男児の死亡事故が発生したスキー場のエスカレーター。過去に複数回の事故が起きていたにもかかわらず、監視員が常駐していなかったことが問題視されている
スキー場での死亡事故が続発している。
一方で海外からの観光客が増えて、言語や文化が違う人々の安全を守るという新たな難問も。最前線で安全管理を担う専門家たちが、噴出する問題の対策を提言する。
【建築基準法適用外で人員配置せず死亡事故が発生】「エスカレーターに子供が挟まれた」
昨年12月28日、北海道小樽市の朝里川(あさりがわ)温泉スキー場の利用客から119番通報が入った。駐車場とゲレンデを結ぶ雪上エスカレーターの終着点で、札幌市内の保育園に通う男児(5歳)が転倒。
通常はふたで閉ざされているはずのコンベヤーの巻き取り口部分に腕を挟まれた。機器が作動し続けて男児は身動きが取れなくなり、衣服で首が圧迫されて窒息死した。全国紙社会部デスクが語る。
「エスカレーターは中国製で、マニュアルでは常時、人員を配置することが明記されていましたが、事故当時は監視員はいませんでした。また、事故が起きたコンベヤーのふたは、開いたり物が挟まったりすると停止する仕様でしたが今回は作動せず、男児の母親が非常停止ボタンを押して止めたそうです。
このエスカレーターでは過去にも転倒事故が起きており、警察は業務上過失致死の疑いで捜査に乗り出しています。
ただ、屋外にあり建物に未接続のエスカレーターは建築基準法の適用外で、法的な運用ルールはなく、各事業者の裁量に委ねられているのが実情。
このエスカレーターと同じ製品を昨年11月から導入している北海道新得町のサホロリゾートスキー場で、安全管理部門の担当課長を務める増子幸一氏は、事故について疑問を投げかける。
「機械は故障したり不具合が起きれば止まるもの。なのに、なぜ子供が挟まってもストップしなかったのか。安全性を犠牲にし、稼働時間を延ばすためセンサーが作動しないような措置が加えられた可能性も考えられます。
そもそも、人を輸送する設備なのだから、人員配置などの安全基準を監督官庁が細かく定めるべきだと考えます」
サホロリゾートでは毎日の始業時、非常停止ボタンの動作確認など、時に40分もの時間を要して安全確認を行ない、営業時は常に上下に専門員を配置しているという。これまでエスカレーター事故は起きていない。
「安全管理には『お客さまから目を離さない、背けない』姿勢が求められます。そのため十分な人員を配置することが重要になりますが、スキー業界は過疎化や高齢化も相まって人手不足に悩んでおり、それが原因で事故につながることも。
うちは人材派遣会社などにお願いしてやりくりできています。ただ、客足が遠のいて以前より収益が図れなくなってきた分、人件費を削ってしのぐスキー場はあります」
【スキー経験のない海外客の事故も......】長野県小谷(おたり)村のスキー場「つがいけマウンテンリゾート」では1月30日、リフトの降車の際にオーストラリア人の女性(22歳)が宙づりになって死亡した。警察の調べでは、女性の死因は窒息による低酸素脳症。
運営会社は、女性が背負っていたバックパックの装着していなかった腰ベルトの留め具がリフトの機材に挟まった一方で、胸部の留め具は装着されていたため、首が絞められ体が抜けずバックパックごと引きずられたと発表した。
長年にわたりリフトをはじめとする索道(さくどう)やスキー場の安全管理に従事する索道コンサルタントの村山徹氏は、次のように解説する。
「リフトでは約6秒間隔というスピードで客が到着するので、スタッフが次の客に目を移した隙に前の客が降りられないままトラブルが起きることがあり、宙づりをゼロにするのは困難です。実際、小規模な事故はまれに起きています。
この事故の場合、高さのある2連はしごを雪面に立て、はしごの上のスタッフに肩車するようなかたちで体重をかければ絡まった胸部の留め具が緩むのですが、経験があって機転の利くスタッフでないとなかなか難しい。
しかも、今回亡くなったのはオーストラリア人だったので、うまくコミュニケーションが取れず、最悪の結果を招いた可能性もあります」
スノーリゾートにおけるインバウンド需要の高まりの陰で起きた今回の事故。日本人スキー客が減少する中、海外客は増加傾向にあり、彼らの身を守るのも業界の課題となってくる。
「飛行機で日本海を渡ってすぐに来られる手軽さや管理が施された遊びやすさから、中国や台湾をはじめ、最近はベトナム・タイなど東南アジアからのインバウンド客が増えています。
彼らは、スキーはおろか雪を触るのも初めてだったりします。スキー場のルールを知らないから、例えばリフトに乗っている途中で飛び降りたり、初心者なのにむちゃなコースを滑ったり、こちらが予想もしていないような動きをすることがある。
それで事故が発生し、スタッフが対応に追われるといった問題を各スキー場が抱えています。
こうした言語も文化も異なる人たちに、どのように注意・啓発していくか、皆が試行錯誤しています」
外国人スキーヤーによる遭難事故や、立ち入りが禁止された危険地帯に侵入した末の死亡事故も毎年のように起きている。前出の増子氏はこう続ける。
「未圧雪のパウダースノーを、風よけとなる木々が生息する2000m級で楽しめるということで、日本のスキー場は海外のベテラン客からも注目を集めています。
ただ、彼らの中にはコースを逸脱するバックカントリーに興じる者もいて、遭難してスタッフが救助に駆り出されたり、雪崩を引き起こしてゲレンデにまで影響を及ぼすという事態が、多くのスキー場で起きています。そのような行為の危険性を周知することが重要です」
前出の村山氏は、スキー業界を取り巻く新たな課題に向き合った上でこう提言する。
「世界中の人が遊びに来るようになった今、目視だけに頼らず、AIなどの最新技術を活用して自動監視を取り入れるべきです。また、リフトにも自動車のような事故回避システムを導入して、異常を検知したら自動でストップできるように改良していくべきです」
一面を雪で覆われて、文字どおり死角が尽きないスキー場。国際化が雪崩を打つ中、その安全管理が改めて問われている。
取材・文/武田和泉 写真/共同通信社
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