デイブレイクが提供する特殊冷凍機「アートロックフリーザー」。複数のファンが内蔵されており、冷気が食材を取り囲んで高速で冷却する(下のイメージ図)。
従来、魚の流通において大きなネックだったのは、足の早さだった。しかし、その大前提をひっくり返すプレイヤーが現れている。キーワードは「特殊冷凍」。なんと、すしまで冷凍できてしまう!?
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【すしを冷凍できる時代がやって来た】一度握られてから冷凍保存したものを解凍して食べる「冷凍ずし」が静かに注目を集めている。おととしの秋には、東京都のイベントで小池百合子都知事も試食し「冷凍だとわからない」とコメント。
昨年3月には高級すし店「鮨 銀座おのでら」を経営するオノデラグループが茨城県で冷凍ずしの製造施設を稼働させると発表した。ほかにも、多くの有名すし店が冷凍ずしの通販を始めている。
しかし、酢飯に生魚をのせたすしを冷凍・解凍しておいしさを保てるものだろうか? 小池都知事を感心させた冷凍ずしを手がけ、また「鮨 銀座おのでら」に特殊冷凍機を提供しているスタートアップ・デイブレイクの担当者に話を聞いた。
「すしを冷凍して保存しようとする試みは20年以上前からあったのですが、うまくいきませんでした。おいしくなくなってしまうからです。
具体的には、すしネタからドリップ(解凍時などに出る組織液)が流れ出てしまうことや、シャリがパサパサになってしまうこと、さらにはネタの変色などさまざまな問題がありました」
確かに、すしに限らず、肉や魚を冷凍・解凍するとドリップが出てしまうことが多く、食感もボソボソしておいしくない。なぜ冷凍するとまずくなってしまうのだろうか?
「大きな要因は、凍らせる過程で魚肉の細胞膜が破壊され、それによって細胞内の水分が流れ出てしまうことです。
細胞膜が破壊された魚肉は解凍時にドリップが出て、うまみ成分や栄養素が失われる。そのせいで、食感や風味などが悪くなってしまうというわけだ。
ただし、細胞膜の破壊によって冷凍した食品がおいしくなくなることは以前から知られていた。
「解凍時のドリップの流出を防ぐための対策が、冷凍する際、氷の核によって細胞膜が破壊されるマイナス1~マイナス5℃の温度帯を、できるだけ素早く通過すること。要するに急速に凍らせるということです。
ただ、一般的な急速冷凍の方法は、とにかく強く冷風を当てるというものなのですが、これだと風によって食品が乾いたり、香りや風味が失われてしまったりする。
そこで弊社の特殊冷凍機『アートロックフリーザー』シリーズは、強い風を当てず、食品を包み込むように冷気をまとわせる方法でこの問題をクリアしています」
また、すしなど冷凍が難しい食材をおいしく冷凍・解凍するためには、そもそものすしの作り方や解凍方法にも工夫が必要だという。
「シャリを炊くときの水の量や酢の分量、冷凍保存時の温度、そして解凍方法に至るまで、トータルでコンサルティングさせてもらっています。細胞膜を傷つけずに急速冷凍に成功しても、保存時や解凍時に雑に扱ってしまっては台無しですから」
【一流の高級ずしが自宅で食べられる!】難しい理屈はさておき、冷凍ずしを実際に食べてみることにした。取り寄せたのは「鮨 銀座おのでら」オンラインストアで売られている「鮨 銀座おのでら 冷凍鮨 10貫セット」(5400円)だ。
立派な包装を解くと、解凍方法を解説する紙が入っていた。同封の「解凍袋」に袋のままのすしを入れ、そこに30℃のぬるま湯を注いでチャックを閉じ、70分待てば出来上がり。
70分後、おそるおそる開封してみると、見事なすしが現れた。ネタに施された繊細な仕事といい、赤酢を使った小ぶりなシャリといい、明らかにスーパーのパックずしとはレベルが違う。
何よりも驚いたのがみずみずしい色つやで、「さっきまで凍っていました」感がまったくない。つまり、高級すし店で職人がカウンター越しに出す、あのすしそのものなのだ。
同封された解凍袋にすしを入れ、チャックを閉める。その後、冷凍ずしが浸るまでぬるま湯を注ぎ、待つこと70分。銀座おのでらの高級ずしが完成! マグロ、中トロ、コハダ、カンパチなど10貫で5400円
食べてみると、ネタはジューシーで完璧に高級ずしのそれだ。とても冷凍されていたとは思えない。強いて言うなら、シャリの一部に粘り気の不足や固さを感じさせるものがあったのは残念だが、あくまで一部に限られたので、これは解凍がうまくいかなかったためかもしれない。
総じて素晴らしいすしだった。
デイブレイクによると、「アートロックフリーザー」を使えばすし以外にも刺し身や天ぷらなど、従来冷凍に向いていないと思われていた食材をおいしく冷凍保存できるという。
アートロックフリーザーはすし以外にも、天ぷらや焼き鳥にも応用可能。写真は冷凍したサツマイモの天ぷら
「都内の高級すし店でも、コロナ禍ですしの通販の需要に気づいたところが多く、そういった店舗で導入していただいています。あと、すごく注目しているのが海外ですね。冷凍すれば、日本の一流職人が握ったすしを世界のどこでも食べられますから。デイブレイクでは、アメリカへの冷凍ずしの輸出を進めています」
また、魚介類は足が早く、かつ既存の方法で冷凍すると味が落ちるため、店舗によっては廃棄されるものが出ていたという。だが、そういう食材も冷凍保存できるようになれば、フードロスの削減にもつながる。
冷凍技術の進歩によって、魚食文化の可能性がさらに広がることは間違いない。だが、冷凍技術以外にも、日本の食卓を変える「おさかなテック」はないだろうか?
取材・文/佐藤 喬
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