3社協業で爆誕!! トヨタやスズキにも供給される軽商用EVは、どこまで通用するのか。週プレ自動車班が東京都内の公道で徹底チェックしたダイハツ e-アトレー
航続距離257kmという断トツの数字を手に、ついに軽の盟主・ダイハツが、軽商用EV戦線に本格参入した。
だが、問うべきはスペックではない。現場で使われ、稼ぎ、きっちり支える。電気で働くクルマの実力は、どんなものなのか。
ニッポンの仕事を支える"働く足"として、リアルに使えるのか。週プレ自動車班が公道試乗と徹底取材で、その真価を洗い出す。
* * *
【日本で静かに進むラストマイル革命】静かな軽バンが、住宅街をすり抜けていく。エンジン音はない。排ガスもない。それでも荷台には、いつもどおり段ボールが積まれている。日本の物流の末端、いわゆる"ラストワンマイル配送"。主役は、地味にも程がある軽商用車。そのEV化が今、大きな注目を集めている。
火つけ役は軽の盟主・ダイハツ。今年2月、軽商用EV・e-ハイゼットカーゴとeアトレーを同時に市場投入した。
1957年の軽三輪ミゼット以来、農業、配送、建設と、日本の現場を支えてきたダイハツは、1960年代から電気自動車の研究開発にも取り組んできた。軽と電動化、両方の知見を持つ自動車メーカーなのだ。
しかも今回は単独ではない。トヨタ、スズキを巻き込んだ3社協業だ。共通のEVシステムを採用し、ダイハツが生産を担い、3社がそれぞれ自社ブランドで販売する。いわば軽商用EVの連合軍だ。
ダイハツ e-アトレーは、液晶メーターに加えてオートエアコンやキーフリー、パワースライドドアまでも標準で装備
ダイハツ e-アトレーのバッテリーには安全性の高いLFP(リン酸鉄リチウムイオン電池)を採用する
自動車ジャーナリストの桃田健史(けんじ)氏はこう語る。
「商用車分野でのメーカー連携組織、CJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)の取り組みの一環です」
技術的な中身については、自動車誌の元幹部が解説する。
「モーター、インバーター、減速機を一体化したeアクスルを後輪駆動軸上に搭載。最大の注目点は、ホイールベース間のフロア下に敷き詰めた薄型リチウムイオンバッテリーです。
この航続距離は、軽商用EVの中では頭ひとつ抜けている。それでいて荷室容量はガソリン車と同等の最大積載量350㎏を死守。働く現場が最も嫌う「EV化で積めなくなる」という失敗を回避した点は大きい。
さらに最大1500Wの外部給電機能で、災害時などは"走る蓄電池"としても使える。もはや単なる配送車ではない。
開発責任者の齋藤寛氏。e-ハイゼットカーゴとe-アトレーの2台で、月間300台規模の販売を見込むという齋藤氏。果たして市場の反応はいかに!?
このEV2台が発売にこぎ着けるまでには紆余曲折(うよきょくせつ)があった。当初は2023年度中の発売を予定していたが、同年12月に認証試験を巡る不正が発覚し延期。ただし認証不正という逆風は、結果的に"熟成期間"となり、こうして日の目を見た。
3社協業のプロジェクトを取り仕切った開発責任者の齋藤寛(かん)氏は言う。
「発売延期の間、コツコツ磨き上げていました。時速90キロで高速道路を走ると、航続距離はおよそ200kmです」
【「電欠は怖い」現場の本音】ただ、日本のEV普及は依然として鈍い。果たして需要はあるのか。前出の自動車誌元幹部はこう見る。
「日本の商用車市場の約6割は軽。その市場を事実上寡占しているのがダイハツとスズキです。そこにトヨタが加わることで、役所、公社、大企業フリートから地方の工務店、農家、個人事業主まで一気に展開できる」
価格はe-ハイゼットカーゴが314万6000円、e-アトレーが346万5000円。ピクシス バンEV(トヨタ)は314万6000円、eエブリイ(スズキ)は314万6000円。
先行の三菱ミニキャブEV(243万1000円~)、ホンダN-VAN e:(269万9400円~)と比べると、軽自動車としては正直お高い。
桃田氏はこう分析する。
「補助金を前提にすれば実質200万円台に収まります。企業や個人事業主にとってEV導入は一気に現実的になるのでは? リセールバリューは未知数ですが、経費として見れば影響は限定的でしょう」
ランニングコストの安さも見逃せない。
一方、現場の声はシビアだ。建築関係事業を営む40代男性の"ひとり親方"は言う。
「6年乗ったエブリイを、物価高の今、補助金があっても簡単には買い替えられない。仕事で1日200km前後走ることもあるし、山奥にも行く。電欠は正直怖い」
今回の取材で、宅配業を含む複数の個人事業主から同様の声が聞かれた。
ダイハツいわく、航続距離257kmという設定は、冬場に暖房を使っても約140km走れることを見込んだもの。実際、軽ワンボックスユーザーの約8割は1日100kmも走らないのが現実だという。
【乗ればわかる軽商用EVの実力】そこでダイハツ主催の報道陣向け試乗会へ。取材したのはe-アトレー。東京タワー周辺を走った。見た目はギア感強めでアウトドアにも似合う。
走り出しは実に穏やかだ。アクセルを踏むと、スルスルと滑らかに動き出す。暴力的な加速はない。仕事の道具としては、それがいい。
「荷崩れ防止のため、あえて抑えています」(ダイハツ関係者)
とにかく静かで、坂道も余裕。回生ブレーキの制御も自然で違和感がない。車重はガソリン車より約350㎏重いが、フロントにベンチレーテッドディスクを採用するなど制動性能の強化も抜かりない。
ボディ剛性の高さも印象的だ。床面の半分以上を占めるバッテリーケースが構造材を兼ね、重心も低い。安定感は軽バンとは思えぬレベル。
試乗後、真っ先に感じたのは疲労の少なさだった。
実は軽商用EV市場は、すでに戦国時代に突入。先行しているのは三菱のミニキャブEV。航続距180kmで、自治体や郵便局での実績は大きい。短距離・定ルートならこの航続距離で十分という割り切りが価格に効いている。
ミニキャブのOEM(他社ブランド生産)版が日産のクリッパーEV。中身は同じだが価格は高めで、狙いは法人営業の窓口だ。合理性より看板を取った戦略と言える。
そして異端がホンダのN-VAN e:。FF(前輪駆動)、低床、助手席ピラーレス。荷物を横から放り込める唯一無二の軽バン。仕事7割、遊び3割。生活に入り込むEVだ。
軽商用EVの先駆者、三菱ミニキャブEV。短距離・定ルート用途で支持を獲得し、自治体や法人で実績を積み上げてきた質実剛健カー
孤高の実力派・ホンダ N-VAN e:。横から積める使い勝手で、仕事とプライベートをシームレスにつなぐ。ホンダらしい発想が光る軽商用EV。車中泊にも使いたくなる
では、なぜ日本の自動車メーカー各社は、軽商用EVに前のめりなのか。桃田氏はこう指摘する。
「商用車分野はEVが普及しやすい土壌にあります。走行ルートや運行時間を管理しやすく、充電効率を高められる。さらにISSB(国際サステナビリティ基準審議会)に基づくサステナビリティ情報開示への対応が求められる中で、企業にとってEVは温室効果ガス排出量削減の有効な手段になるためです」
とはいえ、課題も残る。
「欧米ではEVシフトが踊り場に入り、一部で減速傾向もある。ただし背景には政治的判断の影響が大きく、政策次第で再加速する可能性もあります。日本では自工会(日本自動車工業会)が掲げるマルチパスウェイの下、多様なパワートレインが当面併存するでしょう。その中でEV普及の進展は、国の政策、自動車メーカーの戦略、そしてユーザーの理解と行動変容に左右されます」
ニッポンの軽商用EV戦国時代は、働く現場からすでに始まっている。
取材・文・撮影/週プレ自動車班 撮影/山本佳吾
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