「高市将軍」はこんなお姿なのか......(写真:時事)
ウクライナ戦争勃発から世界の構図は激変し、真新しい『シン世界地図』が日々、作り変えられている。この連載ではその世界地図を、作家で元外務省主任分析官、同志社大学客員教授の佐藤優氏が、オシント(OSINT Open Source INTelligence:オープンソースインテリジェンス、公開されている情報)を駆使して探索していく!
* * *
――前回の連載では、2月の衆院選で高市政権が「高市幕府」になったとおっしゃっていました。
佐藤 南條範夫氏の小説『元禄太平記』を読むといいです。それよりも手っ取り早いのは、この小説を原作にしたNHKの大河ドラマ『元禄太平記』を見ること。今後の日本を学べます。
具体的に話すと、まず、柳沢吉保はポピュリズムに対して重大な決断をしているんですよ。それが「赤穂事件」です。
――主君の仇(かたき)として、四十七士が吉良邸に雪降る夜に強襲をかけ、吉良を討ち取りました。
佐藤 江戸の町民は「天晴(あっぱれ)」と。さらに武士たちも「これは武士の本懐」と大騒ぎでした。しかし、その四十七士は「こいつらは体制を壊す」として全員死刑となりました。
これを決めたのが柳沢吉保です。彼はポピュリズムに屈せず、断固、力を行使したのです。
このように高市政権は国を優先し、国民が嫌がることをガンガン決めていくでしょうね。
――首相官邸の中だけでガンガンと重要事項が決められていくと。
佐藤 そうです。これからも日本は高市首相と側用人が、密室であらゆることを決めていくわけですね。そうして柳沢吉保は力がついて、どのような扱いを受けると思いますか?
――そりゃ、嫌われるでしょう。将軍に気に入られて、すべて自分の我を通すというか、自分の思ったことをやる。高市幕府には自民党内の派閥の論理と力関係なんて関係ないですからね。
佐藤 はい。だから次の将軍になってからも生き残れるように、柳沢吉保は非常に努力します。そして、第6代将軍・家宣(いえのぶ)にうまく取り入るんですよ。
――うまく泳きましたね。世渡り上手。天晴なサラリーマン人生ではないですか。これで安心。
佐藤 なんですけど......これが柳沢吉保の"落日の輝き"です。
――えっこれ、もしかして......。
佐藤 面白いですよ。これが権力の最後です。今後はこれと同じことが、官邸で繰り返されますよ。
――えっ、何があったんですか?
佐藤 綱吉が死んだんです。
――柳沢吉保の後ろ盾がなくなった!!
佐藤 はい。次の将軍にもちゃんと取り入って、生き残れると思っていたんですよ。
しかし、新将軍となった家宣には新しい2名の側用人たちがいたわけです。
最後、柳沢吉保は家宣に殉死(じゅんし)、つまり綱吉を追って死ぬ=出家すると伝えます。慰留されるように賭けに出たんですね。しかしあっさり「お役御免を願い出てからにしろ」と言われてしまいます。
――お前はクビだと。勝負を賭けて裏目に出た。
佐藤 そして結局、柳沢吉保は「どうも己のこととなると読みが甘くなる」と内省して、「私の日は落ちて、二度と昇ることはない。わしは精一杯生きた。精一杯輝いた。
――柳沢吉保の日は昇り、沈みました。だけど、国民にとって明けない夜が続くのが高市幕府になるのですか?
佐藤 その可能性も十分にあります。それで大河ドラマでは、「五代目将軍綱吉の死と柳沢吉保の失脚をもって、徳川歴代のうち最も栄華絢爛の時代と言われた元禄は終わった」とのナレーションで締めくくられています。
――令和も終わると。やはり最後は核兵器爆発で日本滅亡であります。
佐藤 いやいや、令和ではなく、高度成長期以降の豊かな日本の時代が、です。高市政権とともに終わるのです。
――日本はまだあると。
佐藤 そうです。豊かでなくなった"厳しい日本"が残りますが、その先はわかりません。
次回へ続く。
取材・文/小峯隆生





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