クイズ。私は何を飲んでいるでしょうか?
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。
* * *
私が子供の頃、アメリカで大々的に売り出された奇妙な飲料がありました。コーラのはずなのに、水みたいに透明。ラベルには「CRYSTAL PEPSI」という文字。「未来の飲み物」という説明だけで満足する友達。ひと口飲み、「味はコーラ、見た目は水」という現実に、脳が軽くバグを起こしました。
それから時は流れ、2010年代の日本のコンビニで透明飲料に再会。代表格はサントリーの「ヨーグリーナ」シリーズ。ほかにも、コカ・コーラの「コカ・コーラ クリア」、アサヒ飲料の「アサヒ クリアラテ from おいしい水」。コカ・コーラの無色透明な「い・ろ・は・す バナナミルク味」も衝撃的でした。あの頃の違和感が、日本では一大ジャンルになって帰ってきた感覚でした。
なぜ透明なのにここまで魅力的なのか。透明=未来・ハイテクというイメージは平成で終わったはず。考えられる要因は、日本人の「色に関するマナー」かも?
色のついた飲み物は、ちょっと私的で、ちょっと甘くて、ちょっとサボって見える。大遅刻しといて、すぐにみんなの前で「ファンタ」とかは飲めない、あの独特な遠慮。けれど透明なら、会議中でも、電車でも、誰にも気を使わずに飲める。見た目は水でも、口の中ではヨーグルトやラテの味が広がる。透明飲料の「見た目の無害さ」と「味の満足感」の二重生活、やけに快適かも。
極めつきは、サントリーの透明ビール風味飲料「オールフリー オールタイム」。ビールの味なのに透明。ビールなのにアルコールゼロ。ビールなのにペットボトル。仕事中に飲んでも怒られないビール、もはや哲学的存在です。
ちなみに、以前アメリカで「Any IPA」 というアルコール度数6.5%の透明クラフトビールも飲んだことがあります。泡だけ白くて、液体は透明。喉越しも苦みも完全再現していて、「ビールは色だ」という固定観念を破壊されましたが、オールフリー オールタイムに比べると発想が平凡ですね。
ちなみに透明飲料の作り方もまた、ちょっとした魔法です。本来、牛乳や茶、コーラの色は成分そのものに由来します。それを透明にする方法のひとつは、活性炭や特殊なフィルターによる色や濁りの徹底的な濾過(ろか)。そうしていったん味を取り出した上で、香りや風味の分子だけを再設計して戻す。
つまり「味だけ取り出して、色は置いてくる」。透明飲料は静かな顔をしていますが、裏でかなり派手な化学実験が行なわれています。水に人工甘味料を入れただけの時代は終わって、実際に未来の飲み物です。
ここで、今後できたらいいな、と思う透明飲料を考えました。まずは「透明味噌汁ドリンク」。
「透明カレー飲料」もどうですかね。無色透明、でも味はスパイスカレー。これを飲みながら電車に乗って、車内を静かにざわつかせたい。アルコール類ですと、「透明赤ワイン」。グラスに注いでも水、でも香りもタンニンもフルボディ。「昼から水を飲んでるだけですけど?」という顔で、実はボルドー。背徳感と上品さが同時にくる一杯になりそう。
●市川紗椰
米デトロイト育ち。
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