が流行したのは昨年の話。多くの人がこのポーズを取り、多くの人が「断る力」を身につけなくては、と書店に足を運んだ。
自分が働きやすく、そして最も効率的な生産をするための環境作りをする上で、断る力は必要だろう。ところが、ネット上には「部下が“断る力”を連発して困る」といった声が寄せられており、単純に「断って」しまい、いうことを聞かない人も出てきたらしい。
もちろん下っ端であれば、まわってきた仕事を「断る」なんてことは出来ない。しかし、断らずに何でもかんでも受け入れると、業務過多になり潰れてしまうことも確か。そのバランスが難しいわけだ。
ただ、私なら断ることはできることなら止めた方がいいと思う。特にフレッシャーズや若手など、自分のやりたいことがまだ定まらない人にとっては、断らないことで様々な仕事に挑戦でき、自分の可能性を広げることができるからだ。
と、『断らない人は、なぜか仕事がうまくいく』(田中和彦/著、徳間書店/刊)は断らないことを勧める。
では、断る人と断らない人はどれだけ差が生まれるのか。新刊JP編集部の私、金井と山田がそれぞれ「何でも断る人」(金井)と「何でも断らない人」(山田)に扮し、1日仕事をしてみることにした。
【AM9:30】
2人が出社。メールを確認すると、さっそく2人に「2人が好きそうな本についての原稿を書いて欲しいんだけど、どう?」とのメールが。
タイトルだけみると微妙な感じ。さっそく金井は「自分はあまり好きでないので…」と断り、一方山田のほうは「あ、じゃあやります!」と景気良く返信。この結果はどうなるのか?
【AM10:00】
先ほどのメールで山田が原稿を担当することになった本が手渡される。目次だけ読むとかなり面白そう。あれ?そんなタイトルじゃなかったじゃん…。山田、さっそく原稿に取り掛かる。一方、金井はしょんぼり顔。
【AM10:15】
山田が忙しく原稿を書いている横で、ネットサーフィンをしている金井に新たな急ぎの原稿依頼が。「これ、急だけどちょっとお願いするわ!」…断る力を発揮する間もなく本を渡される。やたら難しそうな学術書。何ページあるの?さらにしょんぼり。
【PM1:00】
お昼過ぎになり、他の編集部員が体調不良で取材に行くことが出来なくなってしまう。
【PM6:30】
金井が自分の仕事を淡々とこなしていると、山田が帰ってくる。山田、やたら生き生きした顔。「すげー楽しかった!」。どうやら勉強会で好きな作家があらわれ、名刺を交換してきたらしい。また、原稿や企画のアイデアが次々と浮かんだようで、「頑張ろう!」と一言。金井はなんとなく複雑な気分になり、しょんぼり。
【PM9:00】
そろそろ業務も終わり…というところで山田が取材に同行した営業のTさんに呼び出される。どうやら今日の取材お疲れさまということで、一緒にお酒を飲み行くことになったらしい。
というわけでこの日、私はずっとしょんぼり顔になっていた気がする。
まさしく(´・ω・`)な感じだ。断らなきゃ良かったという後悔ばかりが募る一日だった。
『断らない人は、なぜか仕事がうまくいく』では、「向いている仕事は、実は「他人」が知っている」「苦手な仕事も場数を踏むと面白くなる」とした上で、自分自身の可能性を自分で広げるために断らないことを推奨する。
確かに意外な頼まれごとをやってみると、自分の知らない自分がそこにいたりして、仕事の幅が広がることもある。自分の仕事じゃないからとか、向いていないからとかというのは、まさに自分の殻に閉じこもっているだけなのである。
俳優の哀川翔さん、作家の重松清さん、コンサルタントの小宮一慶さんら、断ることをしないで自分を高めてきた人のケースが『断らない人は、なぜか仕事がうまくいく』に載っている。
自分をもう少し高めたい人には、是非読んで欲しい一冊だ。
(新刊JP編集部/金井元貴)
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