盲目の芸人・濱田祐太郎「盲学校での講演会で、小学生から急なむ...の画像はこちら >>

盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎さん

『R-1ぐらんぷり』第16代王者にして、盲目のピン芸人・濱田祐太郎のコラムが週刊プレイボーイで好評連載中! その名も「盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の『死角からの一撃』」。

第18回は、盲学校での講演会について。

* * *

「何か面白い話をしてください」。小学生の子にそんなとんでもないむちゃぶりをされてしまいました。今回はそのときの話をします。

芸人をやっていると、いろんな仕事をする機会があります。前に連載でも書きましたが、マラソンを走ったり、レンコン掘りをしたり。

ほかにも、総理大臣の代わりに当選議員にカタログギフトを贈ったり、WBC日本代表としてホームランを打ったり、炊飯器でお米を炊くこともあります。

......途中から僕じゃない人の仕事になってましたね。最後だけスケール小さいし、仕事というより自炊ですね。

そんな中、去年、京都府立盲学校で講演会をする仕事があったんです。体育館で30分のトークショーをやって、10分休憩。その後、生徒たちからの質問コーナーが40分という流れでした。

最初に聞いたとき、「質問コーナー40分って長すぎない?」と思いましたよ。

そんなに僕に興味あるのかなって。

質問が続かなかったら、服を脱いで、赤いふんどし一丁になって、コンテンポラリーダンスでも踊ろうかと思いましたけど、盲学校の生徒たちにそれをやっても見えないですね。

でも、当日はありがたいことに生徒たちも楽しんでくれたみたいで、トークショー中、僕がしゃべってる途中でも「面白い!」って声に出す子もいるくらいでした。

よかったですよ。出てくる言葉が「ゴーヤを脇に挟んで潰せ!」とかじゃなくて。そんなこと言われたら、赤ふんどしで、ゴーヤを脇に挟んでコンテンポらるしかないですもんね。さすがに僕の脇は、ゴーヤを潰せるほどの力はないので。

続く質問コーナーも良い雰囲気のまま40分続きました。手を挙げた生徒の所に先生がマイクを持っていって、僕は舞台上から受け答えをします。

その答えがイマイチなら、生徒たちが手に持ってる八ツ橋を僕に投げてきます。あっ、それは八ツ橋がもったいないからやめようってなったんだったかな。横綱が負けたときの座布団やないねんからって。

 

そんな中、先生がマイクを持っていったとある男の子が「えーっと、うーんと、なんだっけなあ」って言うんです。めっちゃかわいくないですか?

これは想像ですが、たぶん事前に先生から「質問を考えてきてね」と言われて用意してたけど、いざその場になったら緊張して忘れてしまったんだと思います。

僕も「ゆっくり思い出したらいいよ」なんてフォローしていたんですよ。そうしたらその子が「あ、何も質問ありませんでした」って。衝撃ですよね。

思わず僕も「どういうことやねん。今、何か思い出そうとしてたやん」とツッコみましたよ。そうしたら会場は大爆笑でしたけどね。

改めてその子に「何もないなら次の人にいって大丈夫?」って聞いたら、「じゃあ、何か面白い話をしてください」って、急に特大のむちゃぶりが飛んできたんです。小学生の機転はすごい。まあ、こういうのが楽しいから、お客さんからの質問コーナーのある仕事が好きなんですけどね。

それで、絶対にスベりたくなかったので、劇場でもよくしゃべる定番の話をしたんですけど、その子にはややウケでした。

ちなみに基本的なことですが、盲学校に通う生徒は目が見えにくい状態の子もいるのでまったく見えない子ばかりというわけではないんです。だから、脇ゴーヤ赤ふんコンテンポラリーダンスも伝わったかもしれません。まあ、目が見えてても伝わらないか。

 ●濱田祐太郎(はまだ・ゆうたろう) 
1989年生まれ、兵庫県神戸市出身。2013年より芸人として活動を開始し、『R-1ぐらんぷり2018』(フジテレビ)で優勝。関西の劇場を中心に舞台に立つほか、テレビやラジオなどでも活躍。公式X【@7LnFxg25Wdnv8K5】

撮影/梅田幸太

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