最新研究でわかった「日本列島の地下に潜る海山」の脅威
M7級「首都直下地震」の発生確率は、30年以内に70%とかなり高い。南海トラフ地震だけでなく、こちらへの警戒も必要だ。
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【日本列島に向かって、海山が移動している!】昨年末から年明けにかけて、日本列島で大きな地震が頻発している。
2025年11月25日、九州の熊本県を震源とする最大震度5強、マグニチュード(M)5.8の地震が発生した。翌月の12月8日には、東北の青森県東方沖を震源とする最大震度6強、M7.5の地震が起こっている。年が明けた2026年1月6日には、山陰の島根県東部を震源とする最大震度5強、M6.4の地震が観測された。
さらに1月9日には、関東の千葉県北東部を震源とする最大震度4、M4.7の地震が起こっている。まさに、日本中が揺れていると言ってもいい状況だ。
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、マグニチュード7.3、最大震度7の都市直下地震で、家屋だけでなくビルも大きな被害を受けた
そんな中、政府の中央防災会議は、昨年12月19日に「首都直下地震」の新被害想定を発表した。
この発表によると、M7クラスの地震が首都圏で発生する確率は「今後30年間で70%程度」と非常に高く、東京都の一部で震度7、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県では最大震度6弱~6強になるという。また、この地震による死者は最大約1万8000人、負傷者は約9万8000人に上ると推定されている。
さらに帰宅困難者は約840万人、2週間後の避難者数は約480万人、全壊・焼失建物は約40万棟となり、ライフラインの復旧には1ヵ月以上かかるものもあるという。
首都圏を襲う大地震による経済被害は82兆円を超え、まさに〝国難級〟の災害となるのだ。
この首都直下地震について「関東には〝地震の巣〟があり、それに〝海山〟が関係しているのではないか」と考えているのが、『日本列島の下では何が起きているのか 列島誕生から地震・火山噴火のメカニズムまで』(講談社ブルーバックス)などの著書がある東京科学大学の中島淳一教授(地震学)だ。
――まず、海山とはなんでしょうか?
中島 海山とは、その名のとおり海底にある大きな山です。太平洋の海底には、2000~3000m級の山がポツポツと存在しています。
では、その海山はどのようにできるのかというと、南米チリの沖合いにある東太平洋海嶺という所で、太平洋プレートが生まれています。そして、海底を北西の方角に1億年くらいかけてゆっくりと動いていって、日本列島の手前で北米プレートやフィリピン海プレートの下に沈み込んでいきます。
この太平洋プレートが海底を移動しているときに、地下にあるマグマが上がってきて火山をつくることがあります。これが海山です(図1)。
ハワイのキラウエア火山は海山のひとつで、今でも溶岩の噴出が続いている。こうした海山が日本列島に向かって進んでいるのだ
わかりやすいたとえでいうとハワイ。ハワイは地下からのマグマの供給量が多く、現在も噴火していますよね。
実は、ハワイは海面から顔を出している高い海山なんです。ただ、海面に顔を出しているので、島ということになります。一方で、海面まで顔を出せなかった海山が海底にはたくさんあります。
また、海山ができやすい場所もあります。一番多いのは南太平洋で、そこから日本列島の近くまで線状にポツポツと存在しているのです。
【関東の〝地震の巣〟は、海山によるもの!?】――その海山が首都直下地震と関係があるというのは、どういうことでしょうか。
中島 まず、関東地方の下には、太平洋プレートとフィリピン海プレートというふたつのプレートが沈み込んでいます(図2)。そのため地震活動が活発で、数年に1回はM5以上の地震が起こっています。
そこで、関東地方で起こった地震活動の様子(震源地)を調べてみると、地震活動が密集している領域が見つかりました。
それが『茨城県西部』と『房総半島東部』、そして『東京湾北部』で、中でも一番地震の数が多いのが東京湾北部(図3)なんです。ですから、ここはまさに〝地震の巣〟と言えます。地震の巣である東京湾北部では、体に感じない小さなものを含めると1ヵ月に100回ほどの地震が発生しています。
さらに、過去100年の間に東京23区で震度5強以上が観測された地震のうち、ふたつが東京湾北部を震源とする地震でした。残りのひとつは東日本大震災時のものなので、実質的に首都圏での大きな地震は東京湾北部が震源となっています。
また、1894年に起きた明治東京地震も東京湾北部付近が震源だった可能性が高いといわれています。ちなみに、1923年に起きた相模湾を震源とするM7.9の関東大震災は、南海トラフ地震と同じ海溝型地震なので、内陸部で発生する首都直下地震とはメカニズムが少し異なります。
一方で、例えば東北地方の地震活動には、関東のように密集した場所はそれほどありません。では、この違いはなんなのか。それは『関東では海山が沈み込んでいるから』ではないかと考えました。
関東地方の約300km沖合には『常磐海山列』という海山の列があります。10個余りの海山が連なっており、大きさは、半径5~20km、海底からの高さは1000~3000mです。
そして、その最西端には『第一鹿島海山』があり、今まさに日本海溝に沈み込んでいるところです(図4)。ということは、これまでにも海山が関東には沈み込んでいて、地震の巣である東京湾北部の下にも海山があるのではないかと考えました。
そこで、2000年から23年までの東京湾北部で発生したM2以上の地震を解析したところ、この地震の巣の大きさが関東の沖合にある常磐海山列の海山とほぼ一致したのです。
このことから、やはり東京湾北部の下には海山があるのではないか。そして、東京湾北部地震は海山が原因ではないかと考えました。
――普通に考えると、海山がプレートに沈み込んでいくと、山が削られて平らになってしまうように思うのですが、違うのでしょうか。
中島 直感的にはそう思いますよね。以前は私もそう思っていました。しかし、今回の研究結果からは、少なくとも東京湾北部については、山の形をある程度保持していると考えられます。
海山のある太平洋プレートが沈み込んでくると、海山の前面の斜面がぐいぐいと岩盤を押しつけて、ひずみがたまり、海山の前面が破壊されて地震が発生するというのがメカニズムです。
【東京湾北部を震源にM7級の地震が起こる!?】――では、その海山が大きな地震を起こす原因になっているということですか。
中島 実は海山は、ふたつの大きな役割があるといわれています。ひとつは『大きな地震の断層滑り(地面の動き)を止める』という働き。もうひとつが『大きな地震を引き起こす』働きです。
例えば、海山の外側でM8クラスの大地震が発生して、断層滑りが海山の方向へ向かったときには、海山のデコボコによって、その滑りを止める方向に働くでしょう。
――首都直下地震が、海山によって起こる可能性があるということですね。
中島 そうです。1894年の明治東京地震はM7の地震で、震源は東京湾北部の深さ40~70kmといわれています。もし明治東京地震が東京湾北部の地震の巣で発生したのであれば、同じように東京湾北部を震源とするM7クラスの地震は、いつ起こってもおかしくありません。
地震の巣と重なる東京湾北部。写真は千葉県習志野市周辺。ここが震源になると被害は甚大だ
――首都直下地震は、東京都だけでなく、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県など南関東を震源とする地震と想定されていますが、その中で一番怪しいポイントが東京湾北部ということですね。
中島 首都直下地震はどこで起こるかわかりませんが、東京湾北部でM7クラスの地震が起こると首都圏に甚大な被害をもたらします。
そこで、さらに研究を進め、東京湾北部で起きる可能性が高いということがわかれば、今後、その対策もできるようになるのではないでしょうか。
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日本では今、最大震度7、M9になるともいわれている「南海トラフ地震」の発生が懸念されている。一方で首都機能をマヒさせる最大震度7、M7級の首都直下地震にも注意が必要だ。
今年2026年は、前回の南海トラフ地震である「昭和南海地震」から80年、「東日本大震災」から15年、「熊本地震」から10年の節目の年になる。
負傷者約9万8000人、帰宅困難者約840万人、避難者約480万人に上るという首都直下地震。自分が巻き込まれたときに備えて、準備は万全にしておきたい。
取材・文/村上隆保 写真/時事通信社 資料提供/中島淳一
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