18歳から19歳の人口比率が異様に高いのだ。
その理由は、長万部町内に全寮制の「東京理科大学長万部キャンパス」があるからだ。
都内や東京近郊を中心に数ヶ所のキャンパスを持つ東京理科大だが、8つの学部のうち基礎工学部だけが大学1年生の1年間を長万部キャンパスで過ごすことになっている。それも、全国でも珍しい全寮制で、北海道の自然や地域との交流を通して豊かな人間性を育み、2年生にあがる春に、関東のキャンパスに帰っていくのだという。
長万部での一年を経験した彼らだが、実は入学時の偏差値はこの基礎工学部が最も低い。しかし、関東のキャンパスに戻った彼らの学力は長万部での1年の間に大きく向上しトップ偏差値の学部の学生を超えるようになると言われている。卒業後、有名大学の大学院に進んだり、その後世界的に有名な企業に研究者として就職し、活躍したりする学生も少なくない。これは確かに初年度教育の成果といえる。このように長万部で学生たちがかかる魔法は、いつしか「オシャマジック」といわれるようになった。
しかし、そんなキャンパスの特徴や長万部での学生生活の魅力、そこで行われている“教養教育”とはどのようなものかを伝えるのは難しい。そこで制作されたのが、大学公式の“ノベライズ・ガイドブック”ともいうべき『東京理科大長万部学寮物語』(村上学/著、東京理科大学出版センター/編、ダイヤモンド社/刊)である。
この『東京理科大長万部学寮物語』は由佳、壮太、夏帆、努の4人を中心に、学生たちが長万部での大学生活を通して成長していく様子を描いた小説だ。
もともと「通常のパンフレットでは、長万部で我々がやっていることが伝わらない」という声が長万部キャンパスの教員や広報課職員らからあがり、2010年4月に学長が「本を出しなさい」と厳命。基礎工学部の村上学准教授を代表執筆者としてパンフレットの書籍化プロジェクトが進んだという。
もちろん本書は小説なので、登場人物や一般科目の一部はフィクションだが、どうして長万部キャンパスを訪れた多くの教育関係者がもっと広く知らしめるべきだと述べるのか、その理由の一端が見えてくるだろう。
長万部学寮の卒寮生は当時の生活を思い出しながら読めるし、そうではない人でもこの小説を通して長万部での学生生活を追体験できるだろう。
単に教室の中に人を詰め込んで教えるのではない「教育」の形が本書では示されている。
なお、10月12日(水)から丸善丸の内オアゾ店、日本橋店にて「東京理科大学フェア」実施中だ。
(新刊JP編集部/金井元貴)
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