「指示役」とみられる、指定暴力団・山口組弘道会系の組幹部、狩野仁琉容疑者(21)
今年1月、東京・上野の路上で、両替目的で香港に持ち運ばれる予定だった現金約4億2300万円が奪われた事件で、警視庁は暴力団組員の男ら7人を事後強盗容疑で逮捕した。同事件の直後には、羽田空港でも約1億9000万円の現金を持った両替商の男性4人組が襲撃され、そのまま渡航した香港で約5100万円を強奪されるという事件も起きており、両事件の関連や現金の出所など、さまざまな憶測が飛び交っていた。
そんななか、1ヶ月半越しの容疑者逮捕で注目を集めたのが、彼らの「所属」だった。昨今、警察当局を悩ませる、複数の暴力団組織にまたがる「混成グループ」だったからだ。
「7人のうち、現役の暴力団組員は3人だったが、山口組、住吉会、極東会と所属する組織はそれぞれ違う。そのため警視庁は彼らの逮捕までに、10か所以上にガサを打つなど、かなり骨を折ったようです。さらにもうひとつ別の組織が関与していたという情報もあります」(捜査関係者)
山口組と住吉会はともに暴力団業界の巨頭として、長らく親戚関係を持たず、過去には一触即発の危機もあったと言われている。また、極東会と山口組も死者を出す抗争事件を過去に起こした因縁がある。
そんな敵対組織同士の組員が手を組んでの犯行など、一昔前なら想像すらできなかっただろう。しかしその背景を深掘りすると、義理人情の崩壊と法規制が生んだ歪(いびつ)な生存戦略が見えてくる。
【対立抗争中の相手組員ともタッグ】血縁よりも優先される濃い関係を前提にしたのが、これまでのヤクザ組織だった。親と子、兄と弟と疑似的な血縁関係を結びながら、何よりも所属組織への忠誠が第一だった。だが、この建前はとうの昔に崩壊したようだ。関東のある組織に属する50代組員のA氏はこう語る。
「ヤクザ組織はピラミッド型で、情報にせよ金にせよ下から吸い上げるのが基本的な構図でした。私らが若い頃は中学卒業と同時に部屋住みをさせられ、行儀を叩きこまれたものです。
でも今の状況見てください。30代のヤクザなんてほとんどいないし、20代なんてレア中のレア。最大勢力である山口組の弘道会にしたって、新聞じゃ1000人2000人いるように書かれてるけど、400人がいいところ。うちには30代以下なんて100人もいないんです。もはやヤクザという人種は、絶滅危惧種なんです」(A氏)
こうした状況が続いた結果、組織の求心力は徐々に失われていった。代わりに台頭したのが、「世代間」と言う結びつきだ。
「上野の事件に関わった3組織の組員は20代~40代で、ヤクザの世界では若手であり主力。彼らの世代は〝上〟より〝横〟を見ていますね。
デカいシノギ作ったとて、上に納めたら当たり前のような顔して搾取されるだけ。そうじゃなく、他の組織の気が合う人間や、独自のリソースを持っている人間との結びつきを強くして、自分たちの力を蓄えたほうが得だと考えている。
私が知ってる実例で言えば、あるトラブルを解決するのに荒事(暴力沙汰)が必要になった際、山口組の人間だけじゃなく抗争中だった絆会から人が駆り出されたなんてケースもあった。もちろん、人手不足だからやむをえずって側面は大前提としてあるけれど、昔の常識では考えられなかったようなこと。これが今の現場感ですよ」(A氏)
もはや「敵か味方か」を言っていられる状況ではない。裏社会の人材不足は、皮肉にも組織間の「融和」を強制的に進めてしまったのだ。
【使用者責任をかわす意図も?】犯罪チームの混成化が進んだ要因には、特殊詐欺の台頭も密接に関係していると説くも者もいる。関西を拠点にする暴力団員のB氏が明かす。
「特殊詐欺は発案者、かけ子、受け子とそれぞれが遮断された事業体で、すべてを把握しているのはトップだけでした。中にはバイク便の会社をわざわざ作って資金運搬させていた組織もあったほどです。
この分業化で組織間のシャッフルが進んだ面は大いにあると思う。『名簿をそろえるならここ』『集金はあっちの組』『リクルートならあそこ』と〝得意ジャンル〟が定まっていき、1つのプロジェクトを分業して担うようになったからです。詐欺の舞台がカンボジアやベトナムなど東南アジア拠点となった今、海外ですら組織横断的な特殊詐欺の混成チームが作られていると聞きます」(B氏)
タテ社会からヨコ社会へと変容し始めた組織犯罪。暴力のない明るい世の中は実現するのか‥‥
上からの搾取を逃れるようにして横に広がった犯罪形態は、皮肉にも組織そのものを守る効果もあると言う。
「上が今恐れているのは、使用者責任を問われること。要は配下の組員が特殊詐欺などを行った場合、賠償の責任が本家組長にまでさかのぼって行われるのです。これは山口組でも住吉会でも判決が出ており、暴力団を締め付ける警察のカードになっています。
その点、混成チームになるとどの組織の誰がリードしているかハッキリわからず、公判での立証はより難しくなる。少なくとも使用者責任という観点からは追及の手が上には及びづらくなります。
今、山口組や住吉会に限らずどの暴力団も特殊詐欺をご法度としていますが、これは何も建前の話だけではない。トップへの影響を考慮しての措置でもあるのです。裏を返せば、『ヤバいことやるときは他の代紋も混ぜる』となる。こうして犯罪シンジケートの複雑化が今、進んでいるのではないでしょうか」(A氏)
リスクを分散し、使用者責任を回避する混成チームの台頭。それは裏社会が「組織の時代」から、正体不明の「ネットワークの時代」へ移行した証左だ。変異する暴力の行方に、もはや既存の対策は通用しない。
文/吉井透 写真/時事通信社、ぱくたそ
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