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セ・リーグ1強、パ・リーグ2強の構図は変わるのか?(左から)阪神・藤川監督、ソフトバンク・小久保監督、日本ハム・新庄監督

待ちに待ったプロ野球が始まった! 今季は台風の目としてペナントを盛り上げる球団は出てくるのか? セ・パ12球団を徹底分析する。

【今季も本命は阪神。
台風の目は?】

ついに開幕したプロ野球。今季はどんな戦いになるのか。現役投手を指導するピッチングデザイナーで、本誌おなじみの野球評論家・お股ニキ氏と共に考察したい。

セ・リーグは「昨季、史上最速優勝を決めた阪神の優位性が今季も揺るがない」と語るお股ニキ氏。その最大の要因は投手力で、オープン戦のチーム防御率は1.44とすさまじい仕上がり具合だ。

「今年は才木浩人の調子がいいです。髙橋遥人(はると)もオープン戦防御率1位と状態も良く、登板数は確実に増えそう。新外国人イーストン・ルーカスも活躍しそうで、近年、日本で活躍した外国人と比較してもアンソニー・ケイ(昨季DeNA→ホワイトソックス)以上の期待値があります」

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昨季、就任1年目で両リーグ史上最速優勝を達成した阪神・藤川監督

昨季、就任1年目で両リーグ史上最速優勝を達成した阪神・藤川監督

先発陣が充実する一方、懸念があるとすれば中継ぎ陣だ。

「アキレス腱断裂で今季絶望の石井大智(だいち)が抜けた穴や、昨季リーグ最多66試合登板の及川(およかわ)雅貴の勤続疲労は大丈夫かなど、気になる点は確かにあります。ただ、昨季開幕時にいなかった湯浅京己(あつき)やラファエル・ドリス、新外国人投手もいるので、若手右腕がどれだけ伸びてくるかです」

野手はWBCで活躍した佐藤輝明と森下翔太が牽引する。

「佐藤と森下は、キャンプ、WBCとずっといい状態が続いています。そこにルーキーの立石正広ら若手がどれだけ割って入れるか。

立石は初期の大谷翔平(ドジャース)を左右反転させたようなスイングで、相当期待できます」

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今年のドラフト1位ルーキーでバッティングの評価が非常に高い立石

今年のドラフト1位ルーキーでバッティングの評価が非常に高い立石

日本ハムから獲得した伏見寅威(とらい)の存在も効いている。

「主戦捕手である坂本誠志郎の比重が高まる中、負担をどう減らすか。その点、伏見は経験豊富ですし、制球力があってフォーク投手が多い阪神投手陣と相性もいい。こうした的確な補強ができる点も阪神の強みです」

この阪神を追う2番手はどこか。お股ニキ氏が推すのは、5年連続Bクラスの中日だ。

「実は昨季、阪神に唯一勝ち越したのが中日です。今季はバンテリンドームにホームランウイングができたことで野球がどう変わるのか。中日にとってプラスとマイナスの両面がありますが、野手が充実してきた点がハマればセ・リーグの台風の目になりえます」

実際、新外国人のミゲル・サノーが4発でオープン戦本塁打王に輝き、1本差で細川成也と鵜飼航丞(こうすけ)も続くなど、中日打線はオープン戦18試合で16本塁打、77得点の大暴れ。12球団トップの破壊力だ。

「細川はオープン戦で軽く振って左右に本塁打を放っていて、どこまで数字を伸ばすか楽しみ。野手はほかにも岡林勇希や上林(うえばやし)誠知、福永裕基、ジェイソン・ボスラー、オルランド・カリステと駒がそろっていて、2年目捕手の石伊雄太もオープン戦で打撃好調。狭くなったドームでどんな打撃を見せるか注目です」

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オープン戦では軽く振って左右に本塁打を放ちどこまで数字を伸ばすか楽しみな中日・細川

オープン戦では軽く振って左右に本塁打を放ちどこまで数字を伸ばすか楽しみな中日・細川

一方、投手陣は明暗が分かれることになりそうだ。

「広いドームだから勝てていた投手は確実に厳しくなる。ただ、WBCでも活躍した髙橋宏斗や金丸夢斗、抑えの松山晋也ら球に力のある投手なら球場が狭くなっても大丈夫。1位入団の中西聖輝(まさき)、2位の櫻井頼之介(よりのすけ)の新人コンビも期待できます」

同様に2番手集団にいるのは昨季AクラスのDeNAと巨人。DeNAはタイラー・オースティンが退団したものの、ベテラン勢が元気だ。

「宮﨑敏郎やダヤン・ビシエドがオープン戦では好調でした。昨季後半から打ち方を変えて本塁打を量産した筒香嘉智もいい状態を維持できています」

ケイとアンドレ・ジャクソン、トレバー・バウアーらが退団した投手陣は大丈夫か?

「日本で通用するタイプがわかっているのか、代わって獲得した左腕オースティン・コックス、203㎝の長身右腕ショーン・レイノルズがいい球を投げています。阪神から獲得したジョン・デュプランティエも含めて活躍しそうです」

この目利きも含めた〝裏方力〟もDeNAの強みだ。

「投球メカニクスのAI解析にも積極的で、山﨑康晃がだいぶ球速を戻しています。エースの東克樹を筆頭に、石田裕太郎や竹田祐、新人の島田舜也もいい。Aクラスが狙える陣容で、あとは勝負どころの守備など細かな点を洗練できるか」

昨季3位の巨人は、岡本和真(ブルージェイズ)が抜けた穴以外にも懸念点は多い。

「打撃陣はオープン戦でなかなか本塁打が出ず、大砲候補の砂川リチャードも死球を受けて左手を骨折。吉川尚輝は両股関節の手術を受けて復帰時期未定。

野手の明るい材料は、侍ジャパンサポートメンバーに選ばれた中山礼都(らいと)くらい。

同様に投手陣も、山﨑伊織は右肩コンディション不良で開幕に間に合わず、戸郷翔征もまだ本調子には程遠い。田中将大、則本昂大のベテラン組に頼るほど苦しい台所事情です」

そんな中、開幕投手に抜擢されたのがドラフト1位の左腕、竹丸和幸だ。

「竹丸は杉内俊哉投手チーフコーチの現役時代と似ていて、球速はそこまでなくとも、打者の手元でキュッと曲がるスライダーとチェンジアップが武器。

新人では3位の左腕・山城京平も大学時代より少しアングルを下げた成果か制球が良くなった。いきなり投げさせすぎて失速しないかという不安はあるものの、ルーキーの存在は楽しみです」

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スライダーとチェンジアップを武器とし、巨人の開幕投手に抜擢されたドラ1ルーキー・竹丸

スライダーとチェンジアップを武器とし、巨人の開幕投手に抜擢されたドラ1ルーキー・竹丸

昨季5位の広島にも注目のルーキーがいる。

「1位入団の平川蓮はスーパールーキーになる可能性を秘めています。松井稼頭央(元西武)をもっとデカくしたようなスイッチヒッターで打ち方もいい。オープン戦では右打席で特大弾を放ちましたが、まだ経験の浅い左打席でも長打がある。ボールが普通に飛べば、1年目から打率.270、20本塁打も期待できる逸材です」

昨季は小園海斗が首位打者に輝いたものの、「大砲不在」が数年来の課題。平川以外の活躍にも期待したい。

「2年目の佐々木泰もパンチ力はあるし、末包昇大(すえかね・しょうた)や坂倉将吾、サンドロ・ファビアンが存分に力を発揮できれば、戦える戦力になります」

そして、日本屈指の大砲・村上宗隆(ホワイトソックス)が抜けたヤクルトはどうか?

「昨季は9月以降勝ち越したものの、それは村上が打ちまくったから。

その村上が抜けた上に、今季も故障者が続出。ドラ1の松下歩叶(あゆと)に始まり、山田哲人、内山壮真ら主力組がキャンプ中に離脱しました」

ならば若い力に期待したいが、2軍もまた苦戦中だ。

「まだ開幕数試合とはいえ、2軍のチーム打率は1割前半。となると、あとは投手陣がどこまで踏ん張れるか。奥川恭伸(やすのぶ)がここ数年では一番状態がよさそうなのと、前エンゼルスの左腕ホセ・キハダがどれだけ通用するかに注目です」

【パ2強に迫るのはあの球団】

パ・リーグはここ2年、1位・ソフトバンク、2位・日本ハムと順位は変わらないものの、2年前の13.5ゲーム差から昨季は4.5ゲーム差に縮まった。いよいよ2強の逆転はあるのか。

「2年連続最多勝の有原航平がソフトバンクから日本ハムに移籍し、その差は縮まりそうです。ただ、両球団ともに強みがあり、どちらが上とは言い切れない状況です」

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昨季、2年連続リーグ優勝を達成し、5年ぶりの日本一に輝いたソフトバンク・小久保監督

昨季、2年連続リーグ優勝を達成し、5年ぶりの日本一に輝いたソフトバンク・小久保監督

ソフトバンクで気になるのは、頼みのリバン・モイネロがキューバ代表の影響で開幕から1ヵ月は投げない見込みなこと。有原も抜けた先発陣は大丈夫か?

「開幕投手の上沢(うわさわ)直之は球速も増して今年は相当良さそう。故障で昨季登板なしのカーター・スチュワートも契約最終年で奮起することを考えると、2年前(9勝)並みは期待したい。3年15億円で獲得した〝台湾の至宝〟徐若熙(シュー・ルオシー)という楽しみな存在もいます」

救援陣でも藤井皓哉がトミー・ジョン手術を受けて今季絶望という状況の中、今季も育成枠や新人から新たな逸材がブレイクしそうだという。

「育成左腕のアレクサンダー・アルメンタはWBCメキシコ代表で159キロを計測。

日本球界でも相当なインパクトを残すはず。同様に育成枠からは大竹風雅(ふうが)、侍ジャパンとの強化試合で無双した藤原大翔(はると)がブレイクしそう。

新人では2位入団の稲川竜汰がいい球を投げています。彼らが活躍できれば、野手は変わらず充実しているだけに十分に優勝を狙える戦力です」

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WBCメキシコ代表として注目を集めた育成左腕のアルメンタ

WBCメキシコ代表として注目を集めた育成左腕のアルメンタ

対する日本ハムは、最多勝の有原と伊藤大海がそろい踏み。ほかにも北山亘基ら先発陣が充実して盤石かと思いきや、楽観視はできないという。

「オープン戦の有原は球速がなかなか出ず、伊藤もWBCで球速が出ていなかった。ふたりとも実績十分なだけに徐々に調子を上げるでしょうが、彼らが本調子にならなければ、チームは波に乗れません」

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昨季は2年連続2位もソフトバンクとの差を詰めた日本ハム・新庄監督

昨季は2年連続2位もソフトバンクとの差を詰めた日本ハム・新庄監督

ただ、伸び盛りの若手投手が多い点も日本ハムの強みだ。

「2年目の古林睿煬(グーリン・ルェヤン)、3年目の細野晴希は春から調子がいいですし、昨季8勝の達孝太は高卒5年目にして打ち取るすべを身につけている。私は沢村賞の可能性も感じています」

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昨季は8勝を挙げるなどブレイクし、今季は沢村賞の期待もかかる高卒5年目の達

昨季は8勝を挙げるなどブレイクし、今季は沢村賞の期待もかかる高卒5年目の達

昨季12球団最多の本塁打を放った野手陣はどうか?

「強打の吉田賢吾と野村佑希がセカンドに挑戦するようで、どちらかがハマれば面白い。新外国人のロドルフォ・カストロも見立てどおりにいい選手ですし、外野手では矢澤宏太がかなり打ちそうです」

この2強に迫る1番手にお股ニキ氏はオリックスを推す。

「昨季のチームの勝ち頭である九里亜蓮(くり・あれん)に加え、宮城大弥、曽谷(そたに)龍平、山下舜平大の先発陣は相当強力。特に山下はストレートもカーブもすごみを増しています。

開幕前に右肘コンディション不良が発表されましたが、本調子なら期待できます」

救援でも期待の投手がいる。

「抑えにはWBC優勝のベネズエラ代表アンドレス・マチャドがいますし、私が以前から評価する椋木(むくのき)蓮が相当いいので中継ぎでかなり活躍しそう。侍ジャパンとの強化試合で圧巻の投球を見せた寺西成騎(なるき)は今季のブレイク候補。

ポテンシャルの高い選手が多いので、課題の守備が安定し、岸田護監督の采配も安定してくれば2強とも張り合えます」

「4年連続4位」という定位置脱却を目指すのは楽天だ。

「前田健太の状態がいいです。フォームを変えた成果か、球速が150キロ以上出ていて、スプリットも140キロ近い。菅野智之(ロッキーズ)が35歳で復活したように、来月38歳になる前田も復活する可能性は十分にあります」

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フォームを変えて150キロ超の速球を投げるなど完全復活に期待がかかる楽天・前田

フォームを変えて150キロ超の速球を投げるなど完全復活に期待がかかる楽天・前田

2年前の「91敗」という大底を抜けた西武はどうか?

「FAで石井一成(かずなり)と桑原将志(くわはら・まさゆき)を獲得し、2年目の渡部聖弥はサードに挑戦。打撃に期待のドラ1捕手の小島大河など、野手はそろってきました。ただ、今井達也(アストロズ)が抜けた穴は大きすぎる。昨季より調子が良さそうな髙橋光成(こうな)や、WBCを経験した隅田知一郎(ちひろ)がどれだけ踏ん張れるか」

そして、昨季最下位からの巻き返しを狙うのはロッテ。WBCで一躍注目を集めた種市篤暉(あつき)の活躍を昨秋から予見していたのがお股ニキ氏だ。

「種市は侍ジャパンの内容を維持できれば、少なくとも奪三振王。沢村賞も狙えます。ただ、WBCで痛恨の牽制ミスをしたように大事な局面で勝ちきれないのは課題です。この種市とDeNAから獲得したジャクソンでどれだけ勝ち星を重ねられるか。高卒2年目の木村優人も注目です」

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WBCの投球を維持できれば少なくとも奪三振王、沢村賞も狙えると評価されるロッテ・種市

WBCの投球を維持できれば少なくとも奪三振王、沢村賞も狙えると評価されるロッテ・種市

最後に、今季開幕前にCSファイナルステージの開催方式変更が発表された。これまでリーグ優勝した球団に1勝のアドバンテージが与えられてきたが、今季から【対戦相手が勝率5割未満もしくはリーグ優勝球団と10ゲーム差以上】の場合はもう1勝付与されることになった。一昨年のソフトバンク、昨年の阪神が該当するが、この変更はどう見るべきか。

「いかにも日本らしい、慎重かつ段階的な見直しだなという印象です。アドバンテージの付与といった細かな修正の前に、優勝の重みをどう担保するかの観点で、出場枠や仕組みそのものを根本的に議論すべき時期に来ています」

WBCではデータ活用やピッチクロック対策で世界との遅れも感じた日本野球は、どんな未来を目指すべきなのか。そんなことも熟慮するシーズンになりそうだ。

文/オグマナオト 写真/時事通信社

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