ロッテリアを買収し、ゼッテリアを始めたゼンショーHDの皮算用...の画像はこちら >>

持ち帰り弁当店が祖業。日本の外食産業で初めて時価総額1兆円を超えた企業。
介護事業やスーパーマーケット運営なども行なっている

『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!

今週の研究対象 
ゼッテリア(ゼンショーHD)

前回に引き続き、東京・中野エリアを歩いていると、ロッテリアによく似たハンバーガー店「ゼッテリア」を発見。ナニコレ? 店内で食事をしながら投資の可否を考えた!

助手 駅前の商店街にロッテリアによく似たハンバーガー店がありました。「ゼッテリア」って名前です。

坂本 ロッテリアは2023年に「すき家」のゼンショーHDに買収されて、既存店をゼッテリアに改装しているんです。だからパッと見はロッテリアっぽくても、中身はゼンショー流につくり直されているはず。

助手 ロッテリアが買収されてたとは! どう変わったか気になります。

坂本 せっかくだから食べに行こう。

助手 着きました。店内はゆったりしてますね。テーブル同士が近すぎないし、ファストフードっぽいせわしなさが薄い気がします。

そして180円のコーヒーをプッシュしてますね。しかもフェアトレードコーヒーですか。意識が高いカフェみたい。

坂本 お、気づいたね。ゼッテリアの名前は「絶品バーガー」と「カフェテリア」を合わせたもの。つまり単なるハンバーガー店ではないという意思表示です。店のつくりからもそういう狙いが見える。おそらく低価格カフェの客を取りたいんでしょう。

最近は安いカフェがどんどん値上がりしています。例えばカフェ・ベローチェはRサイズを毎年のように値上げして、ついに330円になった。乗り換えたい人もいるんじゃないかな。ゼッテリアにとっても、カフェ利用客がいれば食事時間帯以外でも席を埋められるから助かる。

助手 なるほど。看板商品の絶品バーガーを食べてみます。マックより味はちょっと上だけど、値段も上。正直、決め手には欠けるなぁ。

坂本 うん。マックよりパティに厚みがあって、ソースも少し凝ってるね。ただ、モスやバーガーキングみたいに、ひと口でわかる個性があるかというと、まだそこまではいっていない。だからこそ、ゼンショーがどう育て直すかが大事なんです。

助手 そもそも、ゼンショーがロッテリアを買った理由はなんですか?

坂本 業態の分散を進めるためだろうね。外食はいろんな業態を持っているほうが業績の安定性が増すんです。ゼンショーはこれまでも丼ものの「なか卯」やステーキの「ビッグボーイ」、イタリアンの「ジョリーパスタ」などを買って立て直してきたから自信があるんでしょう。

助手 けっこうたくさん買ってるんだな。

でも、そんなバラバラな業態をよく運営できてますね。

坂本 ゼンショーの強みは、食材をまとめて仕入れて、自社工場で加工して、物流センターから各店に運ぶところまでをグループ全体で回していることです。だから扱う料理が違っても、自前の調達網や物流の仕組みに乗せられさえすれば伸ばせる。例えば牛肉はゼッテリア単独で買うより、すき家など牛肉を使う他業態と一緒に調達したほうが、有利に仕入れやすい。物流も同じで、単独チェーンより運ぶ効率を上げやすい。新メニューもグループ内にある食材や開発ノウハウを使って試しやすい。

助手 そうか、ハンバーガー事業が欲しかったというより、今ある仕組みで伸ばせる業態を買ったんですね。

坂本 だろうね。牛肉を扱うロッテリアは伸ばす見込みが立てやすいし、すし・ファミレス・海外・ファストフードなどを並列で育てるゼンショーの成長戦略とも合致しているからね。同社は2028年3月期の営業利益の目標を、今期予想比42%増の1165億円に設定しており、かなりの成長を見込んでいます。PERの観点からは外食企業の例に漏れず割安とは言えないけど、優待をもらいながら長期投資が面白そうです。

今週の実験結果
ゼッテリアを育て直すことができるか。

今後も注目すべきです

ロッテリアを買収し、ゼッテリアを始めたゼンショーHDの皮算用【坂本慎太郎の街歩き投資ラボ】

構成/西田哲郎 撮影/榊 智朗

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