マシン、PU、ドライバー、チームの政治力......さまざま面でメルセデスのすごさに改めて感心したという3人。左から元F1ドライバーの中野氏、元ホンダ技術者の浅木氏、F1実況アナウンサーのサッシャ氏
フジテレビの動画配信サービスFODでF1実況を担当するサッシャ氏、元F1ドライバーの中野信治(なかの・しんじ)氏、元ホンダ技術者の浅木泰昭(あさき・やすあき)氏による特別鼎談。
後編では今週末に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催される日本GP(決勝3月27日~29日)の見どころを中心に話を聞いた。
今、日本のファンがもっとも気になっているのはアストンマーティン・ホンダの動向だ。ワークス復帰したホンダのパワーユニット(PU)にトラブルが続き、開幕からの2戦はまともに走れない状況が続いている。
鈴鹿には振動対策のアップデートを投入すると言われているが、果たしてホンダは復調するのか? そして日本GPのウイナーは? 3人に熱く語り合ってもらった。
* * *
【ホンダが今、問われているものとは】――現状ではアストンマーティン・ホンダはレースではほとんど周回を重ねることができていませんが、中野さんはドライバーの心境をどう想像しますか?
中野 もちろんストレスが溜まりますよね。どこに光というかモチベーションを見出したらいいのかと。おそらく、フェルナンド・アロンソ選手とランス・ストロール選手はそう思っているでしょう。
でも最近、アロンソ選手はコメントの内容が変わってきましたね。最初のころは結構ボヤきだったんですけど、この頃は前向きのコメントをしています。おそらく戦略的にネガティブなことを言うのをやめたんだと思います。
「高速コーナーがたくさんあるサーキットでのレースは今シーズン初めでです。開幕2戦とはマシンの走らせ方や戦い方が大きく変わってくるので、そこが注目です」と語る中野氏
浅木 アロンソ選手に対しては本当に申し訳ないという気持ちです。
サッシャ 今はアップデートを待つしかないですよね。ホンダの皆さんもこの状況を受けて、いろんなことを考えて、キャッチアップするために努力はされているはずですから。これからいい方向に向かって改良を重ねて、シーズン終わる頃には笑い話になっていればいいなと思いますけどね。
浅木 努力するのは当たり前ですが、その努力が正しい方向になるように導いていくというリーダーの能力が今、問われていると思います。ホンダの技術者のひとりひとりの能力は十分にあるはずです。
サッシャ それは2023年、レッドブル・ホンダが達成した前人未踏の22戦21勝で証明されているわけですよ。
浅木 能力がない人間がそんなことはできないです。いくらレッドブルやマックス・フェルスタッペン選手が優秀だとしても、22戦21勝という勝率はあり得ない。個々の技術者の力をまとめて、開発の方向性を決めるところの問題だけだと思います。
PUが振動を発生させる原因であることは間違いありませんが、オーストラリアや中国で行なった応急処置的な対策でうまくいく可能性があれば、時間的に失うものはそれほど大きくないと思います。
でも根本的に作り直さなければならないぐらいの振動だったら、半年とか1年ぐらい時間を失う可能性があるかなというのが私の読みです。
――開幕戦を制したメルセデスのエース、ジョージ・ラッセル選手が今シーズンのチャンピオンの有力候補だと思いますが、どんなドライバーですか?
中野 強烈な一発の速さがあるという印象はないですが、強いドライバーです。特にメンタル面では、フェルスタッペン選手に匹敵するぐらいの強さがあります。しかも狡猾というか、クレバーです。
ドライビングに関しては、エネルギー回生が絶妙に上手い。そこの細かいところでラッセル選手はチームメイトのキミ・アントネッリ選手に差をつけているのですが、両者の走行データを見るとコーナーリング速度などはほとんど変わりません。
だから電気エネルギーのマネージメントを若いアントネッリ選手がしっかり学んで来たら、結構いい勝負をしてくると思います。
――アントネッリ選手は第2戦の中国GPで自身初優勝を飾りましたが、F1デビューしてまだ2年目の19歳です。チャンピオン争いに加わる可能性は?
中野 最近の若いドライバーの成長速度は本当に速い。ラッセル選手とタイトル争いをする可能性は十分にあると思います。
彼がラッセル選手のライバルに成長していけば、仮にメルセデスが独走することになったとしても、アントネッリ選手とラッセル選手のチームメイト対決が面白くなります。そういう意味でもアントネッリ選手は注目の存在ですね。
開幕から2戦連続でワンツー・フィニッシュを決めたメルセデス。
サッシャ 僕はフェラーリに期待しています。開幕前に結婚したシャルル・ルクレール選手はもちろん、移籍2年目のルイス・ハミルトン選手もモチベーションがかなり上がっているように見えます。ハミルトン選手は、これまでで一番、オフに身体を作り上げてきたとコメントしています。
グラウンドエフェクトカー時代(2022年~25年)のハミルトン選手は思うような結果が出ず、明らかにモチベーションが下がっていました。インタビューでも覇気がないのがわかりましたが、今シーズンはテストの段階から表情が違います。生き生きしています。
開幕からの2戦はメルセデスが強かったですが、シーズンを通して見たときに、フェラーリが軸になってほしい。小松礼雄さんが率いるハースが開幕から速いというのも、フェラーリPUの出来の良さを証明していると思います。
【ドライバーに求められるスマートさ】――浅木さんがシーズン序盤戦で注目しているポイントは?
浅木 現行のPUで言うと、シーズン序盤はドライバーの頭の良さが問われていると思っています。まずはシステム屋がドライバーの能力の差がそれほど出ないようにエネルギーマネージメントの制御システムを考えて、実際にシステムを構築し、各チームの戦い方を見ながらアップデートを重ねていきます。
最終的にはドライバーが何もしなくてもいいようなシステムに収束していくと思いますが、序盤戦はシステムの中身をよく理解して使いこなすドライバーが勝っていくんじゃないかなと予想しています。そういう意味で言うと、アロンソ選手には開幕戦から本当に戦えるPUで、持ち前の頭の良さ存分に発揮してほしかったという気持ちがあるわけですね。
サッシャ 本当ですよね、アロンソ選手は一番うまくシステムを使いこなせそうです。
浅木 彼はすごく頭がいい。制御システムを直感的なのか、理論的なのかわかりませんが、よく理解しているような印象です。
試行錯誤を繰り返すシーズン序盤戦はアロンソ選手のようなドライバーが最初にうまい戦い方を見つけていき、それにシステムが追いついていくという流れになります。ドライバーがシステムをどう使いこなすのかも、シーズン序盤戦の注目ポイントだと思います。
開幕2戦はマシントラブルでリタイアに終わったアロンソ。苦しいチーム状況の中でも現役最年長の44歳は抜群のスタートで大きく順位を上げ、ひとり気を吐いている
中野 浅木さんのおっしゃる通りで、今、ラッセル選手が誰よりもうまくエネルギーマネージメントができていますよね。明らかにほかのドライバーと違います。
何をやっているのか正直よくわかりませんが、「こんなに電気が持つわけがないのに......」というところでもしっかりと持たせてくるんです。そこは僕自身も興味がありますし、ちゃんと研究してみたいですね。
【日本GPの見どころはサクラ】――今週末(3月27日~29日)に鈴鹿サーキットで日本GPがいよいよ開催されます。見どころを教えて下さい。
サッシャ 桜が美しいと思いますので、レースとともに日本の桜を満喫してほしいですね。あとはホンダのPUを開発するHRC SAKURA(栃木県さくら市)にもしっかりと花を咲かせてほしい。
開幕戦オーストラリア、第2戦中国ではスプリントと決勝がありましたので、各チームはいろんなことを学んで鈴鹿を迎えます。今年の勢力図の答えが半分ぐらい出るんじゃないかと思うので、そこは楽しみですね。
「鈴鹿では、今年の勢力図の答えが半分ぐらい出るんじゃないかと思うので、そこは楽しみ」と語るサッシャ氏
浅木 ホンダは日本GPに振動対策のアップデートを持ち込むようなので、そこで問題なく走れれば、応急処置の延長でなんとか対応できる。時間的にはだいぶ助かりますよね。それでうまくいかないようだったら抜本的に作り直さなければならないので、失うものはかなり大きいと思います。どっちになるのか、鈴鹿でわかると思います。
中野 レースに関しては、鈴鹿は開幕2戦とは違ったタイプのサーキットになります。1~2コーナーや130Rなど、高速コーナーがこれだけあるサーキットというのは今季初めてになりますから、そこで新しいレギュレーションのマシンはどんな動きをするのか、というのは見どころですね。
あと鈴鹿は基本ハードにブレーキングをする場所がほとんどありません。シケインでちょっと強く踏むぐらいで、ほかのコーナーは軽いんですよね。
ラップタイムも注目ですね。中国GPの予選で最速タイムを叩き出したアントネッリ選手が、前年のポールタイムの約1.5秒差まで迫っています。これは驚異的な速さです。
今年はレギュレーション変更でダウンフォースが30%も減り、タイヤが細くなり、エネルギーをマネージメントしながら、それだけのタイムが出ています。鈴鹿でどれぐらいのタイムが出るのか、非常に興味深いです。
――昨年のレースでは追い抜きがあまりなかったですが、今年はスタートからいろいろ動きがありそうですね。
中野 今年の鈴鹿は追い抜きが確実に増えるので、見ている側としては面白くなると思います。まずはスタートが見どころですね。
サッシャ 鈴鹿は下りのスタートですし、ドラマがありそうですね。
浅木 私はとにかくホンダのアップデートがうまく行って、日本のファンの前で今年は戦えるという可能性を見せてくれることを期待しています。
日本GPで振動対策のアップデートを持ち込むホンダ。「開幕からの対策がうまくいっているのか、それとも大がかりな改良が必要なのか。それが鈴鹿でわかると思います」と浅木氏
●Sascha(サッシャ)
1976年生まれ、ドイツ出身。ドイツ人の父と日本人の母の間にドイツで生まれ、小学校4年生のときに日本に移住。 1999年にMTV VJとしてキャリアをスタートし、その後、ラジオDJとして豊富な音楽知識で多くの音楽番組を担当。2013年からモータースポーツの実況を開始。今年から「フジテレビF1ナビゲーター」として動画配信サービスFODのF1中継の実況などを担当。 毎週水曜に配信するオリジナルの新番組 『F1 R.A.W.(エフワン ロー)』にも出演。最初に見たF1は1985年にニュルブルクリンクで開催されたドイツGP。
●中野信治(なかの・しんじ)
1971年生まれ、大阪府出身。F1、アメリカのカートおよびインディカー、ルマン24時間レースなどの国際舞台で長く活躍。現在は豊富な経験を生かし、ホンダ・レーシング・スクール鈴鹿(HRS鈴鹿)のエグゼクティブダイレクターとして、国内外で活躍する若手ドライバーの育成を行なう。また、フジテレビの動画配信サービスFODのF1中継の解説を担当、2025年夏、世界中で大ヒットしたブラッド・ピット主演の映画『F1 / エフワン』の字幕監修も務めた。
●浅木泰昭(あさき・やすあき)
1958年生まれ、広島県出身。1981年、本田技術研究所に入社。第2期ホンダF1、初代オデッセイ、アコード、N-BOXなどの開発に携わる。2017年から第4期ホンダF1に復帰し、2021年までPU開発の陣頭指揮を執る。第4期活動の最終年となった2021年シーズン、ホンダは30年ぶりのタイトルを獲得する。2023年春、ホンダを定年退職。現在はF1コメンテーターとして活躍。著書に『危機を乗り越える力 ホンダF1を世界一に導いた技術者のどん底からの挑戦』(集英社インターナショナル)がある。集英社のスポーツメディア「webスポルティーバ」でコラム「F1解説・アサキの視点」を毎月2回(10日と25日の前後)配信中。
元ホンダ技術者・浅木泰昭氏の初の著書『危機を乗り越える力 ホンダF1を世界一に導いた技術者のどん底からの挑戦』。レッドブル・ホンダ時代を振り返るだけでなく、なぜ自動車メーカーがF1に参戦するのか、2026年導入の新レギュレーションの開発ポイントなどについても解説している
取材・文/川原田 剛 撮影/樋口 涼 写真/熱田 護(F1)



![[アシックス] ランニングシューズ MAGIC SPEED 4 1011B875 メンズ 750(セイフティー イエロー/ブラック) 26.0 cm 2E](https://m.media-amazon.com/images/I/41dF0gpSbEL._SL500_.jpg)
![[アシックス] ランニングシューズ PATRIOT 13 1011B567 メンズ 010(ブラック/デジタルアクア) 25.5 cm 3E](https://m.media-amazon.com/images/I/41ZS3Bh2dVL._SL500_.jpg)
![[アシックス] ランニングシューズ GEL-KAYANO 31 1011B867 メンズ 001(ブラック/ブラック) 27.0 cm 2E](https://m.media-amazon.com/images/I/418iZuXV-tL._SL500_.jpg)




![【日本企業】 ぶら下がり健康器 懸垂バー 懸垂マシン [コンパクト/10段調節/日本語説明書/2年保証] 筋トレ チンニングスタンド (ブラック)](https://m.media-amazon.com/images/I/41B0yIoAZrL._SL500_.jpg)
![[Xiyaoer] 靴下 メンズ くるぶし 10足セット夏用 【吸汗 防臭 綿】 カラフルソックス カジュアルソックス 綿 24-27cm 靴下 おしゃれ スポーツ くつした メンズ 男性用 ビジネス クルーソックス くつ下 通気性 吸汗速乾 リブ柄 (10足セット6)](https://m.media-amazon.com/images/I/51dJIW6OMFL._SL500_.jpg)