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大阪、京都の有名観光地は例年の春節より閑散としている印象。外国人観光客は欧米人が多かった

中国との緊張関係により、中国人観光客が激減。

例年、春節時には、にぎわう観光地は今年どうだった? 観光に携わる方の生の声を聞いて回りました!

【大阪・道頓堀はもはやノー中国人】

昨年11月の高市発言で中国からの観光客は激減。例年、中国の旧正月である春節には中国人観光客でごった返す大阪・ミナミと京都だが、今年はどうだったのだろうか!? 現地のリアルな声を聞いてみた!

まずは大阪・ミナミのタクシー運転手の話。明らかに中国人観光客は減ったと語る。

「体感でいうと中国人観光客は以前の半分以下。3割から4割ぐらいになってるんちゃいます? 外国人観光客全体でも以前よりも2、3割減っている印象ですわ。春節中の今日でも道頓堀辺りを歩いている人が少ないでしょ」

ちなみに、中国人が減ったというが、中国人観光客は見分けがつくのか?と尋ねると。

「わかりますよ。たいていでっかいキャリーケース持って歩いてますし。爆買いしたものを入れるんですわ。普通は観光するのにそんなでっかいの邪魔なはずなんやけど、彼らは爆買いしたものを入れんとあかんから、そんなやつをひとりでふたつも引いて歩いてる人もいますよ」

さらにこんな愚痴も。

「たいてい4人くらいの集団で行動することが多いんです。そのせいかタクシーに乗ったとき、必ずと言っていいほどひとりが助手席に乗るんです。

それで後ろの席の人らとずっと話しするんやけど、めちゃくちゃうるさい。あまりにも声がでかいもんやさかい、ナビの案内がかき消されて聞こえへんぐらいですわ。

でもねえ。日本人で関空(関西国際空港)までタクシーで行ってくれという人はまずおらへん。2万5000円で関空まで行ってくれというのは中国人だけでしたから。それがいなくなった。これは痛いですわ」

道頓堀はもはやノー中国人! 大阪・京都「観光業の悲哀と光明」

続いてはミナミの歓楽街、宗右衛門(そうえもん)町にある風俗案内所のスタッフに話を聞くと、こんな話をしてくれた。

「世界中の人から案内を頼まれるんですが、中国人以外は女のコと楽しく飲める店を教えてほしいと言ってくるんです。でも、中国人は女のコと今すぐセックスできる店を案内してほしいとやってくることが多いんですよ。

そんな店はない、と追い返すんですが、なかなかしつこい。それでいつもそんな無理なことを言う人に向けて『ノーセックス、ノーセックス』と叫んでいました。

でも今思い返すと、だんだん『ノーセックス』って言う機会が減ってきて、今年になってからは一回も言っていないんちゃうかな。

とにかく『ノーセックス』言う必要がなくなってます(笑)」

西成区で大規模な中国人向け民泊を経営する盛龍の林伝竜社長も窮状を訴える。

「うちの場合、中国のお客さんが去年の11月で前年比8割くらい減ってたのが、今はもっと減って9割減。当初は今年の春節ぐらいには元に戻るのではと思ってましたが、この分だと長引くかもしれないですね。

私は政治的なことはよくわかりませんが、中国と日本はお隣の国。商売のことを考えると、仲良くしないとお互いに損です。仲良くしてほしいです」

【欧米人向けの新たなシフトも】

こうした中国人観光客減をただ嘆くだけでなく、対策をしてきたお店もある。道頓堀にある薬局「アカカベ 道頓堀中央店」では、高市発言以降の客層の変化に合わせて、品ぞろえや陳列方法を変えて春節に臨んだという。店員が語る。

「これまでは中国人が好む風邪薬や化粧品といった商品を店頭に並べていましたが、この春節に店頭に並べたのは、日本を象徴する富士山や桜、浮世絵などをモチーフにしたジャパン色の強いデザインのキーホルダーやステッカー。そして、キティちゃんなどのキャラクター商品です。

少し店を入った所には富士山や舞妓をデザインしたTシャツを飾りました。さらに今、欧米で人気の抹茶や本格的な茶道の道具なども販売しています」

道頓堀はもはやノー中国人! 大阪・京都「観光業の悲哀と光明」
道頓堀の「アカカベ薬局」では欧米人の観光客向けに店頭でジャパンデザインの小物を陳列

道頓堀の「アカカベ薬局」では欧米人の観光客向けに店頭でジャパンデザインの小物を陳列

道頓堀はもはやノー中国人! 大阪・京都「観光業の悲哀と光明」

こんなにベタなグッズが本当に売れるのかと店頭でしばし観察していると......。

欧米からの観光客を乗せたバスが道頓堀に到着したのか、ちらほら欧米人が歩いてきて店の前に。どんどん観光客は増え、店頭のジャパンデザインの小物に興味を示しては薬局の中に入っていく。

みんな浮世絵や富士山のTシャツを指さしており、なかなか気に入っているようだ。思った以上に欧米と中国の観光客の目当ての商品は違っていることがわかった。

【辛抱する京都の観光業者】

所変わって、お次は京都。

嵐山の人力車スタッフにこの春節について聞いた。

「中国からのお客さんはもうほぼゼロに近いです。中国人観光客をこの春節で乗せたことはないですね。その分、町は静かになったんですが、われわれの収入も減っています。もともと冬場は閑散期。

そこを春節の中国人観光客がなんとかカバーしてくれていたんですが、今年は消えてしまったので閑散期+頼みの中国人観光客が来ないというWパンチを浴びた状態です。正月明けから2月の半ば、つい最近まではかつてないほど売り上げ的には厳しい冬でした。

もうしょうがないなという感じで話しています。

ただ、2月後半になると大学生が冬休みに入るんです。その時期、着物を着た若い人は日本の大学生が多いです。中国人が減ったことでホテルも安くなってますし、それで戻ってくる日本人観光客に期待してます(笑)」

道頓堀はもはやノー中国人! 大阪・京都「観光業の悲哀と光明」
京都・嵐山の人力車スタッフは今年の春節で中国人を一度も乗せていないと語った

京都・嵐山の人力車スタッフは今年の春節で中国人を一度も乗せていないと語った

続いて、京の台所から外国人観光客向けの食べ歩きストリートに変わった錦市場の春節の様子をのぞいてみた。

神戸牛やウナギなどの高級食材を使った串を売る店の女性店主に話を聞いた。

「去年の春節と比べたら錦の多くの店が3、4割は売り上げを落としてると思います。去年11月の緊張関係があってから、もう今年の春節はないと覚悟してました。私らがやれること言ったら、ほかの国から来てくれる人に一生懸命売るだけやから。そやから今は辛抱、辛抱。それだけやね」

道頓堀はもはやノー中国人! 大阪・京都「観光業の悲哀と光明」
京都・錦市場

京都・錦市場

何か品ぞろえを変えたとか、工夫したことはないか?と尋ねてみると。

「今店に並べてるこれが、外国人観光客が一番好きで買ってくれるものばかりやから、もう変えようあらへんよね。品ぞろえは変えられへんけど、人件費は減らしてます。

中で働いてくれてる人を5人やったのを3人に減らしたり。

もっと暖かくなって桜が咲く頃になったら、日本人の観光客もたくさん来てくれるようになりますから。それまでは辛抱、辛抱ですわ」

と、女性店主は「辛抱、辛抱」を何度も繰り返していた。

道頓堀はもはやノー中国人! 大阪・京都「観光業の悲哀と光明」
京都・錦市場で高級串を販売する女性店主は「辛抱」と言い続けていた

京都・錦市場で高級串を販売する女性店主は「辛抱」と言い続けていた

こうした前向きマインドは浸透してきているようで、清水寺近くにあるレンタル着物店「和華」の代表、河野敏郎さんはこう語ってくれた。

「中国からの観光客は去年の春節の頃と比べると、もう1割も来てない感じですね。まず団体のお客さんは完全にゼロになりました。うちの着物は安いのは5000円から、高いのは5万円まであるんです。中国の人はみんな一番高い5万円のものを注文してくれてました。その影響で売り上げも100万円単位で減っているのが現状です。

ただ。確かにかつてない厳しい状況ではあるんですが、今回のことを前向きにとらえていこうと思っているんです。今までひとつの国に頼り切っていたから、ちょっとしたことでガラッと状況が変わってしまった。

何もしなくてもガイドさんが中国からのお客さんを連れてきてくれることもあって、あまりにも中国だけに重点を置きすぎていたという反省があります。

これからは中国だけではなく、あらゆる国に向けてPRしていこうということで、SNSを使って全世界に発信していく手立てをつくろうとしているところです。ひとつの国に特化しないよう、いろんな国の人を対象に考えています」

道頓堀はもはやノー中国人! 大阪・京都「観光業の悲哀と光明」
京都・清水寺の近くにあるレンタル着物店の和華は売り上げ激減。それでも前向きなPR施策を進めている

京都・清水寺の近くにあるレンタル着物店の和華は売り上げ激減。それでも前向きなPR施策を進めている

道頓堀はもはやノー中国人! 大阪・京都「観光業の悲哀と光明」

冬場は厳しく冷え切っていた大阪・京都の観光業。桜咲く頃には好転しているよう願うばかりだ。

取材・撮影/ボールルーム

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