【プロ野球2026 パ・リーグ展望】春季キャンプも大盛況! ...の画像はこちら >>

(左)昨季は2年連続リーグ優勝を達成し、日本一にも輝いたソフトバンク・小久保監督と(右)就任5年目を迎える日本ハム・新庄剛志監督。悲願のリーグ優勝へ向け、戦力は整った

この2年、ハイレベルな争いを繰り広げるソフトバンクと日本ハムに割り込む球団は出てくるのか? パ・リーグ6球団の戦力を徹底分析する!

* * *

【選手層が分厚く総合力が際立つ鷹】

春季キャンプ真っ盛りのプロ野球。

パ・リーグに目を向ければ、ここ2年はソフトバンクと日本ハムの激しい優勝争いが続いている。加えて、両チーム間での移籍も多く、まさにしのぎを削るライバル球団と言える。

現役投手を指導するピッチングデザイナーで、『週刊プレイボーイ』本誌おなじみの野球評論家・お股ニキ氏は、今季のパ・リーグをこう展望する。

【プロ野球2026 パ・リーグ展望】春季キャンプも大盛況! "エース電撃移籍"で揺れる「因縁の2強対決」の行方は!?
2年連続最多勝の有原が日本ハムへ電撃復帰。「2強対決」にどのような影響を及ぼすか

2年連続最多勝の有原が日本ハムへ電撃復帰。「2強対決」にどのような影響を及ぼすか

「ソフトバンクは2年連続最多勝投手の有原航平が古巣の日本ハムに電撃復帰したのは痛手ですが、そのほかの戦力はキープできています。昨季は開幕当初につまずいたものの、5月以降は勝率6割超えと圧倒し、日本一に上り詰めました。今季もその状態を維持できるかどうか。

一方の日本ハムは、有原の加入で投手力は12球団随一に。守備の粗さは目立つものの、強いチームに仕上がっています。今季もこの2強対決になっていくでしょう」

では、改めてソフトバンクの強さを分析していこう。そもそも、昨季はなぜ4月につまずいたのか?

「小久保裕紀監督就任1年目の2024年は開幕から無類の強さを誇りましたが、シーズン終盤はリリーフ陣が疲弊し、DeNAと対戦した日本シリーズでは日本一を逃しました。

昨季開幕後まで悪いリズムが続き、3、4月には投手陣の状態が上がらない中、柳田悠岐、近藤健介、今宮健太らチームの主軸野手がケガで次々と離脱。

普通のチームであれば、もうお手上げレベルでした」

ソフトバンクが普通のチームと違う点は、なんといっても選手層の厚さだ。

【プロ野球2026 パ・リーグ展望】春季キャンプも大盛況! "エース電撃移籍"で揺れる「因縁の2強対決」の行方は!?
飛躍が期待されるソフトバンク・笹川。柳田2世と称される194cmのパワフル外野手だ

飛躍が期待されるソフトバンク・笹川。柳田2世と称される194cmのパワフル外野手だ

「柳田も近藤も、万全ではなかったにもかかわらず開幕から無理をしたことで長期離脱してしまった。ただ、そこで小久保監督は切り替えることができた。開幕スタメンから外れていた野村 勇や牧原大成、開幕2軍だった柳町 達ら、能力はあるのに出番が限られていた選手を抜擢し、歯車が噛み合い出しました」

実際、牧原は首位打者に輝き、柳町も打率2位と躍進。野村は日本シリーズで日本一を呼び込む決勝弾を放つなど、一年を通して大活躍だった。同様に投手陣でも、ネームバリューよりも旬の選手を優先的に起用する方針に転換できたことが奏功した。

「昨季序盤は抑えのロベルト・オスナが防御率4点台と乱調。そこで杉山一樹を6月から抑えに抜擢しました。杉山はシーズン途中からの起用にもかかわらず、セーブ王を獲得するなど大活躍。7回は藤井皓哉、8回は松本裕樹、9回は杉山という盤石な『樹木トリオ』が確立できました」

こうして投打が噛み合ったソフトバンク。先発陣は有原、リバン・モイネロ、大関友久、上沢直之が「2桁勝利カルテット」としてチームを牽引した。

ただ、そんな最強投手陣から2年連続最多勝を獲得した有原が日本ハムへ電撃復帰。今季はどうなるのか?

「昨季14勝、175イニングを投げた有原の移籍は痛いものの、人材には事欠かないのがソフトバンク。高卒3年目の前田悠伍は楽しみですし、故障で昨季登板なしに終わったカーター・スチュワート・ジュニアが復活し、大津亮介もフル稼働できれば、先発ローテは埋まるでしょう」

また、モイネロが今季から〝日本人選手扱い〟になるため、外国人投手の枠を増やせる点も利点だという。

「台湾からポスティングで加入した徐 若熙もいますし、育成左腕のアレクサンダー・アルメンタが覚醒するかもしれません。そう考えると、投手力は昨季と比べて微減かキープ。心配なのは『樹木トリオ』の勤続疲労です。先発陣よりもリリーフ陣のコンディションが不安要素と言えます」

野手の補強はなかったが、問題ないのか?

「昨季75試合出場に終わった近藤が120試合程度出られれば、それだけで攻撃力は上がります。柳田もフル出場は厳しいものの、日本シリーズでの活躍を見ると実力は健在。山川穂高もMVPを獲得した日本シリーズで何かつかんだかもしれない。打線は心配無用でしょう」

彼らが不調や故障に陥ったとしても、期待の若手が台頭する好機になる。

「昨季の野村や柳町のように、出番さえあれば活躍できる選手はまだいるはず。個人的には〝柳田2世〟と称される194cmのパワフル外野手、笹川吉康に注目しています」

【王者に「投手力」で対抗する日本ハム】

今季も攻守に隙がなく、総合力が際立つソフトバンク。

そんな王者に対し、日本ハムは「投手力」で対抗することになりそうだ。

「2年連続で最多勝を分け合った伊藤大海と有原がチームメイトになります。過去に例がないほど強力な2本柱です。これで3連戦のカード頭、火曜日と金曜日にふたりを配置すれば安定感抜群。伊藤も有原もタフなので、ローテを崩す心配もない。投手運用という点でもインパクトの大きな移籍です」

そもそも、有原の加入がなくとも日本ハムの先発陣は盤石だった。

「伊藤、有原に加え、北山亘基、達 孝太、福島 蓮、加藤貴之、山﨑福也、古林睿煬、柴田獅子、細野晴希、金村尚真......とんでもない先発陣です。

中でも若い福島と柴田の投げる球は素晴らしく、今季のブレイク候補。これだけ先発陣が厚いと1軍で投げるハードルが高く、器用で使い勝手のいい金村などは中継ぎに回るかもしれません」

先発だけでなく、昨季は課題の多かった救援陣も相当レベルアップしたという。

「柳川大晟、齋藤友貴哉、田中正義は誰が抑えを務めても遜色なく、樹木トリオにも匹敵する存在に。昨季から中継ぎに転向した上原健太は短いイニングを全力で投げるようになってグッと良くなりました。

ドラフト1位の大川慈英もストレートが素晴らしく、ほかにもベテランの宮西尚生、河野竜生や山本拓実、阪神から移籍してきた島本浩也と層もかなり厚くなっています」

盤石な投手陣に対し、野手陣はどうか?

「松本 剛(巨人)、石井一成(西武)、伏見寅威(阪神)というセンターラインが移籍した穴は大きいと思います。

特に石井の穴は痛いですが、メジャー経験もある新外国人ロドルフォ・カストロは二遊間を守れる上に、スイングも日本向きの横振りで期待が持てます。堅守で打撃も良くなっている山縣 秀との併用でカバーできそうです。

さらに、昨季出場機会が減った上川畑大悟の復調にも期待したいですし、捕手登録の吉田賢吾が二塁手の練習をしているのも期待大。捕手と三塁手のどちらも器用にこなす郡司裕也のようになったら面白いです」

ただ、こうしたコンバート組が多い点は日本ハムの不安材料でもある。

「堅守のソフトバンクと比べると守備は粗いと言わざるをえません。その分、もっと攻撃力を高める必要があるため、清宮幸太郎、野村佑希、万波中正の大砲候補が殻を破り、打率2割7分超、20本塁打以上を目指してほしい。このぐらい打てるようになれば、いよいよソフトバンクとも渡り合えます」

【投手充実オリックス、本拠地改修の楽天】

2強を追う球団はどこか? お股ニキ氏がまず挙げるのはオリックスだ。

「先発は宮城大弥、山下舜平大、九里亜蓮、曽谷龍平、東 晃平がいて、救援陣にもアンドレス・マチャドや椋木 蓮と計算できる人材が多く、投手陣の層は厚い。打撃も右打者を中心に昨季は春先に打ちまくりましたし、あとは森 友哉と西川龍馬がシーズンを通して活躍できれば、優勝を狙える戦力はそろっています」

【プロ野球2026 パ・リーグ展望】春季キャンプも大盛況! "エース電撃移籍"で揺れる「因縁の2強対決」の行方は!?
背番号18を背負うオリックス・宮城。3月には2大会連続でWBCに出場する

背番号18を背負うオリックス・宮城。3月には2大会連続でWBCに出場する

投打共に選手はいるものの、2強との差を感じるのは「守備」だという。実際、この春季キャンプでは岸田 護監督も「守備と走塁」をテーマに掲げている。

「内外野の守備はソフトバンク、日本ハムと比べると不安定です。

そのため、投手も『自分が三振を取るしかない』と追い込まれ、結果的に余裕のない、苦しい投球になっている場面もありました。内外野の守備という弱点と向き合い、しっかり取り組んでいくことを期待したいです。

さらに、就任2年目となる岸田監督の采配が昨季よりも滑らかになれば、〝3強〟になるだけのポテンシャルはあるチームだと思います」

そのオリックスとAクラスを争うのは、4年連続4位とこの位置が定着してしまった楽天だ。オフは前田健太の加入で注目を集めたが、それ以外は目立った補強もなかった。

「3月に開幕するWBCのメンバーにひとりも選出されなかったように、投手を中心に軸となれる選手がいない。早川隆久や荘司康誠らが期待どおりの投球をできるか。ドラフト1位の藤原聡大は投球センスを感じるものの、きゃしゃな体でどれだけ投げきれるか。今季から本拠地の外野フェンスが本塁寄りに改修され、外野が最大6m狭くなりますが、被弾しがちな投手の多い楽天としては不安材料です」

逆に言えば、攻撃陣にとってはチャンスでもある。お股ニキ氏が注目するのは3年目の中島大輔だ。昨季は長嶋茂雄氏以来となる「4試合連続三塁打」のプロ野球タイ記録をマークして話題を集めた。

【プロ野球2026 パ・リーグ展望】春季キャンプも大盛況! "エース電撃移籍"で揺れる「因縁の2強対決」の行方は!?
3年目の楽天・中島。昨季はプロ野球タイ記録となる「4試合連続三塁打」をマーク

3年目の楽天・中島。昨季はプロ野球タイ記録となる「4試合連続三塁打」をマーク

「三塁打が多いのは、外野手の間を抜く強い打球が打てて、長い距離を速く走れるという点でアスリート能力が高い証拠。

実際、22盗塁と足も速く、外野守備もいい。打線の主軸になれる優れた打者です。

ほかにも、昨季首位打者を争うなど飛躍した村林一輝をはじめ、野手がどこまで踏ん張れるか。2年目の宗山 塁も真価の問われる一年になります」

【野手陣強化の西武、新体制のロッテ】

最後に、Bクラスからの脱却を狙う2球団を掘り下げたい。4年ぶりのAクラスを目指す西武はどうか?

「91敗した2年前の大底からは抜け出せて、さらに飛躍を目指すシーズン。今井達也(アストロズ)の抜けた穴は大きすぎますが、髙橋光成は残留、平良海馬が先発転向、武内夏暉に渡邉勇太朗と先発の駒はいます。あとは歴史的な貧打をどこまで解消できるか」

その貧打解消へ、オフには日本ハムから石井、DeNAから桑原将志を獲得。同一年にFA2選手の獲得は球団史上初であり、本気度はうかがえる。

【プロ野球2026 パ・リーグ展望】春季キャンプも大盛況! "エース電撃移籍"で揺れる「因縁の2強対決」の行方は!?
サード転向を目指す2年目の西武・渡部。昨季は開幕スタメンをつかみ、序盤は高打率を記録

サード転向を目指す2年目の西武・渡部。昨季は開幕スタメンをつかみ、序盤は高打率を記録

「石井も桑原も打線の軸になるタイプではないものの、獲得できたのは大きい。ほかにも、サード転向を視野に入れる2年目の渡部聖弥、抜群に守備のいい滝澤夏央、強打の捕手として期待のドラフト1位の小島大河も含め、野手の陣容はそろってきました」

そして、昨季最下位からの逆襲を目指すのがロッテだ。

「投手ではWBCメンバーにも選出された種市篤暉がエースとして飛躍できるか。昨季9月の日本ハム戦で15奪三振をマークしたほか、8月と9月で12球団トップの82奪三振を記録。もともと良かったフォークに加え、ストレートも上から叩くように意識を変えたことで無双しました。その勢いを今季もシーズン通して継続させたいです」

野手では、高卒3年目の寺地隆成、昨季新人王の西川史礁、昨季4打席連続アーチを放った山口航輝ら若手陣に期待したいという。

【プロ野球2026 パ・リーグ展望】春季キャンプも大盛況! "エース電撃移籍"で揺れる「因縁の2強対決」の行方は!?
3年目のロッテ・寺地。昨季は10代ながら捕手とDHで起用され、シーズン100安打を記録

3年目のロッテ・寺地。昨季は10代ながら捕手とDHで起用され、シーズン100安打を記録

「寺地は20歳とは思えないほどの筋肉量で、もともと飛ばす能力は高いだけに期待は大きい。覚醒しかけている山口、打ち方のいい西川も含めたこの3人を打線の中軸として固定したいですね」

昨季、その西川が不調に陥った際、2軍で親身になって指導したのが今季から指揮官となったサブロー新監督だ。

「高校時代はPL学園で揉まれ、ロッテではボビー・バレンタイン監督の下でメジャー的な野球を学び、〝つなぐ4番〟として日本一に。トレードで巨人も経験するなど、さまざまな野球観を身につけてきたはず。どのような野球をするのか楽しみです」

今後はWBCに向けて代表組がチームから離脱する中、残された選手がいかに自チームをもり立てられるか。実戦の始まる日が待ち遠しい。

文/オグマナオト 写真/時事通信社

編集部おすすめ