英国最大のブックメーカーで、CLの優勝候補に挙げられているアーセナル。安定した戦いで初優勝まで駆け上がれるか
ヨーロッパのクラブ王者を決める今シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)もラウンド16を終え、8強が出そろった。
その顔ぶれを見ると、前回王者のパリ・サンジェルマン(フランス)をはじめ、昨シーズンも準々決勝に勝ち上がったアーセナル(イングランド)、バルセロナ(スペイン)、レアル・マドリード(スペイン)、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に加え、今回はリヴァプール(イングランド)、アトレティコ・マドリード(スペイン)、スポルティング(ポルトガル)がベスト8入りを果たしている。
今後の対戦では準々決勝のアーセナル対スポルティングの勝者が、アトレティコ・マドリード対バルセロナの勝者と準決勝で相まみえ、同じくバイエルン・ミュンヘン対レアル・マドリードの勝者が、リヴァプール対パリ・サンジェルマンの勝者と準決勝で激突する。
いずれも注目カードばかりだが、英国最大手のブックメーカー「ウィリアム・ヒル」の優勝オッズでは、リーグフェーズを首位で通過したアーセナルが1番人気。
以下、バイエルン・ミュンヘン、バルセロナ、パリ・サンジェルマン、レアル・マドリード、リヴァプールが続き、そこから倍以上のオッズ差でアトレティコ・マドリード、4倍以上の差でスポルティングが追う格好となっている。
まだCLでは優勝経験がないものの、現段階でアーセナルが優勝候補筆頭に挙げられる理由は、今シーズンの安定した戦いぶりにある。
CLリーグフェーズでは、出場36チームの中で唯一となる8戦全勝を記録し、23得点、4失点という数字もトップの成績。対戦相手には、8強に残ったアトレティコ・マドリードとバイエルン・ミュンヘン、昨シーズンの準優勝チームのインテル(イタリア)もいただけに、その強さは本物だ。
レバークーゼン(ドイツ)とのラウンド16で連勝は止まったが、1勝1分けで準々決勝に駒を進めており、無敗記録は継続中だ。
ここにきて主力選手に負傷者が続出している点は不安材料だが、プレミアリーグでも首位を快走する就任7年目のミケル・アルテタ監督が率いるチームにとって、今シーズンこそが初優勝のビッグチャンスと言える。
アーセナルの対抗馬となるのは、優勝6回を誇るバイエルン・ミュンヘンと、同じく5回のバルセロナだ。
とりわけ、今シーズンのバイエルン・ミュンヘンは開幕から公式戦16連勝という、ヨーロッパ5大リーグ新記録を樹立。CLリーグフェーズでアーセナルに黒星を喫したが、7勝1敗で2位通過を果たし、国内リーグでもわずか1敗で首位をキープするなど圧倒的な強さを誇っている。
その中でエースのハリー・ケインはCLで10得点、国内リーグで31得点とゴールを量産。CLを熟知するクラブの伝統と歴史も大きな武器で、アーセナルと同格の優勝候補と言える。
バイエルン・ミュンヘンを牽引する、エースのハリー・ケイン。CLの得点ランキングは2位タイの10ゴール
〝神童〟ラミン・ヤマルを擁するバルセロナも優勝の可能性を秘めているが、ブラジル代表のラフィーニャの負傷離脱は大きな痛手。CLリーグフェーズで2敗、国内リーグで4敗を喫しており、安定感という点ではアーセナルとバイエルン・ミュンヘンに見劣りすることは否めない。
王者パリ・サンジェルマンは、昨夏のクラブW杯決勝まで続いた過密日程による疲労が影響し、今シーズンはレギュラー陣に故障者が続出。昨シーズン後半戦のように固定メンバーで戦えていないのが厳しいところ。全員がトップフォームで戦えるなら勝機はあるが、現状では連覇は厳しいとみるのが妥当か。
常連クラブが名を連ねるベスト8の中で見逃せないのが、ポルトガルの名門スポルティングだ。
スポルティングが準々決勝に勝ち残ったのは、大会名称が現在のチャンピオンズリーグに変更された1992-93シーズン以降では初めてのこと。前身のチャンピオンズカップ時代を含めても、82-83シーズン以来、実に43年ぶりの快挙となった。
CLリーグフェーズではパリ・サンジェルマンから金星を挙げ、7位の成績でラウンド16にストレートイン。
大逆転でベスト8入りを決めたスポルティングの守田英正
今シーズンの守田は、度重なる筋肉系のトラブルによって調子を崩す中、若手ジョアン・シモンエスの台頭もあって先発機会は限られている。
ただ、卓越した戦術眼は健在で、全体のバランスを整える〝スタビライザー役〟としてもルイ・ボルジェス監督から信頼を得ており、格上のアーセナルと対戦する準々決勝では出場時間も増えるはず。ある意味、ジャイアントキリングには欠かせない存在と言えるだろう。
チームの強みは、どこからでも得点ができる攻撃力で、その中心を担うのが、トップ下でプレーする司令塔フランシスコ・トリンコンと、最大の得点源ルイス・スアレスのホットラインだ。
また、基本布陣4-2-3-1の各ポジションには同レベルの戦力を複数そろえており、アーセナルに対して接戦に持ち込むことができれば、初の準決勝進出も夢ではない。
そのほか、CL優勝最多の15回を誇るスター軍団レアル・マドリード、就任14年目のディエゴ・シメオネ監督が率いるアトレティコ・マドリード、日本代表キャプテンの遠藤航も所属する名門リヴァプールなど、CLの最終局面は今回も見どころが満載。まずは、日本時間4月8日と9日に行なわれる準々決勝の第1戦から注目したい。
取材・文/中山 淳 写真/アフロ



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