米国とイスラエルによる攻撃を受け、イラン革命防衛隊は「ホルムズ海峡を封鎖した」と宣言。機雷が設置されたわけではないが、通航船舶への攻撃は実際に行なわれている
あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。
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2026年2月28日に始まった米国とイスラエルによる対イラン軍事作戦は世界に衝撃をもたらした。
ホルムズ海峡の通過船舶が実質上ゼロになり、原油価格やLNG価格が急騰した。コンテナ船のサーチャージ、保険も高騰。企業の株価は暴落。代替投資先として金や銀が買われ続けた。
私は企業人と話すのが日課だが、影響の把握に奔走している。誰もが関係する原油高と株安・円安以外にも、とくにEUから中東経由で商品を仕入れているケースは悲惨で、納期遅延への対応を迫られている。
戦争被害があるなか興味深いといえば不謹慎だが、想像外の事態もある。
まず、UAEとバーレーンにあるAWS(Amazon Web Services)のデータセンターが、イランのドローンで攻撃された。
LNG由来製品である尿素など肥料関連も予想外だった。
カタールが攻撃を受け、世界の14%を占める尿素の出荷が停止された。各国とも食料の備蓄はあるが、それを育てる肥料の備蓄はない。世界はグローバルサプライチェーンでつながり、どこかを攻撃したら世界のどこかが影響を受ける。現代の象徴といえる。
また、イランの反撃の標的として効果が高かったのが、原油施設等よりも海水淡水化プラントだった点は新たな発見だ。
湾岸諸国は完全に海水淡水化に依存している。プラントが停止すれば生活用水のほぼすべてが喪失する。これは石油ショックと質的に異なる「人道危機を伴うサプライチェーン断絶」であり、想定していなかったリスクシナリオだ。
もうひとつ、私がまったく予想していなかった展開がある。
企業人たちが生成AI「Claude(クロード)」の採用を口にしはじめているのだ。以下、半分は陰謀論として読んでほしい。
イラン攻撃の直前、Claudeを手がける米アンソロピック社のダリオ・アモデイCEOが、完全自律兵器や大規模監視システムへのAI使用を認めないとの公開声明を出した。ベネズエラのマドゥロ大統領を拘束する軍事作戦でClaudeが使用され反発する同社に、米国防長官はAI使用を認めなければ契約解除だと最後通牒(つうちょう)を突きつけていた。
公開声明で、あれほど強い口調で米軍にノーと言ったことに私は驚いた。
アモデイCEOがイラン攻撃を知っていた、と書いたら完全な陰謀論だろうが、すくなくとも強く表明する必要があったのだろうと感じた。同社の主な稼ぎは企業向けのAI提供だ。取引先の大企業は、同社が軍事、それも直接的な殺傷に関わっていたら採用を躊躇(ちゅうちょ)するだろう。
大見得を切った米国防総省はイラン軍事作戦時にもやはりClaudeを使ったとされ、その後、同社を「サプライチェーン上のリスク」に指定した。いっぽう同社は米国防総省を提訴する方針を示している。これで同社は倫理的にも、性能的にも優秀だと周知されたことになる。
戦争の場で、ミサイルやレーダーだけでなく、人物追跡システム、防衛網を無効化するアプリ、ドローンなど米軍兵器の卓越性も世界中に喧伝(けんでん)された。
写真/時事通信社
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