サナエトークン発行元の公式サイトの画像。高市早苗首相のイラストを掲載していた
著名人の名前を拝借するなどユーザーの関心を引きながら、実態が不明瞭な暗号資産は俗に「ミームコイン」と称される。
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【首相からの完全否定】総選挙で空前の勝利を収めた高市早苗首相の人気に便乗し、高市氏の名前を冠して発行された仮想通貨(暗号資産)「SANAE TOKEN(以下、サナエトークン)」が、政界や市場を混乱させている。
「すげぇトークン出すらしいじゃん」
2月25日、実業家のホリエモンこと堀江貴文氏が、YouTubeチャンネル『No Border』で切り出したセリフが騒動の始まりだった。これを受けて、同番組のプロデューサーで連続起業家の溝口勇児氏が、同日にサナエトークンを発行した経緯を次のように説明し、世間の関心を集めた。
「民意を最新技術で集約し、政策決定者に届ける取り組みを進めてきたんですけど、参加者を広げるためにインセンティブとしてトークンを活用します。民主的に選ばれたリーダーを象徴する言葉としてサナエを冠する流れになって」
その上で、高市氏サイドとコミュニケーションを取っているとまで見えを切った。
今回の騒動で問題視されているYouTubeチャンネル(画像は公式Xアカウントから)
溝口氏はその後も、X上でPRに励む。サナエトークンのホームページでは、高市氏の氏名やイラストを掲げた。こうして、サナエトークンは初値よりも一時、30倍にまで急騰した。
しかし3月2日、高市氏が自らのXでサナエトークンについて「まったく存じ上げません」と関与を完全否定。これに伴い、暴落の一途をたどることに。時の首相の名前を使った便乗商法めいた騒動は波紋を広げ、4日の衆議院財務金融委員会で野党議員が追及する場面へと発展、金融庁は調査に乗り出す構えだ。
ネット上の批判も高まり、運営サイドは5日にプロジェクトの中止を明言した。IT誌記者が振り返る。
「運営側は、高市氏の公認後援会を名乗るXのアカウントと接触していたようです。とはいえ、この団体は高市氏の支援団体に過ぎず、さらに暗号資産という投機目的の話だとは知らなかったといいます。サナエトークンの運営が高市氏となんら調整せずに始めた事業で、話題性重視の『ミームコイン』も同然です」
【400倍の夢を乗せるミームコイン】著名人の名前を使ったミームコインで過去に話題を呼んだのが、トランプ米大統領の名を冠した「$TRUMP(通称・トランプコイン)」。昨年1月の第2次政権発足に合わせて取引が開始されると、瞬く間に価値が爆上がり。一時は初値の400倍以上に達し、大統領本人も公認している。
長短の両面をのぞかせるミームコインについて、暗号資産関連の著作を上梓している投資ライターの高城 泰氏が解説する。
「ミームコインは2013年の『DOGEコイン』が発祥。『ミーム』とは『ネタ』を意味するネットスラングで、ミームコインは特定のSNSやコミュニティで盛り上がるジョーク的な位置づけで注目されるようになりました。そして、17年の仮想通貨バブルなど時々の時流に乗って市場を盛り上げてきました」
高城氏は、トークンとの違いを意義の欠如だと見なす。
「普通のトークンは、金融システムの分散やゲーム内通貨といったなんらかの目的を持って発行されますが、ミームコインは目的がない、基本的にはただの悪ふざけのもの。
サナエトークンも、高市氏サイドから発行の許可を取っていなかったようですので、最初から運営サイドの身内で盛り上がるだけのミームコインだったと言えます」
高城氏は、ミームコインのチャートの動きの特徴として、17年に発行された「SPINDLE(通称・GACKTコイン)」を示し、発行直後の暴騰とその後の急降下を挙げる。
「SPINDLEは200億円以上を調達しましたが、間もなくプロジェクトは破綻しました。こうしたミームコインは、インフルエンサーを活用して著名人の関与をにおわせ、買いあおりを起こして一時は高騰します。
しかし値上がりすれば、運営サイドの売り浴びせ(売り手が大量の売りを出して、相場を意図的に下落させること)が始まり、価格は下がる。具体的な用途がなく目的も絵空事なため、価格は低迷して後発組は儲からない仕組みです」
同じ轍を踏む可能性が高いのに、形を変えて登場するミームコインに翻弄されるユーザーの心理について、高城氏は次のように分析する。
「トランプコインのように『一撃1億!』のような夢を見られるのがミームコインです。DOGEコインも21年に約100倍まで上昇しました。
また、運営サイドらのあおりに乗せられ『情報を得たのに、今買わないと乗り遅れるのでは......』という心理が働く。ほかにも、1枚1000万円を超えるビットコインとは異なり、1ドル前後から買える手軽さがウケています」
今後の焦点は、サナエトークンの運営者らに捜査のメスが入るかどうか。高城氏は立件の障壁を挙げる。
「今回取引が行なわれたのは、分散型取引所と呼ばれる無国籍の暗号資産の市場で、日本の取引所ではない。発行主体も海外法人にしておけば日本の捜査は及びにくいと言えます。
サナエトークンに関して国会で質疑され、違法性があれば対応するとした片山さつき財務大臣
当事者の溝口氏は「関係各所とも裏で慎重に調整を進めている」と自信をのぞかせているが、金融犯罪に詳しい弁護士はこう指摘する。
「金融事件における当局のスタンスは『出るくいは打つ』。例えば、企業の会計で私的用途の伝票を経費として計上するケースはよくありますが、これらをすべて脱税として立件するかといえばそれはしない。罰するほどの事件かという『可罰的違法性』が問われ、時として恣意的な捜査が行なわれがちなのが実態。
サナエトークンでは高市氏のイラストを用いているわけですから、不正競争防止法に抵触する恐れがある。こうした容疑を実際に事件にするかは、当局の感情に委ねられます。運営サイドが開き直ったような態度を取れば、立件に動く可能性は考えられます」
時の首相をモチーフにしたミームコインを巡る混乱はしばらく続きそうだ。
取材・文/武田和泉 写真/共同通信社 時事通信社
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