現地で体感! WORLD BASEBALL CLASSIC(...の画像はこちら >>

WORLD BASEBALL CLASSIC(TM)の裏側について語った山本キャスター

熱戦の数々が繰り広げられた第6回WORLD BASEBALL CLASSIC(TM)は、ベネズエラによる悲願の初優勝で幕を閉じました。個の力に加え、緻密な戦略。

若い選手が躍動し、経験豊富なペレス選手が間をコントロールする。どこを取っても隙がなく、そのチーム力の高さと情熱は圧倒的でした。

今大会では、Netflixの「BEHIND THE DRAMA」という番組で、全47試合の中で生まれるドラマの"裏側"にある熱量をお届けしてきました。選手へのインタビューや各国の取材、選手同士の関係性、あらゆる場所にスポットを当てながら、試合をより楽しんでいただくため、開幕から2週間、配信してきました。

マイアミは、地理的な近さと歴史的背景から、中南米の空気が色濃く漂う街です。ベネズエラやドミニカ共和国の試合には多くのファンが訪れ、ラテンらしい情熱的な応援で、球場は経験したことのない熱気に包まれていました。コンコースでは興奮したファンが渦を巻いて大騒ぎ。客席でも、常に後ろからビールやポップコーンが降り注いできます。

現地で体感! WORLD BASEBALL CLASSIC(TM)の魅力と熱量【山本萩子の6−4−3を待ちわびて】第210回
選手たちの涙に心打たれました。おめでとうございます!

選手たちの涙に心打たれました。おめでとうございます!

決勝戦はもちろんですが、準決勝のドミニカ共和国とアメリカの一戦は、これまで観た中でのベストゲームでした。打球、投球、走塁、守備......すべての要素に圧倒的なスピードとパワーがあり、「これが世界の野球か」と圧倒され続けながら、その場で起こる全部を心から楽しんでいました。

後ろの席にいたドミニカ共和国ファンの方に「どちらを応援しているの?」と問われて、思わず「野球そのもの」と答えたのですが、あの試合では、前回大会にマーク・デローサ監督が評した「野球界の勝利」の意味を体感できていたのだと思います。

その日は、3万5000人を超えるファンが球場を埋め尽くしていました。1回表のアメリカの攻撃、1番ボビー・ウィットJr.選手、2番ブライス・ハーパー選手という大スターの連続三振で、球場全体が地鳴りのような大歓声に包まれました。今まで経験したことがない歓声に、ほとんどがドミニカ共和国のファンかと思ったのも束の間。直後のアーロン・ジャッジ選手のヒットで球場が大きく揺れ、今度はほとんどがアメリカのファンなのかと思ってしまうほど。あの日のローンデポ・パークには、7万人以上のファンがいたのではと錯覚するような盛り上がりでした。

大会の価値の高さも、現地に足を運び取材を重ねる中で、肌で強く感じました。

アメリカ代表の現役最強左腕であるタリク・スクーバル投手は、1次ラウンドで登板を終えた後に代表チームから離れ、所属するデトロイト・タイガースのキャンプ地に戻っていましたが、決勝を前に行なわれたアメリカの公式練習に姿を現していました。お話を伺うと、この大会の素晴らしさに感化され、4時間かけて自分で車を運転して、ローンデポに戻ってきたのだとか。

現地で体感! WORLD BASEBALL CLASSIC(TM)の魅力と熱量【山本萩子の6−4−3を待ちわびて】第210回
決戦前の静けさに包まれたローンデポ・パーク。この場所で味わった空気を一生忘れません。

決戦前の静けさに包まれたローンデポ・パーク。この場所で味わった空気を一生忘れません。

イタリアは今大会で大躍進を見せましたが、国内でも連日大会に関するニュースが報道され、時差もあるため真夜中ながら、野球の"アズーリ(イタリア代表チームの愛称)"の戦いを700万人ものファンが観ていたそうです。会見での監督の充実した表情が忘れられません。

数々の名選手たちが揃って、この舞台を「特別だ」と口にし、国を背負うことの意味を言葉でもプレーでも表現していました。それが、人々の心を動かさないわけがありません。それぞれが抱く思いや背景を、番組を通じてみなさんと共有する中で、この大会の持つ魅力が世界中に広がっていることに胸が熱くなりました。

ご一緒した杉谷拳士さんと福田太郎さんはもちろん、番組を作っていた現場のみなさんの熱量がとにかく高く、名だたるスター選手はもちろん、これからが楽しみな若手選手への取材も貪欲にトライし、中継を担うからこそできることをチーム全員で常に追い求めていました。結束力の高さと貪欲さは、各出場国にも負けないほど。たった2週間とは思えないような濃密な時間を過ごしました。

現地で体感! WORLD BASEBALL CLASSIC(TM)の魅力と熱量【山本萩子の6−4−3を待ちわびて】第210回
Netflixチームのみなさんと。思いが溢れて、この撮影の後に少しだけ泣きました(笑)。

Netflixチームのみなさんと。思いが溢れて、この撮影の後に少しだけ泣きました(笑)。

誇りをかけて全力で戦う選手たちのプレーも、ファンの熱気にも心を打たれた今大会。決勝戦が終わった後、興奮の余韻が残る中、杉谷さんにかけていただいた言葉が強く心に残っています。

「この経験を、これから一緒に野球界に恩返ししていこうね」

初めに聞いた時は、選手ならではの感覚なのではないか、プレーヤーでもない自分が"恩返し"するなんておこがましいのではないかと思いましたが、すぐにハッとしました。これまで私は、何度も野球に心を震わせてきました。

その魅力にどっぷりと浸かり、気がつけばお仕事になっていて、歴史が動く瞬間の熱狂を、世界一の野球を現場で味わいました。

そんな熱や愛を、この連載でも惜しみなく発信し続け、その選手、そのプレーの背景にあるものを取材し、みなさんと共有していくことこそが、私にとっての"恩返し"になるんじゃないかと。かけがえのない経験をし、決意を新たにしたところで、今回はお別れです。

それでは、また来週。

現地で体感! WORLD BASEBALL CLASSIC(TM)の魅力と熱量【山本萩子の6−4−3を待ちわびて】第210回
感謝してもしきれない、杉谷さんと太郎さん。昨年のワールドシリーズから、素敵な瞬間をたくさんご一緒しています。

感謝してもしきれない、杉谷さんと太郎さん。昨年のワールドシリーズから、素敵な瞬間をたくさんご一緒しています。

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

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