有言実行の男、堂安律が独占激白。「俺、言ったことは全部かなう...の画像はこちら >>

サッカー日本代表・堂安律選手

日本時間4月1日未明に〝サッカーの聖地〟ウェンブリー・スタジアムで世界屈指の強豪、イングランド代表と戦う森保ジャパン。

「W杯でビビって戦って、優勝できるわけがない。

今まで培ってきたものはあるけど、それを失ってもいいという覚悟で大胆に戦わないと」と力強く語るのは、英国遠征でキャプテンに任命された〝背番号10〟堂安律だ。

前回カタールW杯で躍動した〝有言実行の男〟が、2ヵ月半後に迫る北中米W杯への決意を独占インタビューで語り尽くした。

【立役者が語る格上をなぎ倒すための極意】

――今回の英国遠征はW杯北中米大会前の最終調整として重要な機会になりますが、〝サッカーの聖地〟ウェンブリー・スタジアムで行なわれるイングランド戦はどのような位置づけでしょうか?

堂安 結果はもちろん大事ですが、結果だけを求めるわけではないと思います。イングランド戦は本大会前のこれ以上ない確認のチャンス。自分たちの中で「こうなったときにこれをしよう」という整理ができるように、チーム全体で集中して臨みたいです。

――具体的には、どのようなことをチェックするイメージでしょうか?

堂安 例えば、こっちが早い時間に先制したら、前半を1-0でしっかり終えることができるのか。ハーフタイムに何を話してどうするのか。

逆に、もし先に失点しても、2点目を絶対取られないように集中して、同点、逆転へとつなげていくことも非常に重要だと思います。セットプレーやスローインといった細かいところも本大会前にしっかりと詰めたいですね。

世界トップレベルの相手と戦う緊張感の中で、俺たちはどのくらいやれるのか。結果が目的というよりも、ひとつひとつ徹底しようとする姿勢で戦い抜くことで、結果として勝ちにつなげていきたいです。

――堂安選手といえば、前回2022年のW杯カタール大会でドイツ、スペインに同点弾を決め、歴史的勝利を挙げた昨年10月のブラジル戦でも攻守で獅子奮迅の活躍でした。

まさに、ジャイアントキリングの立役者ですが、格上のチームをなぎ倒すときにはいつも堂安選手が輝きますよね。

堂安 もちろん、俺だけの力じゃないですよ。間違いなく日本代表のレベルが上がっているということです。ただ、その3試合は毎回先制されていますよね。むしろ、こっちが先に点を取っていたら、どんな展開になっていたかわかりません。

ひとつ確実に言えるのは、日本の選手全員、守備の能力がものすごく上がったことが大きいと思います。

有言実行の男、堂安律が独占激白。「俺、言ったことは全部かなうんですよ。本気でW杯で優勝できると思っています」
2022年W杯カタール大会ドイツ戦。貴重な同点弾を叩き込み、劇的な逆転勝利の立役者に

2022年W杯カタール大会ドイツ戦。貴重な同点弾を叩き込み、劇的な逆転勝利の立役者に

――確かに、格上にも大量失点することはないですよね。

堂安 サッカーで勝つためには守らないといけないので。「試合に勝ちたいなら攻撃しろ。大会で勝ちたいなら守備をしろ」と誰かが言っていましたが、本当にそこなんですよ。

日本は守備の意識が高まりましたけど、それは森保(一)さんが守備をしっかり評価してくれる監督だからです。

勝つための逆算をして、どうしたら勝率が上がるのかと考えたら、やっぱり守備をしなくちゃいけないですからね。

――堂安選手の書籍『俺しかいない』(集英社)では、カタールW杯を振り返る中で、「自然と心がひとつになる。日本人の美しいワンチーム精神」という言葉が出てきます。確かに今の日本代表は90分間ずっと集中し、最後までやり遂げる力がありますよね。

堂安 カタールW杯のドイツ戦とスペイン戦、昨年のブラジル戦の終盤は引いて守っていましたよね。実はああいうときの守備は楽しいんですよ。やられる気はまったくしなかったですね。「点を取れるもんなら取ってみろ!」ぐらいの気持ちでしたから。

有言実行の男、堂安律が独占激白。「俺、言ったことは全部かなうんですよ。本気でW杯で優勝できると思っています」
2022年W杯カタール大会スペイン戦。左足を一閃し、ドイツ戦に続く逆転劇を呼び込んだ

2022年W杯カタール大会スペイン戦。左足を一閃し、ドイツ戦に続く逆転劇を呼び込んだ

――11人全員が同じ方向を向いて、同じ絵を描けているということですね。

堂安 フライブルクの監督だった(クリスティアン・)シュトライヒもユリアン(・シュスター)も、今の監督のアルベルト(・リエラ)もみんなよく言っていますよ。「守備を楽しんでやれ」って。

「守備をしんどいと思ってやるな。

なんで攻撃のときばかり楽しそうなんだ。守備が楽しいと思えるチームになれ」って常に言っていて。森保さんも言葉の使い方やアプローチは違うけど、ひもといていったら近いことを言っているんですよね。

有言実行の男、堂安律が独占激白。「俺、言ったことは全部かなうんですよ。本気でW杯で優勝できると思っています」
昨年10月の国際親善試合ブラジル戦。右WBとして獅子奮迅の活躍で大金星に貢献

昨年10月の国際親善試合ブラジル戦。右WBとして獅子奮迅の活躍で大金星に貢献

【失うものが大きくても大胆に】

――第2次森保体制では、年齢的にも立場的にも中心選手として、チームに対して積極的に声がけをしてきた堂安選手ですが、北中米W杯前の今だからこそ、チームメイトに伝えたいことはありますか?

堂安 今、「史上最強」といわれたり、ベスト8の壁を打ち破れるかもしれないと思われたりしているじゃないですか。きっと多くの選手は、W杯をナーバスな状態で迎えると思うんですよ。日本中が期待している空気感を俺たちも感じているので。

でも、だからこそ、大胆にやらないといけない。ここでビビって縮こまるのは絶対ダメなんですよ。初戦のオランダ戦(日本時間6月15日)からバチーンといかないと。

――縮こまって守りに入るのではなく、大胆になるべきだと。

堂安 とはいえ、今まで積み上げてきたものもあるし、日本中からの期待も大きいし、選手みんなが自分自身に対して期待していることもいっぱいあるんですよ。

「優勝できるかもしれない」「ゴールを決められるかもしれない」「CMに出てスーパースターになれるかもしれない」とかね。でも、ビビって戦って、W杯で優勝できるわけがないですよ。今まで培ってきたものはあるけど、それを失ってもいいという覚悟で戦わないと。

日本人は大事にいこうとしすぎ。外国人のほうが本番でバチーンといけたりするんですよね。だから、日本代表はこれまで大会前にうまくいっていないときのほうが逆に開き直れて成功してきたんだと思います。失うものが大きいと、日本人は大胆にやれなくなってしまうので。その意識を変えないと。

有言実行の男、堂安律が独占激白。「俺、言ったことは全部かなうんですよ。本気でW杯で優勝できると思っています」
イギリス遠征ではケガのため未招集の主力が多く、堂安にかかる期待も高まる

イギリス遠征ではケガのため未招集の主力が多く、堂安にかかる期待も高まる

――大事にいこうとするあまり、消極的なプレーが増えてしまうのですね。

堂安 そうですね。チーム全体が消極的になると、抜かれるのが怖いから飛び込まないという選択をする選手も出てくるかもしれないけど、抜かれたらみんなでダッシュして戻ればいいんですよ。

逆に調子がいいときって、誰もミスすることなんて考えないですからね。

勢いよくいったらボールを奪えたり、仕掛けたら突破できたり、シュートを打ったらそのまま入ったり。特に若い選手はミスを恐れることなく、積極的にプレーしてほしいですね。

【120%の力を全員が出さないと】

――今大会、日本代表はW杯優勝を目標として掲げていますが、特に堂安選手は昔から言い続けています。今、全員の目線はそろっていますか?

堂安 日本代表の優勝を心の底から信じ切れていない選手は正直まだいると思うんですよね。大会が始まる前には、優勝への疑いは選手誰ひとり持っちゃいけない。初戦のオランダ戦までには、自信を持って選手全員の目線がそろっていると言いたいです。

――書籍『俺しかいない』では、「言霊は絶対にある。自分の思いを発信することで、自分と周りを動かし、必ず運を引き寄せることができると信じている」という力強い言葉が目を引きました。

堂安 俺、言ったことは全部かなうんですよ。なぜかというと、実は現実的なことしか言っていないから。「あ、俺ってこの後こうなるんだろうな」というのが想像できるんです。

中学とか高校のときから、将来はプロになってW杯に出るって思っていましたしね。

でも、スピリチュアルとか特殊能力とかじゃないですよ。「俺がこのままこうやって成長し続ければ、こうなるな」というのが見えるというか。カタール大会のドイツ戦でも、ヒーローになることだけを考え続けていたからこそ、あの同点弾が生まれたんだと思います。

有言実行の男、堂安律が独占激白。「俺、言ったことは全部かなうんですよ。本気でW杯で優勝できると思っています」
カタール大会後の2023年6月からエースナンバー"背番号10"を着用

カタール大会後の2023年6月からエースナンバー"背番号10"を着用

――〝有言実行の男〟堂安選手が「日本代表はW杯で優勝できる」と言ってくれるのは非常に心強いです。

堂安 優勝したいんじゃなくて、本気で優勝できると思っていますからね。だって普通に考えてください。たまたま10回に1回が当たったといわれますけど、ドイツ、スペイン、ブラジルに勝っているチームなんですよ。

それがW杯でまた起きたら優勝できるじゃないですか。そのためには、今まで出したことのない120%の力を選手全員が出さないと。

――最後に、W杯での堂安選手個人の目標も伺いたいです。

堂安 3ゴール以上決めたいですね。俺がそのくらい点を取れなければ、日本の優勝は遠のくと思いますから。

――通算5ゴール(現在2ゴール)でW杯における日本人最多得点者になりますね。

堂安 カタールW杯のときに言われて、いまだに覚えている言葉があって。クロアチア戦の前のインタビューで「日本人で1大会3ゴール以上決めた選手はいないですよ」と言われて、俺は「そんなことはどうでもいいので。歴史を塗り替えられるように、クロアチア戦に勝てればいいです」って言ったんですよ。

そうしたら次の日に(酒井)宏樹くんから、「律が3点目を取るからチームが勝つんだ。自分のゴールだけ狙いにいけ」って冗談っぽく言われたんです。そのときに俺も「うわ、ミスった」と思って。

宏樹くんは笑いながら言ってくれたけど、やっぱり間違っていないですよね。点を取ることがチームを助けることに絶対つながりますから。

かといって、別に守備をおろそかにするわけではないですよ。必死で守備をしながら点も取りたい。とにかくチームが勝つことがすべて。日本代表をW杯で優勝させることが俺の夢なので。

●堂安 律(どうあん・りつ)
1998年6月16日生まれ、兵庫県尼崎市出身。ガンバ大阪、FCフローニンゲン(オランダ・エールディビジ)、PSVアイントホーフェン(オランダ・エールディビジ)、アルミニア・ビーレフェルト(ドイツ・ブンデスリーガ)、SCフライブルク(ドイツ・ブンデスリーガ)を経て、2025年8月からアイントラハト・フランクフルト(ドイツ・ブンデスリーガ)でプレー。18年9月から日本代表としても活躍し、22年のカタールW杯ではドイツ、スペイン相手に同点弾を叩き込んだ。23年6月からエースナンバー10を着用

写真/時事通信社 アフロ

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