女衒(ぜげん)から闇バイト派遣へ事業を拡げるスカウトグループ...の画像はこちら >>

夜の街で働く女性だけではなく、各種闇バイト要員の派遣までを担うスカウトグループの摘発に、警察は力を入れている

日本最大の違法スカウトグループ「ナチュラル」のトップが公開手配の末に逮捕された。SNS時代に合わせて、勧誘の手段を街頭からネット上へと移し、専用のアプリを独自開発してスカウト業界やナイトビジネスに入りたい者たちの裾野を広げて成約案件を拡大し、勢力を急成長させたナチュラル。
一方で、「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)による特殊詐欺事件や、海外売春に向かった女性の失踪事案への関与なども指摘されており、警察当局は全容解明を急ぐ。

【ヤクザも襲撃する暴力性】

スカウト業界を席巻したトップの姿は、根城だった新宿・歌舞伎町から1300キロ離れた離島にあった。警視庁は1月26日、東京都暴力団排除条例違反の疑いで公開手配していたナチュラル会長の小畑寛昭容疑者(40)を潜伏先の鹿児島県の奄美大島で発見して逮捕した。社会部記者が解説する。

「小畑容疑者は、ナチュラルが東京・渋谷駅前の繁華街でスカウト行為をする見返りとして、山口組系暴力団幹部の男に現金60万円を支払った疑いが持たれています。警視庁は昨年、この容疑で逮捕状を取って小畑容疑者を逮捕しようとしましたが、寸前で逃げられて行方を追っていました。

小畑容疑者は西日本を中心に逃げ続けていたようでしたが足取りがつかめず、1月21日に公開手配に切り替えたところ、『似ている人物が奄美にいる』との情報が入り、身柄を確保しました。刑罰の軽い条例違反事件での公開捜査は異例で、小畑容疑者摘発への警視庁の本気度がうかがえます」(社会部記者)

女衒(ぜげん)から闇バイト派遣へ事業を拡げるスカウトグループの闇。「ナチュラル」会長逮捕も氷山の一角!?
1月21日に公開捜査に切り替えられて、5日での逮捕となった小畑容疑者

1月21日に公開捜査に切り替えられて、5日での逮捕となった小畑容疑者

ナチュラルがその名を轟かせたのは、2020年に歌舞伎町で起きた指定暴力団住吉会系の組員による"スカウト狩り"だ。徒党を組んだ組員たちが、ナチュラルのスカウトと思しき男性を袋叩きにしていく様子がSNSで拡散され、後に双方の関係者が逮捕された。事件の経緯を、新宿のキャバクラ店関係者が明かす。

「報道発表では小畑と呼称されていますが、業界では『木山兄弟』と呼ばれる三人兄弟の長男として知られています。スカウト集団はこれまでいくつもありましたが、木山兄弟率いるナチュラルはヤクザにも引かない暴力性で他グループを吸収していった。

2020年の事件は、ナチュラルによる引き抜きを巡って住吉会の複数の団体が集まって喫茶店で掛け合いをしていたところを、ナチュラル側が金属バットで襲撃して、これまで面倒をみてもらっていた組員までまとめて袋叩きにしてしまった。この報復で、新宿を拠点とする住吉会の各団体によるスカウト狩りが行われて多数の負傷者が出ました。

木山兄弟もさらわれて山中でリンチされ、その動画が関係者の間で拡散したそうで、結果的に住吉会への上納が義務付けられました。今回逮捕になった事件は山口組への上納ですので、ヤクザとの対立から共存へと路線変更したようです」(キャバクラ店関係者)

【SNSを駆使して年間50億を荒稼ぎ】

スカウト狩りに見舞われても勢力を拡大していったナチュラル。メンバーは全国に少なくとも1500人を擁し、年間50億円近い利益を得ていたとみられている。前出キャバクラ関係者が解説する。

「ナチュラルは大きくスカウト部門と運営部門に分かれます。ナチュラルのスカウトになるには、Xで1000人以上のフォロワーを持っていることが条件。彼らは、ネカマ(女性へのなりすまし)や羽振りのいい遊び人キャラを演じ、Xを通じて知り合った女性たちを希望する店舗につないで紹介料を得る。

運営部門はスカウトや紹介した女性、風俗店などの情報を網羅したアプリを運用して、店と女性のマッチングの促進や従業員管理を図る一方、警察を『ウイルス』『プロ』と称して取り締まり情報や捜査員の顔写真を共有する。

警察の抱き込みにも積極的で、昨年にはナチュラルに防犯カメラの設置場所といった捜査情報を漏洩した容疑で警視庁の警部補が逮捕されています。そして、カネを横領したスカウトには徹底したヤキを入れて組織を引き締める。

暴力とITで急成長を遂げました」(前出のキャバクラ店関係者)

【海外案件に応募の女性が失踪したことも?】

暴力団との密接な関係はあれども、ナイトビジネスの下支え役に過ぎないはずのスカウトグループの取り締まりに当局が躍起になる理由について、暴力団関係者が打ち明ける。

「スカウトグループは女の子だけでなく、犯罪を犯してでもカネを稼ぎたいという若い男たちの情報も持っている。例えば、付き合いのあるキャバクラ店から多額のつけがたまっている若者などを教えてもらい、こいつらを特殊詐欺や強盗事件の実行役へと取り次ぐ役割を担っていて、トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の受け皿となっている。

特にナチュラルはヤクザとの関係を深めたことで日本人女性の海外風俗への派遣も行っているとされる。その中には、行方不明となった失踪事案もある。こうした人身売買の疑いもあることから、警察はナチュラルをはじめ悪質スカウトグループの摘発に躍起になっている」(暴力団関係者)

ナイトビジネスという専門領域を超えて、各種の犯罪の玄関口となってきたスカウトグループが、社会の新たな脅威となっているのだ。

文/武田和泉 写真/Pixta.com、警察庁HP

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