「ギネス世界記録に登録」というと、何か突出する能力があるからこその世界一であると考えるかもしれない。
 でも、ギネス世界記録は誰にも真似できないような記録だけではない。
ごく普通の人が、日常的にちょっと横に転がっているような挑戦に気づき、努力や研究を重ね、多くの世界一の記録を達成しているのだ。

 『一歩踏み出す人のためのビックリ挑戦・記録図鑑 ギネス世界記録 人はなぜ世界一が好きなのか?』(角川アスキー総合研究所/編集、 ギネスワールドレコーズジャパン/協力、KADOKAWA/刊)では、ギネス世界記録取得者のサクセスストーリーのほか、過去10年分の年鑑本『ギネス世界記録』から、テーマごとに選りすぐり、挑戦できそうな記録、ジワジワ来る記録、面白い記録、規格外な記録などを紹介する。

 では、どういったギネス世界記録があるのだろうか? 本書の中からいくつか紹介していく。

○「最も長い消しゴム削り」9.19m(2014年3月8日)
 達成したのは2014年当時中学2年生の田中優光くんだ。誰でも一度は使ったことのある市販の消しゴム「MONO」の削りカスをつなげて長さ9m19cmにもおよぶ長いヒモを作った。この記録はギネス世界記録史上はじめて消しゴムを使ったチャレンジでもある。


○「最もたくさんストローを口につめた人」400本(2009年8月6日)
 イギリスのサイモン・エルモアさんはストロー400本を口に詰めこんだ。ギネス世界記録の規定では、10秒は定位置でキープしないといけない。残念ながら目標より2本少なかったそうだが、世界記録は余裕で達成したという。

○「1分間に紙飛行機を口でキャッチした最多数」17個(2013)
 この記録を達成したアメリカのアシュリタ・ファーマンさんは、1979年以来、500以上のギネス世界記録に挑戦している。でんぐり返し、ホッピング、石蹴り、竹馬、卵のせスプーンレース、オレンジ鼻押しなどなど、とんでもなく体力を使うヘンな記録に世界記録をもつ記録保持者となった。

○「3個のレモンをむいて食べる最速時間」28.5秒(2009年11月6日)
 デンマークのコペンハーゲンでのTV収録でジム・リングビルデさんが達成。


 このような変わりダネの世界記録が数多くあるのは、ギネス世界記録がはじまったきっかけが関係しているのかもしれない。
 1951年、アイルランド・ウェックスフォード州で猟を楽しんでいた、当時ギネス醸造所の最高経営責任者だったヒュー・ビーヴァー卿が「ヨーロッパで最も速く飛ぶ狩猟鳥はどれか?」という素朴な疑問から、狩猟仲間と議論になった。「一番速い鳥は…?」というのが『ギネス世界記録』のはじまりだったのだ。今回紹介したような「最もたくさんストローを口につめた人」も「3個のレモンをむいて食べる最速時間」も変わりダネの世界記録も、「何が一番か?」という人間の興味や好奇心から生まれた記憶といえる。
 本書を読むと、「これはいけるかも…」と思う世界記録があるかもしれない。そして、もしいけると思ったらチャレンジしてみるのも一つだ。

(新刊JP編集部)