる式の発掘は確かにいいですね。
≪テーマ3≫【PER激減】
業種の前のアルファベットはP=プライム市場 S=スタンダード市場 G=グロース市場に上場していることを示す
渡部 さて、視点を個別企業の業績に移して、気になった企業はありました?
山本 もちろん。新春号には記者予想を基にした来期の予想PER(株価収益率。時価総額を当期純利益で割って算出し、大きいほど割高)が載っているから、今期の予想PERと比べれば「来期活躍銘柄」が見えてくる。具体的には、今期予想PERより来期予想PERの数字が小さければ、利益が増えて業績が良くなるってこと。
例えば、DX支援を展開するメンバーズなんてすごいよ。今期予想PER15.4倍に対して、来期は7.5倍。変化率が相当大きいから、市場も好感するんじゃないかな。
ニット編み機のトップメーカー、島精機製作所の工場。工場のほか、本社も和歌山県和歌山市にある
渡部 業績の変化の大きさは重要ですよね。これまで株価が10倍以上になった銘柄の傾向を調べたら「前期が赤字、今期予想が黒字転換、来期予想が増収増益」という銘柄が多かったんです。
山本 ニットとかを作る、横編み機の世界最大手だっけ?
渡部 ええ。特に高機能の横編み機についてはドイツ企業と寡占していたんですが、その競合が事業からの撤退を決めて在庫の投げ売りをしていたんです。そのせいで島精機は赤字。ただ、昨年で撤退は完了して今期からは元競合の顧客からも受注を見込み、黒字に復帰する予想です。
山本 今期予想PER16.7倍に対して来期予想は9.5倍だし、かなり良さそうだ。
≪テーマ4≫【棚ぼた】
業種の前のアルファベットはP=プライム市場 S=スタンダード市場 G=グロース市場に上場していることを示す
山本 島精機は、まさに「棚からぼた餅銘柄」だね。
渡部 どういうことですか?
山本 企業自身は変わっていないのに、外部環境の変化で業績が良くなる銘柄を個人的にそう呼んでるんだけど。
渡部 ほかにどんな銘柄があります?
山本 最近は気候変動で棚ぼた化する銘柄が多いね。例えば殺虫剤のフマキラー。四季報には「夏の長期化で返品減少」とある。近頃じゃ9月や10月まで蚊を見かけることも普通だからね。
渡部 確かに企業努力とは無関係ですね。
猛暑の影響からか、イオンでは、19年から24年までで男性用晴雨兼用傘の売り上げは7倍に増加したという
山本 同じく猛暑関連で洋傘首位のムーンバット。「晴雨兼用傘が夏場急拡大」、つまり日傘が売れてるんです。ただ、こういう銘柄は企業だけを観察していると変化に気づくのが遅くなるのが玉にキズかな。
渡部 外部環境の変化がフックだから、視野の広さと想像力が必要になって難しいかもしれないですね。
山本氏は四季報に付箋を貼り、気になったことはノートにまとめながら読み進める。付箋にも気になったワードが書き込まれている
≪テーマ5≫【イメチェン】
渡部 逆に、企業だけ見ていても早めに変化に気づけるのは「イメチェン銘柄」だろうと思います。
山本 というと?
渡部 従来とは別のビジネスに乗り出したり、ビジネスモデルを見直す銘柄があるじゃないですか。企業自身の変化だから見つけやすいし、成長の確度も高いと思うんですよ。
山本 なるほど。
渡部 代表例がパチンコ台メーカーの平和です。傘下企業がゴルフ場の買収を繰り返して、今や世界最多のゴルフ場保有企業になっているんです。
売り上げも7割がゴルフ場。にもかかわらず、業種はいまだ「機械」で登録されているから、「パチンコ台が主力の衰退企業」と思っている人は多そうです。これ、ビジネスモデルの変化に気づく投資家が増えたら評価が激変しそうじゃないですか?
山本 確かにね。ビジネスモデルの変化は四季報にしっかり書いてあるから、ぜひ多くの投資家に気づいてもらいたいところ。
24年10月にすかいらーくは資さんうどんの運営会社を買収。関東への展開を推し進めた
――最後に渡部さん、毎年恒例の相場展望を聞かせてください。今年の相場を干支とデータで読み解くと?
渡部 実は午年の相場格言は「馬尻下がり」で、あまり良くないんです。データ上も、戦前の勝率が33%、戦後が50%で分が悪い。
山本 縁起が悪いなぁ。
渡部 一方で、西暦の末尾が6の年は、戦後に限れば勝率が85.7%。勝てる年でもあるんです。
山本 となると、銘柄の選びの巧拙で結果に差が出る年ということかな? この特集と四季報を参考にして、いい結果を出してもらいたいね。
東洋経済新報社退職後も四季報を読み続ける山本氏。対談が始まるやいなや、「(四季報は文字が小さいので)もう目がキツイよ」と漏らしていた
●山本隆行(やまもと・たかゆき)
1959年生まれ。東洋経済新報社で『オール投資』『会社四季報』『四季報オンライン』編集長を歴任。2024年3月、同社を退職。著書『伝説の編集長が教える 会社四季報はココだけ見て得する株だけ買えばいい 改訂版』(東洋経済新報社)はシリーズ累計8万部を突破。
「四季報は4年連続値上げしている。でも、載ってる情報量と密度を考えたらまだまだタダみたいなもん」とは渡部氏。通読冊数は113冊となった
●渡部清二(わたなべ・せいじ)
1967年生まれ。野村證券在籍時から28年以上『会社四季報』を通読し、読破数は113冊を突破。『プロも見逃す!10倍成長する株を探す「日経新聞」読み解き術』(フォレスト出版)など著書多数。四季報分析ワークショップなどを行なう投資スクール「複眼経済塾」塾長。
取材・文/西田哲郎 撮影/榊 智朗 写真/時事通信社 iStock
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