その全貌が明かされるのが『日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人』(三輪康子/著、ダイヤモンド社/刊)だ
三輪氏は、銀座の画廊、アパレル関係の会社を経て、2004年9月、全くの異業種から有名ホテルグループのホテルの支配人に転職した。そして配属されたのが東洋一の繁華街、眠らない街と称される新宿歌舞伎町。当時、三輪氏が着任したホテルのロビーではヤクザがたむろし、最上階は彼らの定宿のように占拠され、お客様のほとんどがヤクザ関係者という状態だった。
それまで高級ブランド店が並ぶ銀座で働いていた三輪氏にとって、このホテルは想像を絶する光景だったという。土地柄ともいえるこのような状況のホテルで働いていたスタッフたちは、日々、恐怖に耐えながら懸命に業務をこなしていた。
この状況を見た三輪氏は、売上を上げるにはどうしたらいいか、ではなく、「スタッフがいかに楽しく安全に働けるか」を第一に考え、このホテルを運営していくことに決めた。そして「やさしさは怒鳴り声よりも強いものだ。正しいことは、貫かねばならない」という信念のもと、スタッフを守りホテルを変えていったのだ。
歌舞伎町のホテルならではの数々のエピソードを本書では紹介している。
例えば、三輪氏が「薬物事犯がどうやらこの店舗に潜伏しているらしい」と警察署に出向いて通報。
ホテルの経営や業務の経験もなく、コネも資格もない三輪氏が、歌舞伎町という特有の場所にあるホテルを変えることができたのは、「やさしさは何よりも強い」「スタッフが安心して、楽しく働いてくれる職場を実現したかった」という強い信念があったからだろう。
そして現在、歌舞伎町は、三輪氏が歌舞伎町のホテルに赴任した当時にくらべたら、安全に楽しめる歓楽街として再生しているという。
2005年、三輪氏は新宿署と新宿繁華街犯罪組織排除協議会から「犯罪組織の排除活動に協力した」ということで感謝状をもらった。ホテルだけではなく、新宿歌舞伎町の街を安全で安心な街に変えることに大きく貢献した歌舞伎町のジャンヌ・ダルクの強い意志に感嘆してしまう。
(新刊JP編集部)
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