超ド級の6.2リットル・V8を搭載した"ゴリゴリのアメ車"を...の画像はこちら >>

アメリカが生んだ本気のミッドシップ、コルベットクーペ3LTは、どこを走っても、周囲の視線をかっさらっていた

トランプ発言で再び火がついた「アメ車」論争。だが本当に語るべきは、販売台数でも関税でもない。

アメリカが70年以上守り抜いてきた、"魂"とは何か――。その答えのひとつが、ミッドシップへと生まれ変わった8代目コルベットだ。週プレ自動車班が日本の路上へ引きずり出し、その真価を徹底検証した。

* * *

【8代目のアメリカンスーパーカーの実力は!?】

トランプ大統領が、「日本はもっとアメ車を買うべきだ!」と吠える昨今。ならば確かめようじゃないか――アメリカンスーパーカーの本気ってやつを。

というわけで、週プレ自動車班が公道へ引っ張り出したのは、〝男のロマン〟を限界突破まで詰め込んだシボレー・コルベットクーペ3LTである。

心臓部となるエンジンは6.2リットルV8のOHV(オーバーヘッドバルブ)。今や少数派となった、伝統のド硬派ユニットである。

ダウンサイジング? ハイブリッド? EV? そんな潮流はどこ吹く風。巨大排気量が生む分厚いトルクでかっ飛ばす。その反時代性こそが、このクルマの持ち味だ。

超ド級の6.2リットル・V8を搭載した"ゴリゴリのアメ車"を公道で試す! 「シボレー・コルベットクーペ3LT」は男をたぎらせるのか!?
シボレー コルベットクーペ3LT 価格:1695万円~ ボディサイズは全長4630mm×全幅1940mm×全高1225mm。ちなみに車重は1670kg

シボレー コルベットクーペ3LT 価格:1695万円~ ボディサイズは全長4630mm×全幅1940mm×全高1225mm。
ちなみに車重は1670kg

超ド級の6.2リットル・V8を搭載した"ゴリゴリのアメ車"を公道で試す! 「シボレー・コルベットクーペ3LT」は男をたぎらせるのか!?
エンジンをキャビン背後に積むミッドシップレイアウトを採用し、独特のオーラを放つ

エンジンをキャビン背後に積むミッドシップレイアウトを採用し、独特のオーラを放つ

超ド級の6.2リットル・V8を搭載した"ゴリゴリのアメ車"を公道で試す! 「シボレー・コルベットクーペ3LT」は男をたぎらせるのか!?
6.2リットルV型8気筒OHVエンジン。変速は8速デュアルクラッチトランスミッション

6.2リットルV型8気筒OHVエンジン。変速は8速デュアルクラッチトランスミッション

とある自動車専門誌の元幹部はこう言う。

「初代の登場は1953年で、現行は8代目です。世界でも屈指の長い歴史を持つスポーツカー。まさにアメリカ自慢の〝魂のマシン〟です」

その歴史の中で最大の転換点が、現行型のミッドシップ化。エンジンを後方へ移し、重量配分と運動性能を根底から見直した。それにより低く鋭いボディラインが誕生した。巨大なフロントインテーク、深くえぐられたサイドエアダクト。

この8代目は、従来のフロントエンジン像を完全に脱ぎ捨てた。価格は別にして、フェラーリやランボルギーニの土俵に真正面から立つ造形でもある。

だが、実用性も忘れていない。試乗車には、時速40キロ以下でフロントを約50mm持ち上げる「フロントリフトハイトアジャスター」を装備している。

おかげで段差や立体駐車場も難なくこなす。

見た目はド派手だが、気配り装備もしっかり用意されているのもポイントだ。

【乗り込みは〝訓練〟。だが報酬はデカい】

低い車高ゆえ、コックピットへの進入は小さな〝訓練〟になる。週プレ自動車班の腰は悲鳴を上げ、足はつりかけた。

だが、スタートボタンを押した瞬間、すべては帳消しになった。

ドウォーン!

V8の咆哮が空気を震わせ、全身をしびれさせる。これが標準仕様だというから驚く。正直、早朝や深夜の住宅街では相応の覚悟が必要なサウンドなので、近隣への配慮は欠かせないだろう。

超ド級の6.2リットル・V8を搭載した"ゴリゴリのアメ車"を公道で試す! 「シボレー・コルベットクーペ3LT」は男をたぎらせるのか!?
アメ車でありながら右ハンドル仕様。ペダル配置も最適化。コックピットは男心を刺激

アメ車でありながら右ハンドル仕様。ペダル配置も最適化。コックピットは男心を刺激

最高出力は502馬力、最大トルク637Nm。

アクセルを踏み込めば怒濤の加速を披露する。だが、不思議と怖さはない。回転を重ねるほど、パワーは滑らかにつながり、暴力性は制御され、街中でも高速でもジャジャ馬感はない。成熟したスーパーカーである。

ズバリ、価格は1695万円~。完全なセレブプライスだ。トランプ大統領は「日本はアメ車を買え」と簡単に言う。だが現実は即断できる額ではない。

前出の専門誌元幹部も苦笑いしながらこう分析する。

「価格と始動音を考えれば、コアなファン向けの一台でしょう。JAIA(日本自動車輸入組合)の資料によれば、2024年のアメ車の日本市場における年間販売台数は約1万6700台で、シェアは新車販売全体の約0.4%です。台数を伸ばす現実解は、米国生産の日本車、いわゆる逆輸入車でしょうね。

すでにトヨタが進めており、ホンダと日産も検討をしているとみられます」

当面、日本市場で売れるのは、〝純アメ車〟ではなく、米国生産の日本車という見方が専門筋の間で広がっている。

それでもだ。このコルベットに宿る鼓動は、疑いなく本物だ。合理性も燃費も政治も超えて、エンジンの始動でドライバーの血を熱くする。理屈ではない。アクセルを踏み込んだ瞬間、背中を蹴飛ばすような加速とともに、V8の鼓動が、男心を震わせる。

これこそが、8代目の真骨頂であり、アメリカがつくり続けてきた誇りである。

取材・文/週プレ自動車班 撮影/山本佳吾

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