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(右)ミツカン マーケティング本部・本部長の村重氏と(左)日本シュウマイ協会会長のシュウマイ潤

連載【日本シュウマイ協会会長・シュウマイ潤の『みんなが知らない、シュウマイの実力』第17回

シュウマイ研究家のシュウマイ潤が、シュウマイを生業にする企業のトップや担当者に「シュウマイ」について尋ね、新たな「シュウマイ愛」を発見し、さらなるシュウマイの可能性を探る!

今回は、お酢を中心とした調味料メーカーとして知られ、近年は「ぽん酢サワー」の"仕掛け人"としても知られる、ミツカン マーケティング本部・本部長の村重祐介(むらしげ・ゆうすけ)氏に話を聞いた。

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「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】

シュウマイ潤(以下、潤) いつもお世話になっております! 日本シュウマイ協会に創設から参加いただき、改めて御礼申し上げます。

村重祐介(以下、村重) こちらこそ、いつもシュウマイを食べながらの作戦会議、勉強させて頂いております。

 ミツカンさんには、協会が主催するイベントで「ぽん酢サワー」を協賛いただき、シュウマイに合う公式ドリンクとして普及に努めています。徐々にではありますが、浸透してきた実感があります。

村重 弊社が主に提供する調味料は、料理やお酒などに組み合わせ、味わって頂かなければ知って頂けませんので、シュウマイという誰もが知っている料理と共に味わう場を、継続的に作って頂けていることに大変感謝しています。

 村重さんとの出会いは、協会に加盟いただく少し前の2021年頃ですね。

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】

村重 確かメディア関係の方から、シュウマイの専門家がいるということでご紹介いただいたのがきっかけだと思います。その時、私がちょうど「ぽん酢サワー」に使う「ぽん酢」や「味ぽん」などの調味料を担当する、マーケティング部門の部長になった時です。

マーケティングについて少しお話しさせて頂くと、「商品の魅力は、自分たちが楽しくないとお客様には伝わらない」と私は考えています。

仕事をするための動機には、「内発的動機=興味・関心・楽しさ・やりがい」と「外発的動機=報酬・評価・懲罰・義務」のふたつがあるとされ、一般的にビジネスの世界では後者が重要だと思われがちですが、私は前者も含めて、そのどちらも満たされた状況が理想的であると考えています。

私は横浜市出身で、15分も歩けば崎陽軒さんの工場がある環境で育ち、工場横の売店で買った「昔ながらのシウマイ」が当たり前のように食卓に並んでいました。私にとってシュウマイはソウルフードであり、潤さんとのご縁をきっかけに、シュウマイに携わる仕事をしたいと思いました。

そんな「内発的動機」と「ぽん酢サワー」を盛り上げつつ、それに使用する「ぽん酢」の売り上げを伸ばすという「外発的動機」が満たされたことで、私としてはシュウマイを盛り上げることになんの矛盾もありません。

会社としても価値観は同じで、協会参加を当時の社長に申請したところ、翌日には承認されました(笑)

 村重さんのシュウマイ愛が会社としても合意されていること、ちょっとホッとしています。しかし村重さんの生まれ育った環境は、横浜の中でもエリートエリアですね!

村重 さらに私は少年時代から、「昔ながらのシウマイ」に「味ぽん」と練り辛子をつけて食べるのが好きだったんです。

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
柑橘果汁・醸造酢・醤油がひとつになった、他では味わえない絶妙な風味の調味料。鍋料理をはじめ、おろし焼肉・焼魚・ぎょうざ・冷奴などに「つけて」「かけて」幅広く使える「味ぽん」各種

柑橘果汁・醸造酢・醤油がひとつになった、他では味わえない絶妙な風味の調味料。鍋料理をはじめ、おろし焼肉・焼魚・ぎょうざ・冷奴などに「つけて」「かけて」幅広く使える「味ぽん」各種

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
地域のグルメや名産品に着目し、地域に根差した食文化の発展に貢献する「地元を味わう味ぽん」限定品シリーズ

地域のグルメや名産品に着目し、地域に根差した食文化の発展に貢献する「地元を味わう味ぽん」限定品シリーズ

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
柑橘果汁に醸造酢を加えたシンプルな味わい。鍋料理をはじめ、湯豆腐・フライ・お酒の割り材などにも使える「ぽん酢」各種

柑橘果汁に醸造酢を加えたシンプルな味わい。鍋料理をはじめ、湯豆腐・フライ・お酒の割り材などにも使える「ぽん酢」各種

 私も「味ぽん」をつけるのも好きですが、よりスッキリとした風味の「ぽん酢」も捨てがたいと思っています。

恥ずかしながら、「ぽん酢サワー」を知るまで「ぽん酢」の存在を知らず、「味ぽん」との違いもそこで初めて知りました。「味ぽん」の醤油がない状態のモノが「ぽん酢」で、社内では「(白)ぽん酢」と呼ばれているんですよね。

村重 無理もありません。売り上げは100倍(!)以上の差がありますから。ただ歴史的に「ぽん酢」は、「味ぽん」の兄貴分とも言える存在なんです。

「味ぽん」が完成したのが1964年ですが、その4年前の1960年に「ぽん酢」を発売しています。当初、「ぽん酢」の成分である柑橘果汁と酢に醤油を混ぜると、保存期間が短くなるという課題があり、最初は各家庭で「ぽん酢」に醤油を混ぜてもらう形で販売していました。

その後4年をかけて工夫し、「味ぽん」を完成させましたが、今でも「ぽん酢」のコアなファンがいて、少ないながらもスーパーで置いて欲しいという要望を頂いています。

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
ぽん酢(1962年頃)

ぽん酢(1962年頃)

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
ぽん酢(360ml/1962年頃)

ぽん酢(360ml/1962年頃)

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
味ぽんは発売当初(1964年)、ぽん酢<味つけ>という名前で発売され、後に味ぽんとなった。ミツカンはコレを味ぽんの始まりとしている

味ぽんは発売当初(1964年)、ぽん酢<味つけ>という名前で発売され、後に味ぽんとなった。ミツカンはコレを味ぽんの始まりとしている

 歴史は古いのに、主役は弟分に奪われる......シュウマイと餃子の関係に似ていますね。そしてミツカンさんは今年、創業222周年という語呂の良い年なんですよね。その歴史から見ると、「ぽん酢」「味ぽん」も最近の商品と言えますね。

村重 弊社は元を辿ると造り酒屋から分家独立して、お酢を作った所から始まったのですが、今日に至るまで"挑戦"好きな社風が続いています。

お酢の製造も、江戸時代に酢飯と江戸前(江戸湾)で採れた魚介を握る「江戸前寿司」が流行り、それに合うお酢として、酒造りの副産物である「酒粕」を用いた「赤酢」を提供した所から始まっています。

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
大正時代頃の半田運河 画像提供/(一財)招鶴亭文庫

大正時代頃の半田運河 画像提供/(一財)招鶴亭文庫

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
明治38年の工場図 画像提供/(一財)招鶴亭文庫

明治38年の工場図 画像提供/(一財)招鶴亭文庫

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
明治38年の販売店図 画像提供/(一財)招鶴亭文庫

明治38年の販売店図 画像提供/(一財)招鶴亭文庫

その後、弊社は乳業や冷凍食品、ハンバーガーショップや銀行など、さまざまな業種に挑戦しました。ハンバーガーは、マクドナルド1号店オープンの1日前に開業したと聞いていますが、残念ながら上手くいかず撤退しました。

他も同様に上手くいくものばかりではありませんでしたが、"失敗したら引く"という哲学も徹底しています。

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
ミツカンが挑戦した冷凍食品「タイムディッシュ」

ミツカンが挑戦した冷凍食品「タイムディッシュ」

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
ミツカンが挑戦した事業のひとつ「中埜銀行」

ミツカンが挑戦した事業のひとつ「中埜銀行」

 今はやはり、「味ぽん」が主力商品なんですか?

村重 実は、売り上げでいうと「納豆」です。一見、お酢と納豆は関係なさそうですが、弊社は社内にさまざまな菌の研究を行う専門部門があり、納豆菌の研究も行っています。

例えば「金のつぶ におわなっとう」は、菌の働きで納豆特有の匂いを抑えた商品ですが、これは弊社だからこそ出来た商品だと思います。

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
菌の働きで納豆特有の匂いを抑えた「金のつぶ におわなっとう」

菌の働きで納豆特有の匂いを抑えた「金のつぶ におわなっとう」

 「ぽん酢」や「味ぽん」も挑戦の一環だったんですか?

村重 1950年代頃まではお酢が主力商品だったのですが、社内でお酢以外の主力商品を作るためのプロジェクト「超酢(ちょうず)作戦」が立ち上がり、そのなかで生まれました。

当時の社長が取引先との宴会で、博多水炊きと一緒に出てきた「ぽん酢」のあまりの美味しさに魅了され、「ぽん酢」を全国に提供する事で、その食文化を広げようと開発がスタートしました。

とはいえ、当初は西日本以外ではなかなか浸透しませんでした。そのため、まずは市場で水炊きを作って、仲買人たちに味わってもらう所から始めたといいます。

そして1980年代に入り、全国に食品スーパーが出来始め、同時にテレビコマーシャルが流れるようになり、その両者の営業と広告効果が噛み合い、徐々に全国に認知されていった形ですね。

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】

 「ぽん酢サワー」は、挑戦とはまた違った経緯で生まれましたよね。

村重 おっしゃる通りで、東京の幡ヶ谷にある串かつ店の店長さんが「味ぽん」と「ぽん酢」を間違えて発注し、それを消化するためにアルコールドリンクに入れてみたら人気が出て、徐々に広がっていき、それを弊社の若手担当者が見つけ「ぽん酢」を提供する企業として応援していこう!という事になりました。

先にも触れた通り、調味料は何かと組み合わせて味わってもらって、初めて知ってもらえます。偶然生まれた「ぽん酢サワー」は我々でも思いつかない発想の組み合わせが面白く、そこにシュウマイも組み合わせて、「シュウマイと酒」を楽しむ文化が作っていけたら楽しいですよね。

ただ、個人的には「ぽん酢サワー」よりハイボールが好きなんです(苦笑)

 でも、ハイボールに「ぽん酢」を入れてもいいですし、他のお酒でも良いアクセントになりそうです。

村重 色々なお酒との組み合わせは弊社でもやってみましたが、ビールやジンでもすごく美味しいです。

そして日本酒も合うということで、菊正宗酒造様から4月に「ぽん酒」というコラボ商品の販売が決定しました!

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
菊正宗酒造とミツカンのコラボ商品、ぽん酒(900mL)。2026年4月6日より全国で販売開始。販売:菊正宗酒造株式会社

菊正宗酒造とミツカンのコラボ商品、ぽん酒(900mL)。2026年4月6日より全国で販売開始。販売:菊正宗酒造株式会社

 挑戦しますね! ミツカンの挑戦は、ディープな視点を持つ村重さんからも常に感じます。しかし、私も好きなプロレスとのコラボには、さすがに驚きましたが(笑)

村重 (笑)。私の個人的なプロレス愛により、弊社はこれまで新日本プロレス、LLPW、スターダムなどに協賛し、オリジナルの覆面レスラーもプロデューしています。

シュウマイと同様、好きなプロレスと直に関われるのは本当に幸せですが、マーケティング視点では、食とエンターテインメントやスポーツとの相性は非常によく、さらにお酢の健康効果とスポーツの健康イメージの親和性も高いです。

 スポーツ観戦とシュウマイの相性もいいんですよね。ひと口で頬張れるし、提供する側も調理保温しておけばすぐに提供でき、多少冷めても美味しさが持続する。

村重 ホットスナックとしてのポテンシャルは非常に高いと思います。プロレス会場での相性もいいですし、「ぽん酢サワー」や「ぽん酒」などと味わって頂けたら最高ですね!

 ミツカンさんとは、もっと面白いことや楽しいことに挑戦して良いと自信がつきました。実際、今年はシュウマイ×ぽん酢サワーのコラボグッズの開発も進めていますので、プロレスではないですが、さらなる共闘、宜しくお願い致します!

「なぜミツカンはシュウマイを応援するのか?」シュウマイ潤が担当者に聞く"挑戦"するミツカンの社風【みんなが知らない、シュウマイの実力】
シュウマイ潤が考案した「シュウマイポーズ」をする村重氏

シュウマイ潤が考案した「シュウマイポーズ」をする村重氏

●Mizkan 
公式X【@mizkan_official】 
公式Instagram【@mizkan_official】 
公式YouTube【@mizkan_official】 
ぽん酢サワーの作り方、その他の詳細は『Mizkan 』公式サイトにて。
※「ミツカン」「味ぽん」「金のつぶ におわなっとう」「ぽん酢サワー」は、株式会社Mizkan Holdingsまたはグループ会社の登録商標・商標であり、無断で使用することはできません。

取材・文/シュウマイ潤 撮影/五十嵐和博 画像提供/ミツカン

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