iPhoneやPixelシリーズといった人気スマホの新モデルが続々と登場する中、それらを購入するときに利用することが多い残価設定型クレジットのキャリアの「端末購入プログラム」。実は、これらの仕様が最近かなり変更されているという。

その現状を解説します!

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【新モデルの購入時は要注意です!】

2月にau(KDDI)を除くキャリアの2025年度第3四半期決算が発表され、NTTドコモは営業利益が前年対比で885億円の減収。ソフトバンクは直近3ヵ月で約10万回線の純減という事態に!

なぜ、こんなことになっているのか。そして今回改定された「端末購入プログラム」でスマホの買い方はどう変化するのか。ITジャーナリストの法林岳之さんに解説してもらいます。

――今回のNTTドコモとソフトバンクの減収・純減の要因とは?

法林 まず、純粋な減収ではありません。NTTドコモの場合は将来的な支出に備えた引当金が積み上がった結果。ソフトバンクは10万回線純減でもグループ全体としては増益です。

ただ、こういった減収・純減の大きな要因のひとつとして各キャリアが挙げているのが、〝ホッピング行為〟こと、短期解約を繰り返すユーザーの存在です。

――ホッピングとは具体的にどういった行為なのですか?

法林 キャリア系のショップなどが独自に〝実質月1円〟として残価設定型24回払いなどの端末購入プログラムで販売した端末を購入後転売して即解約。また、各種MNPキャンペーンでの還元ポイントを獲得して即解約という行為を指します。

これらは、従来のキャリアの端末購入プログラムでは効果的な防止策が取れず、NTTドコモとauは端末購入プログラムに「特典(プログラム)利用料」を新たに導入することになりました。NTTドコモでは3月5日から、auではすでに開始されています。

――つまり、今後は端末購入プログラムを利用する場合、ユーザーが新たに支払うお金が発生すると?

法林 NTTドコモ、au、ソフトバンクの3キャリア共に最大で2万2000円の特典利用料が発生します。この利用料は各キャリアで指定された端末返却時までに条件を満たすことで免除されます。

しかし、ホッピングを行なったと認定されるような短期解約は、その時点で最大で2万2000円をユーザーが支払うことになります。

これにより、キャリアで〝実質月1円iPhone〟を購入して即解約、キャンペーンのポイント還元を回収後に即解約などを行なうことを防止できると考えられているのです。

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NTTドコモ 3月5日からNTTドコモは「いつでもカエドキプログラム(プラス含む)」にプログラム利用料として最大2万2000円を追加。指定された期間内で端末を利用、対象機種を購入した場合はプログラム利用料が全額割引となる

各社の緊急テコ入れで、新型iPhoneなどスマホの買い方に変化が! 超速解説!! キャリアの「端末購入プログラム」も~むり問題
au auは2月26日から同社の端末購入プログラムによる端末購入で、最大2万2000円の特典利用料を設けている。ただし、auが指定する端末を機種変更で購入した場合には、「au買替特典」が適用され2万2000円割引となる

au auは2月26日から同社の端末購入プログラムによる端末購入で、最大2万2000円の特典利用料を設けている。ただし、auが指定する端末を機種変更で購入した場合には、「au買替特典」が適用され2万2000円割引となる

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ソフトバンク ソフトバンクは昨年の8月から「新トクするサポート+」を導入。こちらはほかのキャリアに先駆けて、2万2000円の特典利用料を導入。今回のNTTドコモとauの改定はソフトバンクに合わせた形になっている

ソフトバンク ソフトバンクは昨年の8月から「新トクするサポート+」を導入。こちらはほかのキャリアに先駆けて、2万2000円の特典利用料を導入。今回のNTTドコモとauの改定はソフトバンクに合わせた形になっている

――でも、これは過去に大問題となった〝キャリアの縛り行為〟に該当するのでは?

法林 実はソフトバンクは昨年8月から特典利用料を導入していますが、総務省から「縛り行為である」と指導されることがなかったので、今回NTTドコモとauも採用することになりました。ある意味、ソフトバンクが踏み台にされた格好ですね(笑)。

ただ、現状ではOKでも、将来的には見直される可能性もあるでしょう。

――いろいろと問題が出てきている端末購入プログラムですが、今回のNTTドコモの減収には、どう端末購入プログラムが影響したのでしょうか?

法林 端末購入プログラムはキャリアがユーザーから端末を回収し、それを自社の中古端末として販売、さらに業者へ下取りにも出して利益を得ます。

買い取り想定価格(残価)を割り引いてローンを設定する自動車販売の〝残クレ〟こと、残価設定型クレジットに近い販売システムです。

ですから、ユーザーが想定より早く端末を返却し、一度に多くの同一端末が中古市場に流入してしまった場合は、当初想定していた利益を下回ってしまいます。このためNTTドコモは減益となりました。

また、買い取り想定価格はキャリア独自に設定できるものではなく、総務省の指示でリユース業者の業界団体であるリユースモバイル・ジャパンの算出した想定買い取り価格をベースに決められています。

もし、キャリアが独自裁量で残価を設定できれば、それが端末の〝実質割引額〟として反映できるようになります。なので、今後は「買い取り想定価格をキャリアが独自で決定できないのか?」という総務省とキャリア間の議論も始まるでしょう。

――ここまでの話を聞くと、端末購入プログラムを利用したMNPのキャンペーンによるキャリア同士のユーザー獲得合戦は終了という雰囲気ですか?

法林 新規参入かつ現状で特典利用料を採用していない楽天モバイルを除いては終了と言えます。

ですが現在、キャリアは新規ユーザーの通信料収入より、「既存ユーザーに自社の投資・ローン・銀行といった金融サービス、そしてエンタメ系のサブスクをいかに利用してもらうか?」というビジネスに方向転換しています。

また、NTTドコモは法人向けの通信やクラウド事業、KDDIならGoogleが運営するAI用のデータセンター事業。ソフトバンクはAIデータセンターを運営しつつ、子会社のSAIMEMORYとインテルの協業での次世代メモリーの開発といったコンシューマー向け以外の大規模事業を拡大中です。そして、楽天に関しては、そもそも本業は通信事業ではありません。

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楽天モバイル MNP、新規加入、家族での加入でもオトク度が高すぎるポイント還元キャンペーンが大充実の楽天モバイル。そのキャンペーンの弊害として短期解約するユーザーも多いが、現状では特典利用料はなしとなっている

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そのキャンペーンの弊害として短期解約するユーザーも多いが、現状では特典利用料はなしとなっている

――では、ユーザーは今後、どのような部分を注意して端末購入プログラムを利用すべきですか?

法林 ひとつのキャリアで機種変更をして、通信契約も継続するユーザーにとっては現状でも割引などのサービスがあり、これまでと変わりません。

一方、毎年MNPを行ない常に実質月1円iPhoneを購入していたユーザーは、特典利用料が発生するのでオトク感はなくなるでしょう。キャンペーンでのポイント還元があっても、それが特典利用料で相殺されてしまいますから。

――これから春の新モデルラッシュのスマホ業界。端末購入プログラムの仕様変更に要注意です!

取材・文/直井裕太

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