元男闘呼組・成田昭次インタビュー【前編】「この本で何かに挑戦...の画像はこちら >>

発売後、すぐに2万部に重版が決まった元男闘呼組成田昭次の著書『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』

発売してまもなく2万部の重版が決定し、大きな話題を呼んでいる元男闘呼組・成田昭次の著書『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』。

自身の幼少期から芸能界デビュー、男闘呼組活動休止、離婚、大麻取締法違反による逮捕、兄の死、地元・名古屋での会社員生活、そして男闘呼組再始動から現在の活動に至るまで。

すべてが赤裸々に綴られている。

この本を、ほかの男闘呼組メンバー、岡本健一高橋和也前田耕陽はどう読んだのか? また発売後の反響を受けて、成田昭次にとって、あらためてどんな一冊になったのか? 本書を構成したライター水野光博が聞いた。

* * *

【男闘呼組メンバーとは仲の良さの質が変わった】

――発売直後に増刷が決まり『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』は大反響を呼んでいます。

「ありがたいです。こうして一冊の本にならなければ、ここまで自分の人生をまじまじと振り返ることはなかったはずで。自分の人生が、この自叙伝に詰まっているかと思うと本当に感慨深いです。それを大勢の人に読んでいただける。どう受け止めてもらえるか楽しみです」

――男闘呼組のメンバーから感想は聞きましたか?

「(岡本)健一は、『もう何回も泣いた』って言ってくれました。恥ずかしくて、『どこで泣いたの?』とは聞けませんでしたけど。

健一は、インタビューのみならず制作に関してもすごい協力してくれて。メンバーには、本人の発言部分に齟齬(そご)がないかゲラの段階で読んでもらったんです。健一は自分以外の部分に対しても、『この書き方だと読んだ人が別の解釈しちゃうかもね』『このときって、こうじゃなかったと思うよ』と細かくアドバイスをもらい修正しているんです。

出版後も、ちょうど舞台で全国を飛び回るタイミングだったんですが、健一は訪れた街の書店に必ず寄って『この本屋は何冊置いてあった』『あの本屋は売り切れだった』と報告してくれたりもして。メンバー想いで優しいですよね、昔から」

――ほかのメンバーの感想は?

「(高橋)和也には、真顔で『いい本だね』って言われましたね。名古屋、大阪、東京で発売記念のイベントをさせていただいたんですが、(前田)耕陽は大阪のイベントに駆けつけてくれて。『面白かったよ』って言ってくれました。

ただ、この自叙伝のために受けたインタビューで色々思い出したらしくて。17歳のときかな、一緒にドラマに出演したんです。そのとき、僕にイタズラされたと、40年ぐらい前の文句も言われました(笑)。

やっぱり覚えていること、忘れていること、メンバーそれぞれあって。男闘呼組の再始動に向けて動き出してから今日まで、メンバー同士で本当にいろんな話をしてきたので、それこそ過去のことについては語り尽くしたと思ってました。

それでも、やっぱり伝えきれていない出来事や思いがあった。4人にとってこの自叙伝が、そこに気づかされるきっかけにもなって。この本がメンバーの絆というか、より仲良くいられるための一因になりましたね」

――昔から今も変わらず仲がいいんですね。

「ですね。当時も仲は良かったですけど、それこそ10代から一緒にいたので、殴り合いのケンカをしたこともあるし、お互いの良い部分はもちろん、イヤな部分も全部見てきている。

そのすべてをひっくるめ受け入れているんで、今でもこれだけ仲良くいられるのかなと思います。ただ、仲の良さの質が変わったなとは思います」

――仲の良さの質ですか?

「はい。昔も仲は良かったんですが、男闘呼組の活動休止まではメンバー4人だけでご飯を食べに行ったり、ワイワイ雑談したりは、そんなにしなかったと思うんです。個人個人が自分の仲間たちとつるんで、メンバーはメンバー、自分は自分と干渉しすぎないようにしていたというか。

その後、長い間離れ離れになって。その間、それぞれが成長の仕方は違うんですけど、やっぱ大人になって、またこうやって再会したら、とんがってた部分や突っ張ってた部分がなくなっていた。

今、音楽に関しても、どんなことに関しても、『こうした方がいいんじゃない』『ああした方がいいんじゃない』ってみんなでアイディアを出し合うようになって。それこそ何かしていたら『何やってんの?』ってメンバーが自然と集まってくる。

この年齢になったからこそ、お互いがすべてを曝(さら)けだせたり、素直に頼ったりできるようになったんです。年齢を重ねる、加齢ってとかくネガティブなことのように語られますけど、今のメンバーの関係性を思うと、年をとるのも悪くないなって思いますね」

A.B.C-Z戸塚祥太の感想は嬉しかった】

――自叙伝では、お母様にもインタビューをしています。

実は当初、昭次さんとメンバーのインタビューで構成することを想定していたんですが、「昭次の自叙伝なのに、母親の話を聞かなきゃ始まらないだろ」とアドバイスをしてくれたのが健一さんでした。

「そうだったんですね。母にとっては思い出したくないことも多かっただろうし、取材を受けてくれるかなって思ったんですけど、『今度、本を出すんだけど、お母さんにもインタビュー、もしよければしたいって話があって。大丈夫かな?』って聞いたら。『いいよ』ってふたつ返事で快諾してくれて」

――お母様に感想はお聞きしましたか?

「家で黙々と読んで、最後の2行で泣いてましたね」

――Xでの戸塚祥太(A.B.C-Z)さんの自叙伝に対する感想も大きな反響を呼びました。

「嬉しかったですね。彼はライブにも何度も足を運んでくれていて。もしも若い世代にも何か伝わるのであればこの本を出してよかったなって改めて思えます。

自叙伝を書くにあたって、年齢を理由に夢を諦めたり、何かに挑戦することを躊躇(とまど)っている人、僕と同世代の人たちの背中をもしも押せたらな、と思っていたんです。何度も進む道を間違った僕でもできたことがある。『きっと、あなたも大丈夫。挑戦することを諦めないでほしい』と押せる背中があるんじゃないかと。

ただ、改めて自分の半生を振り返り、僕が若いときにやり遂げられなかったことが、この本には詰まっています。例えば僕にとっての男闘呼組の再始動のように。自分の人生においてケジメをつけなければいけない瞬間って、きっと誰にでも訪れると思うんです。なかったことにして前には進めないという状況が。

やり遂げられなかったことや挑まなかったこと、そういったことって、どれだけ時間が経ってもまとわりついてくるんで。だから、この本が若い世代の人たちにも届き、挑むべきことがあるなら挑むべきだという、勇気やチャレンジ精神のようなものにつながってくれれば嬉しいです」

【この自叙伝はバイブル的な一冊】

――自叙伝には男闘呼組時代の『明星』の誌面もふんだんに掲載されていました。

「30代ぐらいのときは、過去の自分を見るのが恥ずかしかったんです。できれば視界に入れたくなかった(笑)。ほら、まだ10代、20代から日が浅いじゃないですか。

ただもはや30年前、35年ぐらい前のこととなると、『こんなこともあったんだ』って冷静に見られるというか。『明星』の誌面を久しぶりに見て、こんなこともやっていたんだなって懐かしさがこみ上げました」

――なるほど。

「男闘呼組の再始動にあたって、若いときの映像を頻繁に見るようになったんです。

それまでは自分の過去の映像なんて恥ずかしくて見たくもなかったんですけど、映像でしか残ってない曲もあるので、どうしても見なくてはいけない。

気まずいなと思って過去映像を見始めると、意外にちゃんと見れたんですよね。恥ずかしいどころか、若いときの自分に励まされもして。『そうか、ここまでの演奏をやってたんだな』って。10代20代の自分に応援してもらったような気持ちになりました。

それと同じように、『明星』に映った10代、20代の自分を見て、このときの自分がいるから、今の自分がいるんだなって」

――この自叙伝は昭次さんにとって、どんな本になりそうですか?

「男闘呼組の再始動に向けて動き出し、僕は12~13年振りに音楽活動を再開して。初めてステージに立ったのが、6年前の2020年でした。本来なら、そのステージで何があったのか、なぜ表舞台から姿を消し、どうしてもう一度音楽の世界に戻ってきたのかということを謝罪し伝えるべきだったと思うんです。

ただ、僕はゲストとして呼んでいただいたステージだったこともあり、僕の個人的な思いを話すべきではないと、いろんなことを熟考した末に判断してしまいました。その日から、いつ、どんな形で、みなさんに伝えるべきか、葛藤を抱きながら日々を過ごしていた気がします。

それが、こういう自叙伝とういう形で、ちゃんと洗いざらい、すべてを伝えられたことは本当にありがたいことでした。少しだけ自分を許せたというか、少しだけ自分を好きになるきっかけにもなったと思います。

もちろん、お世話になった人、支えてくれた人、構成上すべての人を描くことはできず、心残りがゼロというわけではないですが、出せる限りのことを出せたのかなと思うんです。

この本を読み返すたびに、僕自身が自分の人生を改めてかみしめることができる、振り返ることもできる。今後も僕は迷ったり、立ち止まったり、さぼったりしそうになる瞬間が何度も訪れると思うんです。

その度にこの本を読み直して、原点に立ち返ろうと思います。この本は僕にとって教訓にもなるので。だから、この自叙伝は僕にとってのバイブル的な一冊というか。

これから、自叙伝以降の僕の物語が始まります。自分に、そして僕を支えてくれるメンバーや家族、ファンの方に恥ずかしくない生き方をしていこうと思います」

※後編に続く

●成田昭次(なりた・しょうじ) 
1968年8月1日生まれ、愛知県出身。1988年、ロックバンド「男闘呼組」 のボーカル&リードギターとしてデビューし、数々の音楽賞を受賞。役者としても活躍していたが、「男闘呼組」活動休止後は音楽活動に専念。その後、芸能界を引退するも2020年に音楽活動を再開。2022年に期間限定で復活を果たした「男闘呼組」で再度注目を集め、寺岡呼人プロデュースのバンド「Rockon Social Club」「NARITA THOMAS SIMPSON」でボーカル&ギターを務める。2026年1月、初の自叙伝『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』を発売。同年3月11日からツアー「NARITA THOMAS SIMPSON 人生はとんとん Billboard Live」、9月3日よりRockon Social Clubのツアーを開催。

インタビュー・文/水野光博

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